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介護士は爪切りをしても良い?爪切りを行う条件や正しい方法について解説

この記事の監修者
すずきめい
【資格】
公認心理師、精神保健福祉士、社会福祉士、幼稚園教諭一種免許、保育士、相談支援専門員、医療的ケア児等コーディネーター、児童発達支援管理責任者

【プロフィール】
未就学児のご家庭支援から障がいのある方々の支援に関わる。現在は、多様な経験を活かし、福祉全般の記事を執筆するウェブライターとして活動中。

介護の現場では、利用者さんの身だしなみを整えるために、介護士が爪切りを行うことがあります。

しかし、爪切りは医療行為にあたるのでしょうか。
また、介護士が爪切りを行う際の条件や注意点とは何でしょうか。

ここでは、介護士による爪切りについて詳しく解説します。

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介護士は爪切りを行っても良い?

介護士は爪切りを行っても良い?

介護の現場で、爪切りは日常的なケアの一つです。
基本的には介護士でも行えますが、介護士が爪切りを行うことについては条件もあります。

爪切りは医療行為にあたらない

爪切りは、原則として医療行為にはあたりません。
そのため、介護職であっても爪切りを行うことが可能です。
医師や看護師がいないデイサービスやヘルパーのサービスでも、介護士が爪切りを実施できるのです。

医療行為とは、医師や歯科医師、看護師の判断や技術を持って行わなければ、人に危害を及ぼす、または危害を及ぼす可能性がある行為を指します。
具体的には以下のような行為が医療行為にあたります。

  • 摘便
  • 床ずれ(褥瘡)の処置
  • インスリン注射
  • 血糖値の測定
  • 点滴の管理

爪切りは医療行為ではありませんが、利用者さんの状態によっては実施が認められないケースがあります。
次の項目で、介護士が爪切りを行うための条件について説明します。

介護士が爪切りを行うための条件

介護士が爪切りを行うためには、以下の3つの条件を満たす必要があります。

  1. 爪そのものに異常がない
  2. 爪周囲の皮膚に化膿や炎症がない
  3. 糖尿病などの疾患による専門的な管理が必要でない

上記の状態に当てはまらない利用者さんに対しては、爪切りをしたり、爪やすりをしたりすることが可能です。

一方で、爪に異常があったり、疾患による管理が必要だったりする場合は、医師や看護師が爪切りを行う必要があります。
介護士は、爪切りを行う前に、爪や爪周辺の異常、糖尿病などの疾患の有無を確認しておくことが必須です。

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介護士が行う正しい爪切りの方法

介護士が爪切りを行う際は、正しい方法で実施することが重要です。
ここでは、爪切りに必要な道具や手順、注意点について解説します。

用意するもの

爪切りをする場合に用意するべきものは、主に以下の3つです。

  • 爪切り
  • 爪やすり
  • 蒸しタオル(必要に応じて)

爪切りは伸びた爪を短くするために使用し、爪やすりは爪の角など切りにくいところを削ったり、切った爪を整えたりするために使います。

蒸しタオルは、爪を温めてやわらかくしたり、爪を切ったあとに拭き取ったりするために使用します。
爪切りの前には蒸しタオルで爪を温め、やわらかくしておくのも良いでしょう。
入浴サービス提供がある事業所では、入浴時に爪の様子を確認し、湯あがりに処置をすることが一般的です。

爪切りの手順

正しい爪切りの手順は、以下のとおりです。

爪切りの正しい手順

  • 利用者さんに爪を切ることを説明して、同意を得る
  • 利用者さんに安全な姿勢で座っていただき、介護士が正しい姿勢や位置に移動する
  • 爪と皮膚に隙間を作るように、指先の皮膚を押し下げるようにして爪を切る
  • 深爪にならないよう注意しながら、爪の白い部分を1〜2mm残す
  • 爪の形が四角くなるように、両端は切らないようにする
  • ちょうど良い長さまで切ったら、やすりで角を軽く落とす

手の爪を切る場合の正しい姿勢と位置は、利用者さんの隣に座る体勢です。
介護士の腕で利用者さんの腕を挟み、固定しながら切ります。

足の爪を切る場合も同様に、介護士は利用者さんの隣に片膝をついて座るか、低い椅子に座りましょう。
そして、介護士の太ももに利用者さんの脚(膝から下)を乗せて、脚を腕で挟んで固定しながら切ります。

介護者は利用者さんと同じ方向から処置をします。対面で爪切りを行うと死角が多くなることや、普段の自分の爪切りの角度とは異なる角度から切ることになり、事故につながりやすくなります。

介護士が爪切りを行う際の注意点とポイント

介護士が爪切りを行う際は、利用者さんの状態に合わせて適切に実施することが大切です。
ここでは、爪切りの際の注意点やポイントについて説明します。

爪切りは爪をやわらかくして行う

爪切りは、入浴や足浴のあとに、爪がやわらかくなった状態で行うのが良いでしょう。
高齢者は爪が固かったり、厚かったりするため、あらかじめ爪をやわらかくしておいたほうが切りやすくなります。
前述のように、蒸しタオルを活用する方法もおすすめです。

スクエアカットで深爪を防ぐ

爪の角を落とさず四角く切る「スクエアカット」で、巻き爪を防ぐことができます。
端を丸く切ってしまうと、爪の端が食い込みやすくなるため注意が必要です。
スクエアカットで残した角の部分は、最後にヤスリで軽く落とすようにしましょう。

転倒に注意する

爪切りの際は、転倒に注意が必要です。
転倒を防ぐため、以下の点に気をつけましょう。

  • 背もたれのあるイスやベッドで行う
  • 足を上げるときに後ろに倒れないようにする
  • 車いす乗車時はフットサポートに足を乗せたままにしない

足を上げる際は、ゆっくりと動作を行います。
膝を伸ばせないときは、曲げたままで爪を切るようにしましょう。

利用者さんが無理せず安定する姿勢が重要です。

また、車いす乗車時はフットサポートに足を乗せた状態での爪切りは危険です。
利用者さんの視線が足元に行き姿勢が前傾になったときに車椅子ごと転倒するおそれがあります。
爪切り時は、フットサポートは畳み利用者さんの足裏は床についた状態にします。
介助者は利用者さんと同じ方向に回り、爪切りを行う足をゆっくりと支えましょう。

認知症のある方の対応を工夫する

認知症の方は、時間が経つと爪切りについて説明したことを忘れてしまう可能性があります。
そのため、実施直前にあらためて説明や確認を行うことが大切です。

また、体動がある利用者さんは、爪切りの最中に体を動かして怪我につながる恐れがあるため注意が必要です。
他のスタッフに見守りをしてもらうなど、対応を工夫しましょう。

介護士は爪切りを行えるが正しい方法での実施が大切

介護士は、医療行為にはあたらない爪切りを行うことができます。
ただし、利用者さんの爪や皮膚の状態によっては実施できない場合もあるため、事前の確認が必須です。

爪切りを行う際は、正しい道具や手順で実施しましょう。
また、利用者さんの状態に合わせて、爪をやわらかくする工夫や転倒への注意、認知症の方への対応など、細やかな配慮が求められます。

介護士が正しい方法で爪切りを行うことで、利用者さんの身だしなみを整え、清潔で快適な生活を送ることができるでしょう。

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執筆者について

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