他の職種から介護士への転職を考えている人のなかには、資格なしでも働けるのかと疑問に思っている方もいるでしょう。
介護士は、資格なしでも働くことのできる職種です。
しかし、働く前に資格を取得しておくメリットは少なくありません。
この記事では、介護士が資格なしでも働ける理由や、資格の有無による仕事内容や給料の違いなどについて解説します。
今の仕事を辞めて介護士に転職しようと考えている方は参考にしてください。
目次
介護士は資格なしでも仕事ができる
資格なしの人でも、介護士として働くことは可能です。
実際にハローワークで検索すると、未経験・無資格OKの求人が数多く掲載されています。
資格の有無による違いは、業務内容や給料などです。
無資格の人が介護士になる場合、介護士の補佐役として働き始めることになります。
自治体によっては、元気な高齢者や子育て中の主婦などの働ける人材を「介護助手」として雇用するよう推奨しています。
介護助手は、介護業界で働く人材の需要の高まりを受け、資格を持っていない人でも働けるよう、導入が推進されている職種です。
介護の現場には、専門知識を必要とする業務と専門知識が不要な補助的な業務があります。
そのうち、補助的な業務を介護助手が行うことで、資格保有者は専門的な知識を必要とする業務に集中でき、一人あたりの負担を減らすことが可能になるのです。
無資格の介護士ができること・できないこと
ここでは、無資格の介護士ができることと、できないことをそれぞれ見ていきましょう。
資格なしの介護士ができること
資格なしの介護士ができることは以下の4つです。
- 生活援助
- 身体介助(介護福祉士の指示のもと)
- 送迎業務(自動車免許の保有者)
- 事務関連業務
なお、上記のうち、利用者さんの身体に直接触れる身体介助業務は、資格を持つ介護福祉士の指示のもとでなければ行うことができません。
資格なしの介護士ができないこと
資格なしの介護士にできないことは以下の2つです。
- 訪問介護
- 単独での身体介助
訪問介護とは、介護士が一人で利用者の自宅を訪れ、生活援助や身体介助を行うことです。資格なしの介護士は、介護福祉士の指示のもとでなければ身体介助ができないため、訪問介護業務はできません。
介護保険法の第8条には、訪問介護は介護福祉士その他政令で定める者により行われるとの旨が書かれています。
ここでいうところの「政令で定める者」とは、介護職員初任者研修や実務者研修を修了した方を指します。
訪問介護業務に就きたい方は介護職員初任者研修以上の資格を取りましょう。
介護士の給料|資格なしと資格保有者
令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果によると、介護士の年収は、資格なしの場合と、資格がある場合とで、以下のように異なります。
職種 | 年収 |
無資格の介護従事者 | 約322万円 |
介護支援専門員(ケアマネジャー) | 約452万円 |
介護福祉士 | 約397万円 |
実務者研修修了者 | 約363万円 |
介護職員初任者研修修了者 | 約360万円 |
資格なしの介護士は、年収約322万円で介護職員初任者研修修了者と比較して40万円程度低いです。
介護業界で年収を上げるためには資格取得がおすすめです。
介護士の資格について知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
資格なしの介護士に関するよくある質問
資格なしの介護士に関するよくある質問と、それぞれに対する回答を紹介します。
取り上げる質問は以下のとおりです。
- 介護士は無資格でも正社員として働けますか?
- 無資格の介護士におすすめの資格を教えてください
- 資格のない介護士におすすめの職場はありますか?
介護士は無資格でも正社員として働けますか?
介護士は無資格でも正社員として働くことは可能です。
実際に、ハローワークにも無資格者を正社員として募集する求人が、2023年11月時点で、1,684件存在します。
下表は、実際の求人情報の一部を取り上げたものです。
施設種類 | 賃金 | 就業時間 | 仕事内容 |
グループホーム | 162,000円~184,500円 | ①8:00~17:00 ②17:00~10:00 |
グループホームでの介護業務全般 |
デイサービス施設 | 173,000円 | 8:30~17:30 | 自宅から施設までの送迎 施設内での移動・移乗のお手伝い |
特別養護老人ホーム | 162,000円~208,000円 | ①7:00~16:00 ②8:30~17:30 ③10:00~19:00 |
入浴介助、排泄介助、食事介助の支援 |
無資格の介護士におすすめの資格を教えてください
無資格の介護士におすすめの資格は介護職員初任者研修です。
介護職員初任者研修は、介護の基礎基本を学ぶことができ、取得にかかる所要時間も130時間と短くて済みます。
下表は、介護職員初任者研修と介護福祉士実務者研修、それぞれを修了するのに必要な時間を比較したものです。
介護職員初任者研修 | 130時間 |
介護福祉士実務者研修 | 450時間 |
介護福祉士実務者研修は介護職員初任者研修の3倍以上時間が必要になります。
最初に挑戦するのは短時間で修了できる介護職員初任者研修がおすすめです。
資格のない介護士におすすめの職場はありますか?
資格のない介護士は訪問介護ができないので、職場の選択肢は入所施設か通所施設になります。
入所施設には夜勤があるため、夜勤があっても問題ない方におすすめです。
夜勤が苦手な方や、家庭の都合などで難しい方は通所施設が良いでしょう。
どちらの施設であっても資格なし、未経験から働けます。
介護の現場を経験しつつ資格取得をめざすと良いでしょう。
介護士は資格なしでも働けるが資格の取得がおすすめ
資格がない人でも、介護士として働き始めることは可能です。
介護士の需要は今後も高まることが見込まれ、未経験や無資格の人でも働けるよう、介護助手の導入が推進されています。
しかし、資格なしでは年収が低く、単独でできる仕事も多くありません。
介護業界で長期間働こうと考えている方は、早目に資格を取得し、年収アップ・キャリアアップをめざすのがおすすめです。