治験コーディネーターは、新しい薬を作るうえで必要不可欠な仕事です。
しかし、現在の日本では医療費を抑制する動きがあり、今後の治験の数やコーディネーターの需要に不安を感じる方もいるかもしれません。
この記事では日本の医療環境の現状をもとに、治験コーディネーターの将来性を紹介します。
目次
治験コーディネーターは将来性のある仕事?
治験コーディネーターは、資格の取得が不要な仕事です。
しかし、現在の日本では医療費を抑制する動きもあり、幅広い人が目指しやすい治験コーディネーターの今後の需要に不安を感じる方もいるでしょう。
そこで、以下の項目から治験コーディネーターの将来性を探っていきます。
- 国内の新薬開発が進んでいるため需要はある
- 人手不足に悩んでいる
- 治験施設支援機関所属の治験コーディネーターは増える可能性がある
- スキルアップで年収アップも狙える
国内の新薬開発が盛んなため需要は高い
治験とは、開発した新薬を人体へ投与して効果を確認するための臨床実験を指します。
治験コーディネーターは治験をアシストする仕事で、治験が定期的に実施されないと仕事がありません。
そのため、今後の安定を望むのであれば、国内の治験が盛んになる必要があります。
独立行政法人医薬品医療機器総合機構が発表した『薬物の治験計画届出件数の推移』によると、初回の治験計画届数は2014年の151件から2020年にかけて186件にまで伸長し、治験の計画数は増加傾向にあります。
また、同時点の開発中止届においても減少傾向にあることから、治験自体は実施され続けていると推測可能です。
今後も治験が安定して実施されるようであれば、治験コーディネーターの将来性も安定するといえるでしょう。
年々人手不足で悩んでいる
日本SMO協会が発表している『日本SMO協会データ2019』によると、治験コーディネーター(CRC)の人数は2013年を皮切りに減少傾向にあります。
働き手が減少しているため、一見将来性が乏しいように思うかもしれません。
しかし、実はある特定の分野で治験コーディネーターが今後活躍することが予想されています。
それは、ガンの分野です。
独立行政法人医薬品医療機器総合機構が発表した『治験計画届出件数の推移(薬効別分類)』によると、抗悪性腫瘍薬分野の治験開発は増加傾向です。
2014年には159件しか届いていなかった治験計画も、2020年には317件にまで増加しています。
ガン分野での新薬開発が促進されれば、今後も治験コーディネーターの仕事が安定する可能性があります。
治験施設支援機関所属の治験コーディネーターが増える見込み
治験コーディネーターには、以下の2種類の雇用形態があります。
- 病院内での直接雇用
- 治験施設支援機関(SMO)に所属してからの派遣雇用
今後の治験コーディネーターは特に、上記の派遣による雇用の増加が期待できるでしょう。
治験分野のアウトソーシング雇用は発展途上であるため、今後の対応次第ではSMOに所属できる治験コーディネーターが増える可能性もあります。
また、厚生労働省が発表している『臨床研究・治験の推進に関する今後の方向性について』では、治験コーディネーターの給与形態の改善に対応すると記載されています。
給与形態の改善が見込まれるのであれば働きたいと思う人も増えると予想され、治験コーディネーターの需要も増えるかもしれません。
スキルアップで年収も増やせる
治験コーディネーターは資格を持っていなくても働けますが、以下の資格を取得するとキャリアアップに役立つでしょう。
- 薬剤師
- 臨床検査技師
- 看護師
- 栄養管理士
以上の資格があると治験コーディネーターとしての知識も増えるため、治験現場でも活躍できる場面が増えるはずです。
キャリアを進めてプロジェクトリーダーなどの管理職になれば、年収アップにもつながる可能性もあります。
いずれにせよ、治験コーディネーターで年収を増やすためには、高い向上心が求められます。
将来性のある治験コーディネーターとして働こう
治験コーディネーターは今後雇用機会が増え、給与形態の改善も見込まれる職業です。
感染症の拡大でさまざまな職種の雇用が安定しないなか、治験コーディネーターは安定した雇用が期待できる職業でもあります。
将来性がある職を選びたいと考える方は、治験コーディネーターはおすすめできる選択肢の一つです。