近年、保育のスタイルや形態が多様化しており、さまざまなニーズに応えられるように専門性を高めたいと考えている保育士の方もいるかもしれません。
保育士の知識や技能を高めるためには、資格取得が有効です。
この記事では、保育士のスキルアップやキャリアチェンジに有利な、おすすめの資格をご紹介します。
通信教育のみで取れる資格もあるので、効率良く資格取得をしたい保育士の方も参考にしてみてください。
目次
保育士のスキルアップに役立つ資格
保育士のスキルアップに役立つ資格を12個ご紹介します。
さまざまな資格を紹介しているので、保育の質を高めたいと考えている保育士の方は、自分にあった資格を見つけてみてください。
医療保育専門士
出典:日本医療保育学会
医療保育専門士は、一般社団法人日本医療保育学会が認定する民間資格です。
専門的な保育を通じて、医療が必要となる子どもとそのご家族のQOLを向上させることを目的として活動します。
医療保育専門士を取得した保育士が医療と関わる現場には、病院や診療所、病児保育室、障害児施設などがあります。
資格認定を受けるためには、現職の保育士であること、医療保育の経験があることなどが必要です。
運動保育士
出典:NPO法人 運動保育士会
特定非営利活動法人(NPO)運動保育士会が認定する運動保育士を取得すると、子どもの心と体を成長させる運動指導のプロフェッショナルとして活動できます。
脳科学者の研究から発案された「運動遊び実践」と「脳機能と発育発達」の2コースを学べます。
初級から上級に分かれていて、新人からベテランまで幅広い保育士に役立つ資格です。
リトミック指導者
出典:リトミック研究センター
リトミックは、音楽に触れながら身体や感覚、知性の潜在的な能力の発達を促す教育方法です。
特定非営利活動法人(NPO)リトミック研究センターが認定するリトミック指導者は、子どもへのティーチングやリズムを身につけ、リトミック指導を通して可能性を引き出す人格形成に関わります。
全国各地で開催される月例研修会のほか教育養成校で学ぶ方法もあり、ライフスタイルに合わせた受講スタイルを選択可能です。
絵本専門士
絵本専門士は、子どもの成長を促す絵本の可能性や活用法を見いだすために、独立行政法人国立青少年教育振興機構によって設立された資格認定制度です。
養成講座では、高度な知識や技能、感性を備えた絵本専門家になるための内容を、バランス良く習得できます。
30コマの授業で一定の成績を収め、修了課題に合格すると、絵本専門士の資格が認定されます。
幼保英語士
出典:幼保英語検定
幼保英語士は、一般社団法人幼児教育・保育英語検定協会が主催する検定に合格した人が取得できる資格です。
幼稚園・保育園での乳幼児との会話に焦点を当て、実用的な英語でのコミュニケーションが取れるように知識を習得できることが特徴です。
入門レベルから専門レベルまで、5段階で構成されています。
保育環境のグローバル化に対応できる人材をめざす場合に、おすすめの資格です。
チャイルドコーチング
チャイルドコーチングは、子どものやる気や潜在能力を引き出し、個人の考える力を育成する手法です。
一般社団法人日本能力開発推進協会認定の講座を受けると、JADP認定チャイルドコーチングアドバイザー®としての活動が可能になります。
質の高い保育技術を保持していることを示せるため、キャリアアップや転職にも役立つでしょう。
モンテッソーリ教員
出典:日本モンテッソーリ協会
モンテッソーリ教育とは、子どもには自分を育てる自己教育力が備わっているという考えのもと、その力を発揮するために子どもを観察し、発達段階にあった環境を提供する手法です。
モンテッソーリ教員の資格は、主催元により国際資格と国内資格に分かれます。
もしモンテッソーリ教育の理念に共感し、専門的な知識を持った人材として働きたいのであれば、資格取得を検討してみてください。
チャイルドマインダー
チャイルドマインダーは、家庭保育や少人数保育のスペシャリストです。
以下のいずれかの団体が認定する講座を受講し、検定試験に合格すると取得できます。
- チャイルドマインダージャパン
- ヒューマンアカデミー
- NCMA, Japan
保育士不足の問題を解消するために、従来の幼稚園や保育所などに加えて、地域型保育という選択肢ができました。
チャイルドマインダーの資格があれば、在宅保育や訪問保育などの地域型保育にも対応できるため、働き方の幅が広がります。
保育カウンセラー
出典:各部紹介 | 保育カウンセリング企画部 | 保育カウンセラー資格認定制度
保育カウンセラーは、公益社団法人全国私立保育連盟が主催する資格認定制度です。
近年、保護者の気持ちに寄り添って相談や助言を行う保護者支援の必要性が高まっています。
