
鍼灸師の勤務先は、鍼灸院や接骨院などさまざまな職場が存在します。
多数の選択肢があるなかで、鍼灸師として病院のチーム医療に携わりたいと考えている人もいるのではないでしょうか。
しかし実際には、病院の求人はなかなか見つからないのが現状です。
本記事では、病院で働きたい鍼灸師はどのような行動をすれば良いのか、また、鍼灸師が病院で働くうえで必要なスキルや知識について解説します。
「病院でリハビリテーションや緩和ケアのチーム医療に携わりたい」と考えている鍼灸師の方は、ぜひこのまま読み進めてください。
目次
病院で働きたい鍼灸師はどうすれば良い?
病院で働きたい鍼灸師が行うべき行動は、次のとおりです。
- 鍼灸師の病院勤務の求人を探す
- 病院と提携している鍼灸院などを探す
鍼灸師の病院勤務の求人を探す
鍼灸師の病院勤務の求人募集は少ないのが現状であるため、見つかるまで定期的に求人を探すことが大切です。
病院の求人が少ない理由は、そもそも鍼灸を取り入れている病院が少ないためです。
平成24年の「病院医療における鍼灸ー鍼灸師が病院で鍼灸を行うために」を参考にすると、鍼灸を取り入れている病院は次のとおりでした。
- 全国8,168病院のうち304病院(4%)
- 304病院のうち院内で鍼灸治療を行っているのは107病院
また、実際にハローワークで「鍼灸 病院」で検索したところ141件中、病院に関連する求人は2件(2022年11月現在)ほどです。
以上のように、鍼灸師の病院勤務の求人は少ないのが現状であるため、根気よく求人を探す必要があるでしょう。
参考:病院医療における鍼灸ー鍼灸師が病院で鍼灸を行うために|J-STEAGE
病院と提携している鍼灸院などを探す
鍼灸師として病院に直接雇用されなくても、病院と提携している鍼灸院に勤める選択肢もあります。
病院内で直接鍼灸施術を行うのではなく、病院から患者さんを紹介してもらうといった、医療機関との連携を取り入れている鍼灸院が存在します。
つまり、患者さんの情報を医療機関と鍼灸院との間で共有し、患者さんの病状に応じた鍼灸医療を提供している現場もあるのです。
鍼灸師が病院で働きたいと思っても求人が少ないのが現状であるため、病院と提携している鍼灸院を探すことも選択肢に入れると良いでしょう。
病院で働きたい鍼灸師に必要な知識やスキルとは?
鍼灸師として病院で働きたいのであれば、病院で必要となる機能回復や緩和ケアに関する知識とスキルを獲得する必要があります。
ここでは、鍼灸師が病院で働くために必要な知識やスキルについて解説します。
病院で働くためには機能回復や緩和ケアのスキルが必要
鍼灸師として病院に勤める場合、神経内科や整形外科での勤務が予想されます。
そして、主に患者さんの機能回復や緩和ケアに対する施術を行うこととなるでしょう。
実際に、平成24年の「病院医療における鍼灸ー鍼灸師が病院で鍼灸を行うために」とハローワークの求人を参考にすると、次のとおりです。
- 埼玉医科大学病院において鍼灸依頼が最も多かった病棟は神経内科(49.7%)、対象となった疾患は難治性の疼痛や麻痺に対する施術
- ハローワークの求人(2022年11月現在)では、整形外科での施術など
鍼灸師として病院で働きたいのであれば、患者さんの身体機能の維持・向上のため施術スキルが必要と判断できます。
加えて、疼痛軽減などの緩和ケアに対する施術スキルも必要です。
また、総合病院などでは多くの患者さんが存在し、それぞれに疾患や症状が異なります。
そのため、神経内科や整形外科などの疾患に加えて、悪性腫瘍などさまざまな疾患や症状に対する知見をもつ必要があるでしょう。
参考:病院医療における鍼灸ー鍼灸師が病院で鍼灸を行うため|J-STEAGE
機能回復や緩和ケア以外で必要となるスキル
鍼灸師として病院で働くには、鍼灸施術や疾患に関連すること以外にも必要となるスキルがあります。
過去に案として作成された「緩和ケアのための鍼灸臨床研修プログラム」を参考に一部紹介すると次のとおりです。
科目 | 内容 |
情報管理 | 電子カルテの取り扱いやオーダーシステム、守秘義務などの一般的な情報管理に関する知識 |
文献検索・文献購読 | エビデンスのある治療などを情報収集する能力 |
指導 | 患者さんやご家族に個人の見解を述べてはならないため、チーム医療の方針により統一された指導方法を学ぶ |
相談 | 鍼灸師として患者さんやご家族の不安・不満の相談に応じる方法を学ぶ |
適切な情報管理や情報収集の方法にはじまり、患者さんやご家族の精神面・社会面をサポートするための指導・相談方法の理解も深める必要があります。
病院で働きたい鍼灸師は求人チェックと幅広い知識習得を心がけよう
鍼灸師として病院で働きたいのであれば、まずは根気よく病院勤務の求人を探す、もしくは、病院と提携している鍼灸院の求人を探す必要があります。
また、鍼灸師として病院で勤務していくのであれば、機能回復や緩和ケアに加えて、さまざまな疾患や症状に対する知見が必要となります。
病院のチーム医療の一員として、機能回復や緩和ケアを目的とする施術は、活躍の場が広がる鍼灸師のやりがいの一つとなるでしょう。