治験コーディネーターについて調べると、「しんどい」「きつい」というネガティブな意見を目にします。
逆に、「新薬開発に関われるやりがいがある」、「残業なしでプライベートと両立できる」などのポジティブな意見もありますが、実際はどうなのでしょうか。
今回は、治験コーディネーターの仕事について、負担に感じられがちな部分と離職率などを解説します。
また、治験コーディネーターになってから後悔しないために、向き不向きと、新薬開発に携わることのできる他職種の選択肢も紹介していきましょう。
目次
治験コーディネーターの仕事できついと感じること
治験コーディネーターは、具体的にどんなところでつらいと感じるのでしょうか。
仕事で大変なところ、苦労することを紹介します。
医師や医療スタッフとのコミュニケーションが大変
治験コーディネーターはSMO (治験施設支援機関)から医療機関へ派遣されて業務に就くことが多く、医療スタッフとのコミュニケーションに苦労が生じがちです。
医療機関のスタッフにとって、治験を受け入れることで通常業務にプラスして仕事が増えるため、鬱陶しく思われることも少なくありません。
担当している治験の重要性を説明しながら、関わるスタッフ全員に気持ちよく働いてもらえるよう、立ち回ることが必要です。
また、派遣先が変わるごとに、人間関係を一から形成しなければなりません。
臨機応変な対応が求められ、苦労しがちな点となります。
細かい事務作業が大変
治験コーディネーターの仕事は被験者とのコミュニケーションがメインですが、煩雑な事務作業も発生します。
細かい作業が多く、ミスできない重要なものばかりです。
看護師や臨床検査技師など臨床の現場から転職した方のなかには、事務作業を苦にする方も少なくありません。
業務内容の大きな違いに、悩みを抱えてしまいがちなのです。
ルールや専門用語を覚えなければならない
治験コーディネーターの仕事では、医薬品や医療に関して専門的な知識が求められます。
担当する治験によって必要な知識も大きく変わるため、新たな案件になるたびに新しい情報を記憶しなければなりません。
休日対応がありプライベートを確保しづらい
治験コーディネーターの仕事では、急を要する案件の際は休日対応も発生します。
社用携帯を持ち、休日でも電話での対応や急な呼び出しに応じるケースもあります。
また、被験者から直接連絡を受けることも多く、有事の際は早急に対応が必要です。
勤務時間外も常に連絡がないか気にしていなければならず、ワークライフバランスを保つことが難しくなるかもしれません。
英語の読み書きが必要
治験コーディネーターは英語の書類に触れる機会が多く、英語の読み書きがまったくできないと、業務のスムーズな遂行に支障が出ることもあります。
書類以外にも、医師がカルテに病名や病状を英語で記すこともあるため、一般的な英語の知識だけでなく専門用語を英語で理解しておかなければなりません。
他職種からの転職だと給料が下がるケースもある
他の医療職から治験コーディネーターへ転職する場合、給料が下がることもあります。
特に夜勤のある看護師からの転職では顕著です。
治験コーディネーターは日勤のみの仕事となるため、看護師として受け取っていた夜勤手当が発生せず、給料が減ってしまうからです。
治験コーディネーターになって後悔しないために
治験コーディネーターになってから「向いていないかも」「すぐに辞めたい」と思わないように、本当に自分に向く職業であるかを事前に確認しておきましょう。
治験コーディネーターの向き不向きと職場環境、似た役割を果たせる他職種の選択肢を紹介していきます。
治験コーディネーターに向いているか考える
治験コーディネーターに向いている人の特徴を3点紹介します。
- コミュニケーション能力が高い人
被験者、医師、製薬会社など、さまざまな人とコミュニケーションをとりながら進めていく仕事のため、この能力は必須です。 - 真面目な人
事務作業が多く、重要な書類を扱うため、几帳面で真面目な人が向いています。 - ストレス耐性がある人
派遣先の人間関係や、成果状況による急なスケジュール変更などによるストレスが絶えない仕事です。
趣味やプライベートでストレスをうまく発散できることも、治験コーディネーターに大切な資質となります。
派遣先の人間関係や、成果状況による急なスケジュール変更などによるストレスが絶えない仕事です。
趣味やプライベートでストレスをうまく発散できることも、治験コーディネーターに大切な資質となります。
自己分析をして自分が治験コーディネーターに向いているかを事前に考えてみましょう。
治験コーディネーターに向いている人に関する詳細は、以下の記事をご参照ください。
他業種の求人も選択肢にする
「新薬を患者さんに届けたい」「新薬開発に携わりたい」という思いから、治験コーディネーターをめざす人は多くいるでしょう。
ただし、治験コーディネーターのほかにも、そうした思いを叶えられる仕事は存在します。
新薬の開発など製薬に関する三つの職業を紹介します。
MR
製薬会社に所属し、医師や薬剤師に自社の医薬品に関わる情報を伝達し、販売する営業職の一種です。
患者さんとの関わりよりも、医療関係スタッフとのコミュニケーションがメインとなります。
コミュニケーションをとることは得意でも、事務作業はあまり自信がない方におすすめです。
臨床開発モニター
治験の進行サポートに関わる臨床開発モニターは、治験を行う医療機関の選定や契約手続き、モニタリング、報告書作成などを行います。
治験コーディネーターが被験者・製薬会社・医療スタッフとの調整役であるのに対し、臨床開発モニターは病院内で治験が正しく行われるようモニタリングすることがおもな仕事です。
被験者と接することは少なく、管理や指導を行うことがメインとなるため、「管理業務が得意」という方は活躍しやすいでしょう。
製薬会社の研究職
製薬会社に所属し、新薬開発の研究を行います。
製薬に関する高度な専門知識を必要としますが、 一つの物事をとことん追求したい方に向いている仕事です。
職場の環境を見極める
仕事をするうえで、職場環境は重要なポイントです。
労働環境・雇用条件・人間関係など、働く環境が整っているかを事前に確認しましょう。
求人に応募する際には、企業について検索したり、知り合いから情報を収集したりして、問題のない職場であるかどうか見極めることが大切です。
治験コーディネーターは楽ではないがやりがいのある仕事
治験コーディネーターに対しては、「きつい」「大変」という声があるように、実際は楽な仕事ではありません。
調整役として多方面とコミュニケーションをとること、細かい事務作業が多いことなど、苦労する点もあります。
しかし、新薬の開発に携わることができ、やりがいを感じられる仕事であることも事実です。
治験コーディネーターとして働く際には、自分に合う仕事なのかどうかに加え、職場環境も確認し、事前に見極めたうえでチャレンジすることをおすすめします。