
視能訓練士は、斜視や小児弱視を矯正したり、視覚機能を検査したりする職業です。
1971年に国家資格として制定されて以降、目の専門家として幅広く活躍しています。
しかし、実際に視能訓練士をめざして情報を集めてみると「やめたほうが良い」「就職は難しい」など、後ろ向きな意見を見かけることも少なくありません。
今回は、視能訓練士が就職できないといわれる理由や、視能訓練士の就職事情を、詳しく解説します。
目次
視能訓練士が就職できないといわれる理由
視覚訓練士が就職できないといわれる理由としては、主に次の2点が挙げられます。
- 業務独占資格ではない
- 求人が都市部に集中している
業務独占資格とは、簡単にいうと特定の業務を専門に行える資格です。
医療関係の国家資格で例を挙げると、次のような資格が業務独占資格にあたります。
- 医師
- 看護師
- 歯科衛生士
- 理学療法士
- 臨床検査技師
上記のような職業は、資格を持っている人しか従事できません。
これに対し、視能訓練士の仕事内容は看護師や准看護師も従事できるため、病院やクリニックによっては、在籍していない場合もあります。
そのため、結果就職が難しいといわれるのです。
また、求人が都市部に集中しているため、地方での就職はさらに困難です。
視能訓練士の就職事情を解説
次に、実際に視能訓練士として働いている人の雇用状態、平均年齢や男女比、年収・就職先などを見ていきましょう。
年齢
2020年の視能訓練士実態調査報告書によると、年齢別の割合は次のとおりです。
年齢 | 割合 |
20代 | 約15% |
30代 | 約34% |
40代 | 約32% |
50代 | 約14% |
60代以上 | 約4% |
年齢の割合でみると、視能訓練士として働いているのは30代〜40代の人が多いとわかります。
また、視能訓練士の養成校には、夜間に通える学校や1年制の学校もあるため、社会人として働きながら視能訓練士をめざす人も少なくありません。
男女比
視能訓練士の男女比について、2000年から2020年までの推移を見ていきましょう。
2000年 | 2010年 | 2020年 | |
男性 | 約6% | 約11% | 約14% |
女性 | 約94% | 約89% | 約86% |
上記のとおり、視能訓練士は女性が多い職種となっています。
しかし、男性の割合も徐々に増加傾向にあり、将来的にはさらに増える可能性もあります。
年収
視能訓練士の収入は、年齢・勤続年数・勤務地域によって異なります。
令和5年賃金構造基本統計調査をもとに、それぞれの項目を解説しましょう。
正規職員の例を挙げると、全体的な平均年収は432.5万円ですが、20代だと364.3万円、50代だと543.2万円です。
勤続年数でみると、5年未満の場合は平均年収306.1万円ですが、勤続年数が5年増えるごとに年収も上がっていき、15年以上になると年収500万円を超えます。
勤務地域別で年収を比較すると、一番年収が高いのは滋賀県の473万円で、一番低いのは長崎県の364万円です。
この他にも、勤務先や男女の違いで年収に違いが出ます。
就職先の現状
視能訓練士の就職先は、眼科が最も多く、次いで私立病院、国公立医療機関などがあります。
少数ですが、一般企業や養成施設の職員として就職する人もいます。
ただし、求人数は他の医療系資格と比較すると、多くありません。
視能訓練士は就職できる!就職先によっては高収入も
就職難が不安視される視能訓練士ですが、求人は決してない訳ではありません。
勤務先や勤続年数によっては、高収入を得られる可能性があります。
ただし、求人が都市部に集中する傾向があり、希望する地域で必ず就職できるとは限りません。
自分の希望する勤務地や勤務先を具体的にイメージして、より多くの求人情報を集めましょう。