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公認心理師が病院勤務で求められる役割や仕事内容は?給料や雇用形態も解説

公認心理師は心理の専門家として、病院勤務などで活躍していますが、非常勤が大半を占めている実態があります。
給料や働き方などが理由で、別の分野と迷ったり、働くイメージをもちにくかったりするでしょう。

本記事では、公認心理師の病院勤務の割合や、勤務先、病院での役割、スケジュールなどを解説します。
非常勤と常勤の給料や、勤務先別の雇用形態の割合も紹介するので、病院勤務のイメージをもてるでしょう。

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公認心理師の病院勤務率は約30%

公認心理師が活躍する分野は、保健医療、福祉、教育、産業・労働、司法・犯罪の5分野があり、全体数の約30%を保健医療、約29%を教育、約21%を福祉が占めています。
また、公認心理師の45%が複数の分野を兼業しているのが実態です。
病院勤務の場合、幅広い勤務先や配属先があります。

具体的な勤務先

医療分野で勤務する場合、次のような勤務先で活躍できます。

  • 精神科主体の病院
  • 一般病院・総合病院
  • 精神科専門の診療所
  • 精神科以外が専門の診療所
  • 歯科診療所
  • 医療機関併設の相談室
  • その他

精神科主体の病院や一般病院・総合病院では、他の勤務先よりも配置人数が多いです。
勤務先によっては雇用形態も異なるため、のちほど解説する公認心理師の雇用形態も参考にすると良いでしょう。
病院勤務は、配属される部署によっても業務が異なるため、勤務先に加えてどのような患者さんの支援を専門とするかも考えると良いでしょう。

医療機関での配属先

公認心理師は医療機関の幅広い配属先で活躍しています。

  • 精神科(43.7%)
  • 心理相談部門(24.9%)
  • 心療内科(17.1%)
  • 小児科(10.7%)
  • 児童精神科(10.3%)
  • がん・緩和ケア関連診療科(3.7%)
  • リハビリテーション科(3.7%)
  • 内科(3.1%)
  • 脳神経内科(2.7%)
  • 認知症疾患医療センター(2.5%)
  • 産婦人科(1.7%)
  • 脳神経外科(1.6%)
  • 周産期母子医療センター(1.5%)
  • 整形外科(1.1%)
  • 感染症科・HIV関連診療科(0.8%)
  • 遺伝科(0.4%)
  • 麻酔科・ペイン科(0.3%)
  • 救急救命センター(0.3%)
  • その他診療科(1.4%)
  • デイ・ケア部門(9.8%)
  • コメディカル部門(5.2%)
  • その他の部門(2.5%)

精神科や小児などの、心の健康に特に配慮が必要な配属先が、大半を占めています。
配属先の希望がある場合は、他条件よりも優先したほうが良いでしょう。

公認心理師が病院勤務で求められる役割

公認心理師が病院勤務で求められる役割は、心の専門家として患者さんや保護者の方など関係者のサポートをすることです。
公認心理師法の第二条では、次のように定められています。

第二条 この法律において「公認心理師」とは、第二十八条の登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう。

一 心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し、その結果を分析すること。

二 心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。

三 心理に関する支援を要する者の関係者に対し、その相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。

四 心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行うこと。

出典:公認心理師法

具体的には、患者さんのアセスメント、カウンセリング、心理面接、メンタルヘルスの教育を通した心のケアが期待されています。
病院によっては、職員のメンタルヘルスにアプローチする役割も期待されるでしょう。

公認心理師が病院勤務で対応する業務

公認心理師が病院勤務で担う業務は、主に次の4つが挙げられます。

  • 心理査定
  • 心理的支援
  • コンサルテーション
  • 心理情報の提供・啓発

それぞれの業務内容を詳しく解説します。

心理査定

心理査定とは、患者さんの心理状態や特性、課題を把握する業務です。
心理テストや行動観察、面接などから、患者さんの特性を理解して、必要な援助を考えます。
表面的な問題ではなく根本の理解に励むと、適切な心理療法の選定につながるでしょう。
また、患者さんがセルフケアできるように、心理査定を通して自己理解を深めてもらうことが重要です。

