ホームヘルパー2級は、介護職員初任者研修の旧名称であり、2013年の介護保険法施行規則改正により廃止された資格です。
ホームヘルパー2級資格を有している人は、介護職員初任者研修を修了したものとみなされます。
本記事では、ホームヘルパー2級資格で行える身体介護や生活援助の仕事内容、活躍できる就職先を解説します。
本記事を読んでもらえれば、ホームヘルパー2級資格で行える仕事内容を具体的にイメージできるようになりますので、ぜひこのまま読み進めてください。
目次
ホームヘルパー2級の仕事内容は?
ホームヘルパー2級の仕事内容は、次の2つに分けられます。
- 利用者の身体に直接触れる身体介護
- 利用者の身体に直接触れない生活援助
ここからは、身体介護と生活援助の詳細を解説します。
身体介護(介助)
身体介護の仕事内容は次の7項目です。
- 食事介助
- 排泄介助・オムツ交換
- 入浴介助・清拭介助
- 更衣介助・身体整容
- 移動介助・移乗介助
- 体位変換介助
- 服薬介助
それぞれの項目を把握して、ヘルパーの仕事内容を具体的にイメージしてみてください。
1.食事介助
食事介助とは、自分で食事ができない利用者に対して、安全・安楽に食事をしてもらうための介助です。
自分で食事ができなくなる理由は、嚥下・咀嚼機能の低下、認知機能の低下、身体の衰えなどさまざまです。
このような状態では、気管に食物が入ってしまう誤嚥や、栄養失調などのリスクが高くなります。
ヘルパーは、利用者が安全・安楽に食事ができるように、次のことに注意して食事介助する必要があります。
- 排泄は済んでいるか、体調は悪くないかを確認する
- 入れ歯をしているかなど口腔内を確認する
- 手洗いやうがい、口腔体操を行う
- 食事をしやすい環境や姿勢を整える
- 一口量や飲み込むペース、食事形態が適切かを確認する
- 食後はすぐに横にならず安静にしてもらう
自助具スプーンや姿勢を整えるクッションなどを活用して、可能なかぎり自分で食べられるようにする工夫も必要となるでしょう。
2.排泄介助・オムツ交換
排泄介助・オムツ交換とは、歩行困難や立位不安定、寝たきりの人の排泄を手助けすることです。
排泄介助・オムツ交換の仕事内容は次のとおりです。
- 排泄介助:トイレに行くまでの歩行介助や、便器に座る前のズボンやオムツの上げ下げなどを行う。また、陰部を拭けない場合は陰部を拭く
- オムツ交換:オムツ内に尿・便を漏らした人の陰部清拭や洗浄を行い、オムツを交換する
- 排泄状況の確認:排泄のペースや便・尿の性状、陰部の皮膚状態などに異常がないかを確認する
利用者は「自分でできなくて申し訳ない」「陰部を見られて恥ずかしい」といった気持ちを抱きます。
そのため、ヘルパーは利用者の様子を見ながら、自尊心や羞恥心に配慮して介助します。
3.入浴介助・清拭介助
入浴介助・清拭介助とは、自分で入浴が困難な人の身体の清潔を保つための介助です。
仕事内容は次のとおりです。
- 入浴介助:衣服の脱衣や浴槽・浴室への出入りの介助、身体洗浄、洗髪、シャワー浴を行う
- 清拭介助:お湯で温めたタオルで利用者の上半身、下半身、陰部を拭く
- 皮膚状態の観察:皮膚トラブルが起きていないか全身の皮膚状態を観察する
入浴は血圧変動や転倒リスクが高くなります。
利用者の意識の様子に変化はないか、転倒につながる危険行動は見られないかなどに注意して介助します。
4.更衣介助・身体整容
更衣介助・身体整容とは、自分で着替えや整容ができない人に対して、着替えや身だしなみを整える手伝いをすることです。
更衣介助・身体整容の仕事内容は次のとおりです。
- 更衣介助:拘縮や麻痺など利用者の身体状況に合わせて、上着やズボン、下着などの着替えの介助を行う
- 身体整容:洗顔・ひげ剃り・整髪・歯磨き・爪切り・耳かきなどの身だしなみを整える介助を行う
更衣は関節の動き、身体整容は手の細かな動きなどの維持・向上につながります。
できることは可能なかぎり自分でしてもらいます。
5.移動介助・移乗介助
移動介助・移乗介助とは、立位不安定な人や歩行困難な人が安全に特定の場所に移動するための介助です。
