
「歯科衛生士の実習はどのような内容?」
「何に気をつけて実習を受ければ良い?」
歯科衛生士の実習について、上記のような疑問を持つ方もいるでしょう。
歯科衛生士になるためには、国家試験に合格する必要があり、国家試験の受験資格を得るためには所定の養成校で3年以上学び、卒業する必要があります。
本記事では、養成校のカリキュラムのなかで実施される、3種類の実習について解説していきます。
歯科衛生士をめざす方や、これから実習に臨む方は参考にしてください。
目次
歯科衛生士の実習は3種類
歯科衛生士の実習には、以下の3種類があります。
- 【学内】基礎実習
- 【学外】臨地実習
- 【学外】臨床実習
それぞれ解説します。
【学内】基礎実習
基礎実習は、歯科衛生士に関する基本的な知識を身につけるために学校内で行う実習です。
具体的な内容としては、次のようなものがあります。
- マネキンやクラスメイトでの歯石取り
- 治療に使用する器具の準備・消毒・滅菌
- 歯の型を取る練習
- 模型を使用した歯磨き方法の指導の練習
- 薬を塗る練習 など
上記を1年次から2年次前期にかけて実施する場合が多く、学校内の実習室で行われます。
学内で基礎的な手技を身につけ、2年次後期から行われる臨地・臨床実習に備えましょう。
【学外】臨地実習
臨地実習は、歯科衛生士の職場のうち、歯科医療機関以外で行われる実習です。
主な実習先は以下のとおりです。
- 幼稚園・保育園
- 小学校
- 保健所・保健センター
- 障害者施設
- 高齢者施設
具体的には、障害者・高齢者施設で口腔ケアを行ったり、幼稚園、保育園、小学校などで子どもたちに歯磨きの大切さや正しい歯磨きの方法を伝えたりといったことが挙げられます。
臨地実習が行われる時期としては、2年次後期から3年が一般的です。
臨床実習と並行して行われることもあります。
【学外】臨床実習
臨床実習は、歯科医院や歯科クリニック、病院の口腔外科といった、歯科医療機関で行われる実習です。
実際に治療が行われる現場で、歯科衛生士ができる処置と診療補助・介助の方法を学びます。
具体的な実習の内容は以下のとおりです。
- 診療補助・介助
- 歯石除去
- 予防処置法
- 口腔衛生指導 など
多くの歯科衛生士は歯科医院や歯科クリニックに勤めることになるため、実習で学んだ内容は将来の仕事内容に直結するでしょう。
歯科衛生士の臨地・臨床実習の目的
ここでは、臨地・臨床実習の目的を紹介します。
- 歯科衛生士として知識に磨きをかける
- 患者さんの抱える問題に対する考え方を知る
- 他職種との働き方を知る
- 社会で必要なコミュニケーション能力を身につける
各目的を順番に説明していきます。
歯科衛生士として知識に磨きをかける
実習の目標の一つが、座学で学んだ知識に磨きをかけることです。
実習では、それまで座学で身につけてきた知識が、実際の現場でどのように活用されるのかを、体験のなかで学ぶことができます。
体験をとおして知識が実態を帯びれば、自身が資格取得後に活躍する姿も想像しやすくなるでしょう。
患者さんの抱える問題に対する考え方を知る
歯科医院を訪れる患者さんは、治療の内容はもちろん、家庭環境や通院可能かどうかなど、それぞれに異なる事情を持っています。
現場の歯科衛生士が、患者さんそれぞれの事情に対して対応していく様子からは、実習ならではの学びを得ることができるでしょう。
他職種との働き方を知る
歯科衛生士の仕事は、歯科医師をはじめ、他の職種との連携が欠かせません。
特に臨地実習では、介護士や保育士など、持っている知識が大きく異なる職種とも、力を合わせて働く場面があるでしょう。
臨地実習や臨床実習では、現場の歯科衛生士が、どのような職種とどのように連携していくのかを学ぶことができます。
社会で必要なコミュニケーション能力を身につける
養成校を卒業して働くことになれば、社会人にふさわしいマナーやコミュニケーションスキルが求められます。
臨地実習や臨床実習は、マナーやコミュニケーションスキルを学ぶ絶好の機会です。
特にアルバイト経験がない人や、普段年上の方と接する機会が少ない人は、実習中に身につけておくと、就職活動の際にも不利になりません。
歯科衛生士の実習の流れ
臨床実習を例に挙げ、一日の流れを紹介します。
実習期間中の過ごし方をイメージする際の参考にしてください。
時間 | 内容 |
6:30 | 起床、準備 |
8:00~8:50 | 実習先へ移動 |
9:00 | 午前中の実習開始 |
12:00 | 昼休憩 |
13:00 | 午後の実習開始 |
17:00 | 実習終了 |
18:00 | 帰宅後レポート作成 |
19:00~21:00 | 晩御飯や入浴など |
21:30 | 就寝、レポート作成が終わっていなければレポート終了後就寝 |
歯科衛生士の実習で気をつける点
実習期間中は歯科医院が営業中に行います。
そのため、不適切な行動や態度は、実習先や学校に迷惑をかけたり、実習を中止されたりする原因となります。
臨地実習や臨床実習では、以下の3点に注意してください。
- 積極的に質問・行動する
- 指導者からの問いかけに反応する
- 患者さんファーストの考えを持つ
積極的に質問・行動する
実習のなかでしか学べないことは少なくありません。
教科書の説明だけでは理解しきれなかった部分が、実際の現場を見れば理解できるということは珍しくないでしょう。
貴重な学びの機会を無駄にしないためにも、積極的な姿勢で臨み、わからないことがあれば質問してください。
指導者からの問いかけに反応する
実習中に「〇〇について知ってる?」「この作業をやってみたい人」などの問いかけがあったら、積極的に手を上げてみましょう。
他の実習生の前で受け答えをしたり、作業をしてみたりすることに対して不安を覚えるかもしれませんが、実習中は指導者がそばで見守ってくれているため、間違えたり、失敗したりしても問題ありません。
むしろ、国家試験や、就職後の現場で失敗するよりは、実習中に失敗を経験しておいたほうがよほど良いでしょう。
ふだん消極的な人や、自信がない人ほど、実習では積極的に手を上げておくべきです。
患者さんファーストの考えを持つ
実習先の歯科医院や病院は、業務中に実習生を受け入れています。
そのため、歯科医師や歯科衛生士は、実習生よりも患者さん優先で行動しなければなりません。
質問したいことがある場合も、患者さんに対応している最中は避け、手が空いたときを見計らって声をかけましょう。
また、声をかける際はいきなり質問をぶつけるのではなく「先ほどの〇〇の処置で聞きたいのですが今よろしいでしょうか?」と要件を先に伝えるのがおすすめです。
実習中は常に患者さんファーストの考えを持ち、実習先医院の迷惑にならないよう行動しましょう。
歯科衛生士の実習は内容を把握し万全な準備で臨もう
歯科衛生士の実習は1年次から始まり、卒業までに以下の3種類の実習を行います。
- 【学内】基礎実習
- 【学外】臨地実習
- 【学外】臨床実習
学内で行う基礎実習はクラスメイト相手ですが、学外で実施される臨地実習と臨床実習では、施設の利用者さんや患者さんに接する場面もあります。
実習内容は事前にしっかりと把握し、十分な準備をして臨みましょう。