保育カウンセラーは、カウンセリングの理論や技術を活かして保育の質の向上をめざすとともに、子どもや保護者、職員など保育に関わるすべての人が円滑な関係を構築して、子の成長を支えることを援助します。
育児セラピスト
出典:育児セラピスト
一般社団法人日本アタッチメント育児協会が認定する育児セラピストは、育児の専門家として活躍できる知識とスキルを身につけていることを示すための資格です。
育児セラピストの養成講座は、前期と後期に分かれています。
前期課程は、親や保育者など実際に育児・保育に携わる人向けの内容です。
12歳までの子どもの発達を学び、日常の育児・保育で実践できる知識とスキルを身につけます。
後期課程は、子育て支援を担う立場の方を対象とした講座です。
理論や背景を学び、親たちに根拠をもって指導ができるだけの知識を身につけることができます。
食育インストラクター
食育インストラクターは、特定非営利活動法人(NPO)日本食育インストラクター協会が認定する食育の資格です。
子どもの健やかな成長には、食育を通じて食に関する正しい知識を身につけることが重要です。
食育インストラクターの資格は求められる知識が幅広く、実践に役立つ知識を身につけられます。
理解度やレベルによってプライマリーから一級の5段階に分かれているため、目的に応じた資格取得が可能です。
一級では普及活動も求められ、社会貢献度の高い人材をめざすことができます。
食育アドバイザー
出典:食育アドバイザー資格 | 日本能力開発推進協会 (JADP)
食育アドバイザーは、一般財団法人日本能力開発推進協会が主催する資格です。
食育に関する基礎知識を身につけ、食育活動ができることを証明できます。
食育インストラクターは食に関する知識全般も必要となるため、先に紹介した食育に関する知識だけを身につける食育アドバイザーよりも幅広い学習が必要です。
食育アドバイザーは食育に関する知識のみの学習に限定されており、在宅での受験ができ、初心者におすすめの資格です。
資格以外に保育士がスキルアップする方法はある?
保育士の質の向上やキャリアアップを目的として、2017年に厚生労働省は保育士等キャリアアップ研修ガイドラインを定めました。
都道府県または指定の研修機関が実施する保育士等キャリアアップ研修は、専門性が高められるだけでなく、処遇改善の効果も見込めます。
費用は保育園負担ですが、受講者は保育園ごとに決められる点に注意が必要です。
修了証は研修を受けた都道府県以外でも有効なので、他地域での転職にも有利に働くでしょう。
保育士のキャリアチェンジにも有利な資格
保育士としてのスキルアップだけでなく、保育士からのキャリアチェンジにも有利に働くおすすめの資格は、次の3つです。
- 幼稚園教諭
- 社会福祉士
- 事務スキルに関する資格
それぞれ詳しく解説します。
幼稚園教諭
保育士の資格を持っている場合、特例制度を利用して幼稚園教諭免許を取得することが可能です。
保育士としての実務経験が必要となりますが、取得に必要な単位数が軽減されるので、効率良く幼稚園教諭をめざせます。
また、幼稚園と保育園の機能を併せ持つ幼保連携型認定こども園で働くためには、原則として保育士と幼稚園教諭の両方の資格が必要となります。
キャリアチェンジだけでなく、子どもと関わる場の選択肢を増やすためにもおすすめの資格です。
社会福祉士
社会福祉士は、「社会福祉士及び介護福祉士法」に基づく国家資格です。
児童から高齢者まで幅広い年代を対象に、日常生活を営むのに課題がある人に対して、助言やサービス紹介などの支援を行います。
児童養護施設や障害児入所施設など、保育士の経験を活かせる勤務先もあります。
老人福祉施設や病院なども就職の選択肢に加わるため、働き口を探す際に困りにくい資格です。
事務スキルに関する資格
MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)や簿記などの事務に関する資格を取得していると、事務職にキャリアチェンジする際にスキルをアピールでき、転職で有利に働く可能性があります。
MOSは事務作業の効率化に、簿記は園長をめざしたり保育園を立ち上げたりする際に役立つスキルです。
もしキャリアチェンジの予定がなくても、社会人としてのスキルアップにもつながるため、持っておいて損のない資格です。
資格を取得して保育士としてスキルアップをめざそう
保育士としてスキルアップできる資格をご紹介しました。
保育のニーズは多様化しており、価値の高い保育士として活躍するためには専門的なスキルを身につける必要があります。
資格取得は知識や技能を身につけるために有効であり、スキルアップをめざす保育士にぴったりの方法です。
保育士のスキルアップにつながる資格には、さまざまな種類があります。
今後どのような保育士になりたいのか、将来のキャリアプランをよく考えたうえで、自分の興味や得意分野に合わせた資格取得をめざしてみてください。