
ケアマネジャーが行うモニタリングでは、「作成したケアプランが正しく行われているのか」「改善できる点はないか」といった確認を行います。
ケアマネジャーの仕事としては、まずケアプランの作成を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、モニタリングも同様に重要な業務です。
今回は、ケアマネジャーのモニタリング業務の概要や注意点、モニタリングシートの記入方法などを解説します。
目次
ケアマネジャーのモニタリングとは?
モニタリングとは、ケアマネジャーの業務の一つで、ケアプランどおりのサービスが提供されているかどうか、利用者やご家族からのニーズとズレがないかなどの確認を行うことです。
モニタリングは少なくとも1ヵ月に1回行うこととされており、ケアマネジャーが利用者やご家族のもとを直接訪問する場合と、デイサービスなどの施設で行う場合とがあります。
ケアマネジャーがモニタリングを行う際のチェックポイント
ケアマネジャーがモニタリングを行う際には、以下のポイントを押さえておく必要があります。
- サービスがケアプランどおりに提供されているか
- 利用者・ご家族の満足度
- 新たな要望やニーズの変化の有無
- サービス提供を担った事業所からの意見の有無
- 目標の達成状況
それぞれ見ていきましょう。
サービスがケアプランどおりに提供されているか
モニタリングにおいて最も重要なのは、介護サービスがケアプランどおりに提供されているかの確認です。
介護の現場では、利用者の状況を踏まえて作成したケアプランをもとに、サービスの提供が行われています。
万が一、サービスがケアプランどおりに実施されていない場合には、問題を解消する方法を検討しなければなりません。
利用者・ご家族の満足度
利用者やご家族が日々の介護サービスにどの程度満足できているのかを確認するのも、モニタリングにおける重要なポイントです。
提供されている介護サービスが、利用者やご家族が抱える課題を解決、もしくは軽減できているのかをチェックします。
新たな要望やニーズの変化の有無
利用者の心身の状況や取り巻く環境は、日々変化します。
現行のケアプランを作成したときとは、解決するべき課題が異なっていることも珍しくありません。
新たな要望やニーズへの変化の有無を確認するのも、モニタリングの目的の一つです。
サービス提供を担った事業所からの意見の有無
利用者やご家族だけでなく、実際に介護サービスを提供した事業者からの意見があれば、そちらも参考にしましょう。
事業者は、ケアマネジャーよりも利用者やご家族と関わる機会が多いことがほとんどです。
そのため、利用者やご家族からの話からは見えてこなかった課題やニーズについて、情報を持っている可能性があります。
より良いケアのためにも、事業所からの意見を確認するようにしましょう。
目標の達成状況
ケアマネジャーがケアプランを作成する際には、ケアを通してどのような状態をめざすのか、目標を設定します。
モニタリングの際には、目標の達成状況の確認も行いましょう。
「すでに目標が達成されている」「今の利用者の状況では達成が難しい目標である」といった場合には、利用者の状況に合わせてその都度目標を変更していきます。
また、利用者やご家族とケアマネジャー側で、目標に対する認識を共有することも大切です。
モニタリングの機会を利用して、目標を確認するようにしましょう。
ケアマネジャーがモニタリングを行う際の注意点
続いて、ケアマネジャーがモニタリングを行う際に注意すべき点を見ていきましょう。
確認・ヒアリングしたい内容をあらかじめ伝えておく
モニタリングの際、利用者やご家族に質問する内容は、あらかじめ伝えておきましょう。
事前に質問がわかっていれば、利用者さんやご家族も答えやすく、モニタリングがスムーズに進みます。
否定的な言葉は使わず、リラックスした雰囲気で行う
利用者やご家族のなかには、目標を達成できていなかったり、新たな課題を抱えていたりすることもあるでしょう。
しかし、それに対してケアマネジャーが否定的なフィードバックを行ってしまうと、利用者やご家族が心を閉ざしてしまう可能性があります。
今できていることを肯定しつつ、信頼関係が壊れないよう細心の注意を払いましょう。
世間話なども取り入れながら、リラックスした雰囲気のなかでモニタリングができると、利用者やご家族の本音を引き出しやすくなります。
デリケートな話題に触れる際は慎重に
モニタリングの際は、排泄などデリケートな話題に触れることもあります。
利用者のなかには、そのような話題に触れることに抵抗を感じる人もいるため、言葉の選び方や話の進め方に配慮しましょう。
サービス担当者からの情報も大切に
サービス担当者からの情報も貴重であることは、先述のとおりです。
モニタリングの際は、可能な範囲でサービス担当者にもコンタクトを取り、利用者やご家族の状況について情報を集めましょう。
ケアマネジャーのモニタリングの書き方
モニタリングの実施後には、モニタリングシートに記載をします。
ここでは、モニタリングシートの書き方を見ていきましょう。
課題ごとに整理して記載する
介護を必要とする利用者やご家族の多くは、一つだけでなく、複数の問題や課題を抱えています。
そのため、モニタリング結果をまとめる際には、課題や問題ごとに整理して書くと良いでしょう。
ケアプランを作成する際に、課題ごとに番号付けをしておくと、あとで確認する際に便利です。
事実を具体的に記載する
ケアマネジャーの憶測や個人的な意見は入れず、事実だけを書くことを意識してください。
「いつ」「どこで」「誰が」「どのように」「何をした」のかを具体的にわかりやすく記載し、判断に迷うような曖昧な表現や用語は使わないようにしましょう。
身体状況・サービス提供内容を詳しく書く
身体状況やサービス提供内容は、できる限り詳しく記載しましょう。
モニタリングシートを見れば利用者の現在の状況が把握できるくらいに詳しい内容が理想的です。
モニタリングの結果・今後の方針を簡潔に書く
モニタリングシートの最後には、結果や今後の方針も簡潔にまとめましょう。
目標やケアプランを変更・修正した場合には、それに至った理由も記しておくと、あとから確認した際に経過が理解しやすくなります。>
ケアマネジャーのモニタリングは介護サービスの向上に必要不可欠
ケアマネジャーの業務の一つであるモニタリングに関して、目的やチェックポイント、注意点、モニタリングシートのまとめ方を解説しました。
介護サービスの質の向上、そして利用者やご家族の満足度向上のためには、ケアマネジャーによる定期的なモニタリングが必要不可欠です。
今回紹介したポイントや注意点を踏まえ、利用者やご家族に負担のない形でのモニタリング実施をめざしてみてください。