鍼や灸で身体のツボを刺激し、健康になるよう手助けをする鍼灸師。
鍼灸師という独立した国家資格はなく、はり師ときゅう師の二つの国家資格を持つ人を合わせて、鍼灸師と呼びます。
はり師ときゅう師の試験科目には重なっている部分があり、それぞれの国家試験を同時に受験する場合は、共通している科目を受ける必要はありません。
そのため、鍼灸師をめざす人のなかには、はり師・きゅう師の国家試験を同時受験するケースもよくみられます。
では、鍼灸師になるための国家試験は、どのくらいの難易度や合格率なのでしょうか。
今回は、はり師・きゅう師それぞれの国家試験の合格率や、難易度を解説します。
目次
鍼灸師の国家試験の合格率は平均70%程度
はり師・きゅう師の国家試験は、平成4年度の第1回から令和3年度の第30回までが行われています。
これまで行われた試験すべてを合わせた合格率は、平均すると70%程度です。
はり師・きゅう師の国家試験では合格者数の上限を定めておらず、試験の点数が基準値に達した人はすべて合格になります。
つまり、受験者同士で点数を競い合うわけではなく、一定の基準に達していれば良いので、きちんと勉強していれば難易度はそれほど高くないといえます。
ただし、はり師・きゅう師の国家試験は、3年制の専門学校か4年制の大学に進学して専門課程を修了し、受験資格を取得しなければ受けられません。
各学校の特徴を事前によく調べ、自分に合った進学先を選びましょう。
【過去5年分】はり師国家試験の合格率
はり師の国家試験の合格率は、約70~75%です。
毎年どのくらいの受験者数と合格者数がいるのか、過去5年分の合格率をみてみましょう。
実施年 | 合格率 | 受験者数 | 合格者 |
2018年 | 57.7% | 4,622人 | 2,667人 |
2019年 | 76.4% | 4,861人 | 3,712人 |
2020年 | 73.6% | 4,431人 | 3,263人 |
2021年 | 70.0% | 3,853人 | 2,698人 |
2022年 | 74.2% | 3,982人 | 2,956人 |
はり師の国家試験は年に1回の実施です。
2020年までは150点満点中90点以上が合格ラインでしたが、2021年からは170点満点中102点以上が合格ラインになりました。
合格ラインの点数は12点引き上げられていますが、問題数も20問増えているため、合格の目安となる正答率は60%と変わりません。
2018年の合格率は60%をきっているものの、2019年以降は70%を超えているため、はり師の合格率はほぼ70%以上といって良いでしょう。
【過去5年分】きゅう師国家試験の合格率
きゅう師の国家試験も、はり師と同様に平均70%以上の受験者が合格しています。
過去5年間のきゅう師国家試験の合格率は以下のとおりです。
実施年 | 合格率 | 受験者数 | 合格者 |
2018年 | 62.5% | 4,555人 | 2,845人 |
2019年 | 78.5% | 4,655人 | 3,656人 |
2020年 | 74.3% | 4,308人 | 3,201人 |
2021年 | 72.2% | 3,797人 | 2,740人 |
2022年 | 76.1% | 3,892人 | 2,963人 |
きゅう師の国家試験は、はり師と同じく年1回行われます。
はり師と同様2021年度に合格基準が変更となり、170点満点中102点以上が合格ラインとなりました。
回答率60%以上を求められるのも、はり師試験と変わりません。
2018年の合格率は70%をきっているものの、翌年以降は全受験者の70%以上が合格しています。
はり師ときゅう師の国家試験は、同時に受験すればどちらか一方の共通科目が免除になるため、少しでも負担を抑えたいならはり師ときゅう師の同時受験がおすすめです。
きちんと対策をして鍼灸師国家試験に合格しよう!
鍼灸師になるためには、はり師ときゅう師それぞれの国家試験を受け、合格しなければなりません。
3年制の専門学校や4年制の大学へ進学し、専門課程を修了すれば受験資格を取得できます。
また、はり師ときゅう師では共通している試験科目があり、同時受験をすればどちらかの共通科目が免除されるため、計画的な勉強と受験体制を整えることで負担を抑えることもできます。
鍼灸師をめざす際にはしっかりと対策をして、はり師・きゅう師の国家試験に合格しましょう。