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歯科衛生士の目標例とは?立てるときのポイントも紹介

歯科衛生士として、目標設定は必要でしょうか?
答えはもちろん「必要」です。

目標を立てることで仕事へのモチベーションが高まり、個人のスキルアップ、ひいては歯科医院の評判向上にもつながります。
この記事では、歯科衛生士としての目標の具体例を挙げながら、目標を立てるときのポイントなどを解説していきます。

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歯科衛生士の目標の設定例

歯科衛生士の目標の設定例

歯科衛生士として達成すべき内容を「業務遂行」と「スキル・知識」に分け、それぞれの目標の設定例を紹介します。

業務遂行

歯科衛生士の「業務遂行」に関わる目標は、大きく「患者対応」「チームワーク」「日常業務」の3つの分野に分けられます。
それぞれの業務分野において、具体的にどのようなテーマで目標を立てるべきなのか、目標例とともに解説します。

患者対応・処置説明など

患者対応・処置説明では、「患者さんに対して必要な治療を正確に説明できる」、「患者さんから治療に関する質問があった場合、的確に答えることができる」という点を意識すると、医師をサポートする役割を果たせます。

  • 治療の流れなどを記したマニュアルを作成し、患者さんへの説明を練習する
  • 患者さんに対し、治療方法・内容についての説明ができる

チームワーク・報連相など

チームワーク・報連相では、「歯科医師や歯科衛生士、歯科助手、受付事務などのスタッフと綿密にコミュニケーションを取りながら仕事ができる」という点から目標を立てていきます。

  • 常に周囲を確認しながらフォローができる余裕を持つために、早めの行動を心がける
  • 医師からの指示を理解し、必要物品を準備する
  • パート・アルバイトスタッフの教育を行う

事務処理・業務ルーティンなど

事務処理・業務ルーティンでは、受付業務や電話対応、会計、清掃など専門的なことではなく、日常業務に関する理解、実践度について目標を立てていきます。

  • 受付や診察室の清掃・整理整頓を毎日行う
  • 待ち時間を減らすためにホームページに混雑する曜日、時間帯に関する情報発信をする
  • 治療終了後にリコールハガキを送付し、次回の予約を取る

スキル・知識

歯科衛生士が持つべき「スキル・知識」は、「処置・商品知識」「接遇」「業務スキル」の3つに大別できます。
ここでも同じようにSMARTを活用し、目標に具体性を持たせることが大切です。
具体的な目標例を併せて紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください。

処置知識・商品知識・保険知識

処置知識、商品知識、保険知識に関わる目標は、「歯科治療の器材・薬剤に関する基礎的な知識」、「治療の流れを理解しているか」などの点から設定していきます。

  • 技術向上のために毎日業務後に30分クリーニングの練習を行う
  • 業務、治療補助、機材操作に関するマニュアルを○月までに作成する
  • 社会保険制度について○月までに資料を作成する
  • 単位を把握したうえで治療材料の注文ができる

接遇

接遇での目標設定は、さまざまな年齢層や、障害の有無など配慮が必要な場合もある患者さんに対し、それぞれのニーズに合わせた対応や気配りができるかといった点を意識しましょう。

  • 大きく、はっきりとした声で聞き取りやすい会話を心がける
  • 車椅子で来院する患者さんの車椅子の押し方、移乗の仕方などを練習する
  • 患者接遇に関する研修会に参加し、レポートにまとめる

業務スキル

業務スキルでは、歯科衛生士として基本的な業務を遂行するためのスキルを習得できているか、という点から目標を立てていきます。

  • 型取りおよび石膏流しができる
  • 歯周炎の検査ができる
  • 短時間で正確に医師が要求した処置ができる

「SMART」を用いた歯科衛生士の目標設定の具体例

目標を掲げましょうと漠然と言われても困惑してしまう方も多いでしょう。
そこで、「SMART」と呼ばれるフレームワークが役立ちます。

SMARTは、それぞれの頭文字をとって以下の意味があります。

【SMART】

   意味 具体的に
Specific 具体的 目標が明確か
Measurable 測定可能 数字やパーセントなど客観的に測定可能か
Achievable 達成可能 低すぎず、高すぎず達成可能な目標か
Relevant 関連のある 関連性はあるか
Time Bound 期間 いつまでと期間を設けているか

型にはめながら目標を考えることで、抜け漏れを防げて効率的に設定ができます。
また、具体性が増すのもメリットです。

以下に、SMARTを用いた目標設定の具体例を4つ紹介します。

具体例「患者さんに説明ができる」

Specific・・・来院した患者さんの口腔内の現状説明を
Measurable・・・40名にブラッシングと説明を行い
Achievable・・・そのうち治療が必要な患者さんに治療を受けてもらう
Relevant・・・医院の理念に基づいて
Time Bound・・・8月までに

具体例「患者さんに満足度アンケート調査を行う」

Specific・・・来院した患者さんに患者満足度アンケート調査を配布
Measurable・・・来院した患者さん100名にアンケートを配布、回収
Achievable・・・対策チームで問題点を抽出し、改善策を5個あげる
Relevant・・・医院の理念に基づいて
Time Bound・・・8月までに