心理的支援

心理的支援とは、心理査定で選定した下記のような支援方法を実施し、心の問題にアプローチする業務です。

  • 認知行動療法:問題の受け取り方(認知)に働きかける療法
  • 芸術療法:絵画、粘土などによる表現を通して心をケアする療法

患者さんに合わせた心理的支援で、自己理解や自尊感情も養います。

コンサルテーション

コンサルテーションは、患者さんの心の課題を解決するために、関係者の相談にのったり助言したりする業務です。
公認心理師一人で、患者さんの課題解決を行うよりも、チームで働きかけるほうが効果的で、患者さんのためにもなります。
関係者間で情報交換をしたり助言をしたりと、チームで課題解決できるように努めていきましょう。

心理情報の提供・啓発

公認心理師は、特定の患者さんだけではなく、相談を受けていない患者さんや職員へ心理情報の提供や啓発を行い、心を教育する業務もあります。
心の健康問題を未然に防げるように働きかけるのが、公認心理師の役割の一つです。
仕事や人間関係、ストレス解消法など、心の専門家として正しい情報を発信し、幅広い人々へ心理教育を実施しましょう。

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公認心理師として病院勤務する人のスケジュール

精神科主体の病院に勤務する公認心理師の、スケジュールの一例を紹介します。

時刻 仕事内容
8:30 始業 1日のスケジュールを確認

カンファレンス(医師や看護師との会議で、患者さんの治療方針など情報を共有)

9:00 入院患者さんの心理査定や心理的支援
12:00 休憩 昼食
13:00 外来患者さんの心理査定や心理的支援
16:00 研修会

心理査定や心理的支援を続けたり、病棟を回ったりする

17:00 デスクワーク(カルテ記入、面談計画の作成、医師や看護師との情報共有、翌日の準備など)
17:30 終業 退勤

病院によって異なりますが、研修会や勉強会なども定期的に実施されるでしょう。
患者さんに合わせて、医療や薬などの知識も勉強し、自己研鑽に励んでいます。

公認心理師の病院勤務での雇用形態や雇用条件・待遇・給料

公認心理師として病院勤務をした場合の雇用形態や、雇用条件、待遇、給料を解説します。
自分の専門の支援対象や、働き方に合わせて仕事を選ぶためにも、参考にしてください。

雇用形態

公認心理師の雇用形態は、全体の46.2%が常勤で、非常勤が43.0%、常勤と非常勤を組み合わせた働き方が10.1%を占めています。
下記の表のように、病院や診療所によっても常勤と非常勤の割合が異なります。

勤務先 常勤人数 非常勤人数
精神科主体の病院 1,161 432
一般病院・総合病院 839 508
精神科専門の診療所 497 714
精神科以外が専門の診療所 132 175
歯科診療所 3 3
医療機関併設の相談室 57 108
その他 148 93

厚生労働省「令和2年度障害者総合福祉推進事業 公認心理師の活動状況等に関する調査」を参考に作成

他の勤務先に比べて精神科主体の病院は、常勤の割合が高い傾向があります。
また診療所よりも、精神科主体の病院や一般病院のほうが常勤数が多いです。
常勤を希望する人は、常勤人数が非常勤人数よりも多い勤務先に焦点を当てて、求人を探すと良いでしょう。

給料

公認心理師の給料は、常勤か非常勤かでも異なります。
なかには、複数の職場を兼任している人もいるため、給料の目安を知っておくと良いでしょう。

常勤の月収

厚生労働省は、保健医療分野の常勤として活躍する公認心理師の月収を次のように発表しています。

月収 割合(%)
20万円未満 12.1%
20万円以上 25万円未満 21.0%
25万円以上 30万円未満 11.4%
30万円以上 35万円未満 7.7%
35万円以上 40万円未満 4.3%
40万円以上 45万円未満 2.1%
45万円以上 50万円未満 1.2%
50万円以上 100万円未満 1.9%
100万円以上 0.7%