移動介助・移乗介助の仕事内容は次のとおりです。
- 移動介助:「歩く・座る・起きる・立つ」など、日常生活に必要な移動の介助を行う
- 移乗介助:ベッドから車椅子へ、車椅子からトイレへなど特定の場所から特定の場所へ移る介助を行う
転倒を防ぐためにも、利用者がどれくらいの歩行能力・立位保持能力を持っているかの把握は欠かせません。
また、杖や歩行器などを利用して歩ける人は可能なかぎり自分で歩いてもらい、身体機能の維持・向上に努めます。
6.体位変換介助
体位変換介助とは、自分で寝返りができない利用者の身体の向きを定期的に変える介助です。
定期的に体位変換を行うことで、血行障害による褥瘡(床ずれ)や感覚麻痺、拘縮などを予防できます。
目安としては2〜3時間に1回、横向きから仰向けにしたり、仰向けから横向きにしたりします。
無理に身体の向きを変えると利用者の身体に負担がかかってしまうので、次にどちらへ身体の向きを変えるかを利用者に伝え、協力してもらうことも必要です。
利用者のペースに合わせて介助を行います。
7.服薬介助
服薬介助は、適切なタイミングに適切な種類・量を内服できない利用者に対して、内服を促す介助です。
ヘルパーは、「どの薬を何時間ごとにどれだけ飲むか」を把握したうえで介助を行います。
服薬介助の仕事内容は次のとおりです。
- 姿勢を整える:利用者の姿勢を整えて誤嚥しないようにする
- 内服を促す:水と薬を利用者のもとへ持っていき内服を促す
- 内服確認をする:口の中を確認して、薬を飲み込んだかを確認する
- 副作用の有無を確認する:内服後に利用者の様子に変化がないか確認する
利用者の容態が安定していない、誤嚥リスクが高い、副作用のリスクが高いといった事情がある場合、ヘルパーは介助できません。
利用者の状態に変化が見られたときは、医師や看護師に相談します。
生活援助
生活援助とは、家事を行えない利用者に代わって、掃除や洗濯、料理などを行うことです。
生活援助の一例を挙げると、次のようになります。
生活援助 | 詳細 |
掃除 | 利用者宅ごとの掃除方法を把握して、掃除機がけや水拭きなどを行う。施設の場合は施設の方法にしたがい掃除する |
料理 | 食材の買い出しから調理までや、利用者が安全に料理を作れるように調理支援する |
洗濯 | 洗濯物を洗濯し、干す、取り込む、たたむ。クローゼットやタンスに収納する |
ゴミ出し | 訪問地域や施設がある地域の規定の日にゴミ出し |
ベッドメイキング | ふとんやマットレスを干し、シーツを交換 |
買い物 | 利用者に必要な日用品の買い物を代行 |
衣服の整理・修繕 | ボタンが取れていたり穴があいていたりする衣服の修繕や、衣服の整理整頓 |
薬の受け取り | 利用者の代わりに調剤薬局や病院で薬を受け取る |
ホームヘルパー2級の給料や活躍できる就職先は?
ホームヘルパー2級資格の転職先の平均給料は次のとおりです。
職種 | 平均年収 | 平均月収 | 平均賞与 |
訪問介護従事者 | 370万円 | 26.8万円 | 48.4万円 |
介護職員(医療・福祉施設など) | 360万円 | 25.6万円 | 51.9万円 |
看護助手 | 318万円 | 22.2万円 | 51.2万円 |
ホームヘルパー2級資格は、介護職員初任者研修と同等であるため、活躍できる転職先は多岐にわたります。
- 訪問介護
- デイサービス
- ショートケア
- ショートステイ
- グループホーム
- 特別養護老人ホーム
- 病院
ヘルパーの給料の詳細を知りたいときは、こちらが参考になります。
ホームヘルパー2級の仕事内容は幅広く活躍の場も多い
ホームヘルパー2級資格は、現在の介護職員初任者研修と同様、介護職のスタートラインとなる資格です。
経験を積み資格の勉強をしていけば、介護職員実務者研修や介護福祉士、ケアマネジャーなどにステップアップできるのでやりがいもあります。
最初は不安かもしれませんが、時間と労力をかけて取得したホームヘルパー2級資格を活かして介護職に挑戦してみましょう。