治験コーディネーターの年収がどのくらいなのか、気になる人もいるでしょう。
この記事では、公式なデータに基づきながら、治験コーディネーターの年収・給料、他の医療系職種との年収比較を紹介します。
治験コーディネーターの仕事内容については次のページをご確認ください。
また、治験コーディネーターがきついかどうかを知りたい方は、次のページをご確認ください。
目次
治験コーディネーター(CRC)の年収は?
被験者のアレンジやデータ整理など、治験の調整役として活躍する治験コーディネーター(CRC)は、どの程度の収入が得られるのでしょうか。
令和4年賃金構造基本統計調査によると、治験コーディネーターの平均年収は、443.3万円でした。
また、令和4年度のハローワーク求人統計データでみると、平均月給は23.3万円となっています。
厚生労働省の「job tag 職業情報提供サイト(日本版O-NET)」によると、道府県別のCRCの平均年収は以下のとおりです。
都道府県 | 平均年収 |
東京都 | 432.9万円 |
大阪府 | 438.1万円 |
北海道 | 519.1万円 |
岩手県 | 419.9万円 |
福島県 | 361.3万円 |
群馬県 | 427.2万円 |
神奈川県 | 510.2万円 |
愛知県 | 470.4万円 |
広島県 | 542.7万円 |
愛媛県 | 340.7万円 |
福岡県 | 450.6万円 |
熊本県 | 337.0万円 |
沖縄県 | 346.3万円 |
治験コーディネーターと各職種の年収比較
治験コーディネーターは、他の医療職から転職する場合も多くあります。
その際、年収はどのように変化するのでしょうか。
看護師、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士、臨床工学士、栄養士・管理栄養士の平均年収は以下のとおりです。
職種 | 平均年収 |
治験コーディネーター | 443.3万円 |
看護師 | 508.1万円 |
薬剤師 | 583.4万円 |
臨床検査技師 | 508.9万円 |
理学療法士 | 430.7万円 |
臨床工学士 | 443.3万円 |
栄養士・管理栄養士 | 379.1万円 |
上表から、看護師や薬剤師、臨床検査技師においては、治験コーディネーターよりも年収が高いことがわかります。
理学療法士や臨床工学士は治験コーディネーターと同等程度の年収ですが、栄養士・管理栄養士は大幅に低い傾向です。
ここからは、それぞれの職種についてより詳しく見ていきましょう。
看護師との年収比較
職種 | 平均年収 |
看護師 | 508.1万円 |
治験コーディネーター | 443.3万円 |
看護師と治験コーディネーターで年収を比較すると、看護師のほうが64万円以上も高くなります。
ただし、看護師は夜勤手当の有無によっても給与が大きく変わるため、働き方によって年収も変動します。
日勤のみで比較すると、治験コーディネーターよりも低い年収になるケースもあるでしょう。
薬剤師との年収比較
職種 | 平均年収 |
薬剤師 | 583.4万円 |
治験コーディネーター | 443.3万円 |
薬剤師は治験コーディネーターに比べて大幅に給与が高くなっています。
新薬開発に携わる治験コーディネーターの仕事内容に魅力を感じて転職する場合は良いですが、収入の大幅ダウンは覚悟しておきましょう。
臨床検査技師との年収比較
職種 | 平均年収 |
臨床検査技師 | 508.9万円 |
治験コーディネーター | 443.3万円 |
臨床検査技師は夜勤を求められる場合もあり、治験コーディネーターよりも平均年収が高くなっています。
しかし、臨床検査技師でも20代前半の給与は320万円程度とあまり高くはないため、年齢とタイミングによっては、治験コーディネーターへの転職で給与アップも狙えるでしょう。
理学療法士との年収比較
職種 | 平均年収 |
理学療法士 | 430.7万円 |
治験コーディネーター | 443.3万円 |
理学療法士と治験コーディネーターでは、治験コーディネーターのほうがわずかに年収で上回ります。
あまり年収差はないため、収入アップを狙える転職にはならないかもしれません。
迷っている場合は仕事のやりがいで選ぶと良いでしょう。
栄養士・管理栄養士との年収比較
職種 | 平均年収 |
栄養士・管理栄養士 | 379.1万円 |
治験コーディネーター | 443.3万円 |
栄養士・管理栄養士と治験コーディネーターでは、治験コーディネーターのほうが年収が約64万円高いという結果でした。
栄養士・管理栄養士から治験コーディネーターへ転職する場合、年収の大幅アップが見込めるでしょう。
治験コーディネーターは医療資格による給料の差はない
医療機関に勤める場合、看護師、薬剤師、臨床検査技師、管理栄養士では保有資格によって給与水準が異なりますが、治験コーディネーターは持っている資格による給与の違いはあまりありません。
治験コーディネーターの仕事には、疾病や医薬品、医療システムに関する幅広い知識が必要となり、資格よりむしろ経験と実績により給与水準が変動します。
また、後述する認定資格を取得すると、専門的な知識とスキルを証明できるほか、資格手当を受け取れる場合もあります。
治験コーディネーターの年収を上げるためのポイント
ここからは、治験コーディネーターの年収を上げるためのポイントとして、以下の2つを紹介します。
- 「公認CRC」や「認定CRC」を取得する
- 大手SMOで勤務する
では、それぞれを見ていきましょう。
「公認CRC」や「認定CRC」を取得する
治験コーディネーターには必須の資格はありませんが、「公認CRC」や「認定CRC」など、治験コーディネーターの資質向上を目的に創設された資格があります。
治験コーディネーターの実績やスキルを示す目安となるため、取得することで、キャリアアップや転職時に有利となるでしょう。
いくつかの団体で資格試験が実施されており、代表的なものは以下のとおりです。
- 日本SMO協会 公認CRC
- 日本臨床薬理学会 認定CRC
- SMONA教育研修 CRC認定制度
大手SMOで勤務する
治験受託の多くを大手企業が占めており、平均年収も企業規模によって差が出るなど、治験コーディネーターの待遇は大手企業の影響を受けやすいのが特徴です。
大手SMO(治験施設支援機関)が、治験コーディネーターの平均年収を底上げしているともいわれています。
なかでも最大手とされるのは、以下の4社です。
治験コーディネーターで高収入を狙える求人といえるでしょう。
- 株式会社EP綜合
- シミックヘルスケア・インスティテュート株式会社
- ノイエス株式会社
- 株式会社アイロム
上記の4社は治験コーディネーターの人数や提携施設数も多く、この4社で全体のシェア8割以上を占めています。
そのため、他の企業と比べて平均年収が50万円ほど高く、賞与も年2回4ヵ月分など安定して支払われるため、高収入が狙えるのです。
高収入を狙うためには、上記の企業の求人をチェックしてみると良いでしょう。
治験コーディネーターの平均年収は約440万円だが年収アップはめざせる
治験コーディネーターの平均年収は443.4万円で、看護師・薬剤師・臨床検査技師などに比べると少し低い水準となっています。
とはいえ、治験コーディネーターは日勤で安定して稼げるため、家庭やプライベートとも両立しやすく、長い目で見たときに魅力的な職種です。
今回は、治験コーディネーターとして年収を上げるポイントも紹介したので、ぜひ参考にして年収アップを狙いましょう。
求人には年収1,000万円を超えるものもあり、治験コーディネーターとして収入アップとキャリアアップをめざすことも可能です。
また、治験コーディネーターの将来性について気になる方は以下ページも参考にしてください。