具体例「患者さんにおすすめする治療の説明ができる」

Specific・・・患者さんに虫歯治療の種類の説明をする
Measurable・・・来院した患者さん20名にセラミック、銀歯治療のメリット、デメリット、かかる費用を説明する
Achievable・・・そのうち10名に理解してもらい、治療を実施する
Relevant・・・医院の理念に基づいて
Time Bound・・・10月までに

具体例「患者さんにあったホワイトニングの方法を勧める」

Specific・・・来院した患者さんに「ホワイトニングコーディネーター」としてホワイトニングを勧める
Measurable・・・来院した患者さん50名にホワイトニングの説明をする
Achievable・・・そのうち30名にホワイトニングを実施する
Relevant・・・医院の理念に基づいて
Time Bound・・・12月までに

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【ポイント】歯科衛生士の目標の立て方

【ポイント】歯科衛生士の目標の立て方

歯科衛生士の目標を立てる際には、以下のポイントを押さえておきましょう。

立てる目標の視点は3つ

ここまで、業務のカテゴリ別に考えると目標のテーマを設定しやすいと説明しました。
目標のゴールを考える際にはもっと視野を広く持ち、大きく3つの視点からゴールを見据えた目標を設定するのが良いでしょう。

成果目標

成果目標とは、医院全体で一定の成果を達成するために、自分の役割を考えて設定する個人の目標のことです。
目標を立てるにあたっては、歯科医院のめざすべき方向性やコンセプトを医院で働くスタッフすべてが共有し、理解していることが重要となります。

よって、「個人的な目標となっていないか」という点を確認しなければなりません。
例えば、「遅刻をしないようにする」「海外からの患者さんに対応するために中国語を勉強する」などの目標は個人的な要素が強く、医院全体として一定の成果をめざす成果目標とは異なっています。

業務目標

業務目標とは、前述でも説明したように業務をテーマごとのカテゴリに分け、それぞれにおいて達成できていない要素を目標として設定するものです。
この目標を設定するためには、自分が今できていることとできていないことを正確に把握する必要があります。

例えば、まだ歯科衛生士になりたての新人の場合は、「器具の名前が一通り言える」「ブラッシング指導ができる」といった、業務を遂行するうえで基本的な知識・技術を身につけることが目標となり得ます。
しかし、10年目のスタッフがそのような目標を掲げるのは適切ではありません。

ベテランになれば、「患者さんの現状にあった自費診療を勧められる」「短時間で正確に医師の要求に応えることができる」など、ステップアップした目標設定が望ましいでしょう。

チャレンジ目標

チャレンジ目標とは、本人のやりたいことに重きをおき、自己の能力開発をゴールとして設定された目標です。
もちろんその目標は、結果的に医院の活性化やメリットにつながるものでなければなりません。
例えば、「日本歯科衛生士学会認定歯科衛生士を取得する」「日本口腔ケア学会口腔ケア認定資格を取得する」「口腔内だけでなく、患者の既往歴や現病歴から全身状態についても考える」など、個人のスキルアップが達成できるような目標を設定します。

「公益社団法人 日本歯科医師会」では、2040年を見据えた歯科ビジョンとして、質が高く効率的な歯科医療提供体制の確保と並び、多様なニーズへの対応(例えば、アスリートのパフォーマンス向上のために行う研究、災害発生時の緊急歯科医療の提供など)が掲げられています。
こうしたビジョンからも、これからは専門性を持った歯科衛生士が必要となる時代がくると考えられるでしょう。
そのため、このチャレンジ目標は個人の能力開発として大事になってきます。

実現可能・計測可能な目標であるか

目標設定の際は、SMARTの要素に沿って考えると良いと説明しました。
なかでも、Measurable(測定可能な)、Achievable(達成可能な)の2要素はとても重要です。
つまり、現実的ではない目標や努力しなくても達成できる目標を立ててはいけません。

例えば、「できる限り研修会に参加する」と目標を立てたとします。
「できる限り」の基準は人によって違うため、この目標が達成されたか否かの判断は困難です。
「何回参加するのか」、「研修会の成果を何で示すのか」といった要素を加える必要があります。

NGワードを入れていないか

目標設定をするときに確認しなければならないNGワードがあります。
それは、曖昧な表現です。
曖昧表現の具体例としては、「努力する」「頑張る」「なるべく」「協力する」などがあります。

以下に歯科衛生士の目標として良くない例を示します。

【良くない例】
患者さんの要望をできるだけ理解できるように知識を頑張って身につけます。

「できるだけ」や「頑張って」などの曖昧表現が目立ち、具体性や測定可能性に欠けてしまっています。
これを良い目標にしたい場合は、以下のように具体性を加えると良いでしょう。

【良い例】
患者さんの「○○」に関する質問に答えられるように、6月までに「○○」の知識を身につけ資料にまとめます。

歯科衛生士の目標はポイントをおさえて具体的に立てよう

歯科衛生士の目標の設定について、ポイントと具体例を解説してきました。
目標の設定を迫られても何をテーマとしたら良いのかで迷うなら、まずは業務と知識・スキルに分けて、できていることとできていないことを紙に書き出して整理していくと良いでしょう。

その際は、歯科衛生士の業務内容の振り返りのために、日本歯科衛生士会の臨地実習指導マニュアルやそれぞれの医院の院内業務基準書などを参考にするのがおすすめです。
歯科衛生士の目標を具体的に立てて、自身とクリニックの成長につなげましょう。

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執筆者について

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