厚生労働省「令和2年度障害者総合福祉推進事業 公認心理師の活動状況等に関する調査」を参考に作成

最も多い割合は、月収20万円以上25万円未満で21.0%です。
保健医療以外では、福祉も月収20万円以上25万円未満の割合が多く、教育では20万円未満の割合が大きいという結果が出ています。
産業・労働や司法・犯罪では30万円以上35万円未満の割合が多い傾向なので、分野によって月収の幅が大きい状況です。

非常勤の時給

公認心理師が、保健医療分野で非常勤として働く際の時給は、次のとおりです。

時給 割合(%)
1,000円未満 0.6%
1,000円以上 1,500円未満 11.3%
1,500円以上 2,000円未満 12.9%
2,000円以上 2,500円未満 6.4%
2,500円以上 3,000円未満 3.4%
3,000円以上 3,500円未満 2.5%
3,500円以上 4,000円未満 1.0%
4,000円以上 4,500円未満 1.3%
4,500円以上 5,000円未満 1.2%
5,000円以上 5,500円未満 2.6%
5,500円以上 6,000円未満 0.4%
6,000円以上 6,500円未満 0.3%
6,500円以上 7,000円未満 0.1%
7,000円以上 7,500円未満 0.1%
7,500円以上 8,000円未満 0.1%
8,000円以上 8,500円未満 0.1%
8,500円以上 9,000円未満 0.1%
9,000円以上 9,500円未満 0.0%
9,500円以上 10,000円未満 0.1%
10,000円以上 0.7%

厚生労働省「令和2年度障害者総合福祉推進事業 公認心理師の活動状況等に関する調査」を参考に作成

非常勤の場合、1,500円以上2,000円未満の時給の割合が最も多く、12.9%を占めています。
また、10%程度を占める時給の区分は、1,000円以上2,000円未満で、他の区分の割合は10%未満と少ないです。
時給5,000円以上の公認心理師は、より高度な専門家として、勤務先の必要に応じて稼働する働き方だと考えられます。

勤務時間・休日

一般的な医療機関は、日中に患者さんに対応し、大体の稼働が平日です。
土日完全休みの病院や、土曜の午前に診察を受け付けている病院など、勤め先の営業時間に合わせて働きます。

また非常勤は、1週間あたり2日未満の稼働が全体の60.3%と、全体的に勤務日数が少ないです。
さらに給料を稼ぎたい人は、複数の勤務先を兼業し、稼働時間を調整して給料を安定させると良いでしょう。
産業・労働だと土日休みが多かったり、少年鑑別所などの司法・犯罪分野では夜勤やシフト制があったりと、医療分野以外とも勤務時間は異なります。

公認心理師が病院勤務を選んだ理由・やりがい

病院勤務以外にも幅広い分野で活躍できる公認心理師ですが、病院で心の支援を行うことには特別な理由ややりがいがあります。

  • 患者さんの回復に携われる
  • 心理面から支援できて信頼関係を築ける
  • 感謝される

病院勤務の公認心理師は、医師や看護師と連携して入院や外来患者さんの心のサポートに携われる仕事です。
支援を通して患者さんの心を開いて信頼関係を築き、相談してよかったと思ってもらえるのが公認心理師のやりがいの一つでしょう。

公認心理師として病院勤務するイメージをもとう

公認心理師は、教育や福祉など幅広い勤務先がありますが、病院勤務では医師や看護師と一体となって、患者さんの支援に携われます。
病院勤務でも配属先によって支援対象が変わるため、実際に勤務するイメージをもって勤務先を選ぶと良いでしょう。

また、雇用形態は非常勤の割合が大半ですが、精神科主体の病院や一般病院、総合病院などでは常勤の募集もあるため、常勤をめざすことも可能です。
働き方や勤務先のイメージをもち、自分に合った職場を選びましょう。

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執筆者について

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