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言語聴覚士とは|役割や活躍の分野などをわかりやすく解説

言語聴覚士とは「食べる・話す・聞く」が正常にできない方に対して、リハビリテーションや検査をする重要な職業です。

言語聴覚士が活躍することで、食べることや人とのコミュニケーションが困難な方のQOL(生活の質)を高められます。
本記事では、言語聴覚士の役割や業務内容、必要となる資格を解説します。

本記事を参考にすれば、言語聴覚士とはどのような職業であるのかを理解できるので、ぜひこのままお読みください。

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言語聴覚士(ST)とは?

ここではまず、言語聴覚士(ST)とは何かを知るために以下の2つを解説します。

  • 言語聴覚士は「話す・聞く・食べる」の支援を行う専門職
  • 言語聴覚士(ST)の業務内容

それぞれを見ていきましょう。

言語聴覚士は「話す・聞く・食べる」の支援を行う専門職

言語聴覚士は、言葉によるコミュニケーションが困難な方に対して専門的なサービスを提供し、自分らしく生活ができるように支援をする職業です。
英語では「Speech Therapist」と呼ばれており、「ST」と略されることもあります。

言語聴覚士法では、言語聴覚士を以下のように定義しています。

「言語聴覚士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、言語聴覚士の名称を用いて、音声機能、言語機能又は聴覚に障害のある者についてその機能の維持向上を図るため、言語訓練その他の訓練、これに必要な検査及び助言、指導その他の援助を行うことを業とする者をいう。

引用元:言語聴覚士法 第二条

言語聴覚士は、1997年に言語聴覚士法が制定されたことにより、国家資格となりました。
それまでは言語療法士や聴能言語士などと呼ばれていましたが、以降は言語聴覚士と呼ばれるようになったのです。

言語聴覚士が支援する対象は小児から高齢者まで幅広く、以下のような障がいを持つ人に対してリハビリや検査を提供します。

  • 言語障がい スムーズに話せない・話が理解できない・文字を読めない(脳卒中後の失語症や聴覚障害、ことばの発達の遅れなど)
  • 音声障がい 声帯除去やポリープなどにより声が出にくい
  • 嚥下障がい 食物を上手に噛めない・飲み込めない

言語聴覚士は、医師や看護師、理学療法士、作業療法士、介護支援専門員など、さまざまな職種と連携し、チームとして業務を行うのが特徴です。

言語聴覚士(ST)の業務内容

言語聴覚士(ST)の具体的な業務内容は次のとおりです。

訓練の種類 業務内容
摂食・嚥下訓練 食事状況やむせる原因などの検査・評価をする。食事の姿勢や舌・口の動かし方、飲み込み方を訓練する
発声・発語訓練 構音障がいや音声障がいなどにより、言葉は理解できていても適切に発声・発語できない方に対してリハビリを行う。構音の発達遅れなどがある児童に対しても訓練を行う
言語訓練 言語障がいの程度や原因を調べる。読み書きや言葉の理解の訓練を行う
聴覚訓練 聴覚検査を実施して障がいの程度や種類を調べる。言語訓練を行いながら、必要であれば補聴器や人工内耳の調整・適合を行う
認知訓練 認知・記憶障がいの程度の評価を行う。コミュニケーションや嚥下訓練など認知能力の状況に応じてリハビリを行う
児童へ支援 言葉の発達遅れや対人関係が難しい児童に対して、絵本などを用いて単語や文法の学びを支援する

言語聴覚士のなり方

言語聴覚士になるには、以下の2つのステップを踏む必要があります。

  1. 受験資格を取得する
  2. 国家試験に合格する

1.受験資格を取得する

1.受験資格を取得する

この3つのルートのいずれかで要件を満たせば、どのような人も言語聴覚士になれます。
学生だけではなく、社会人として働きながらでも夜間の学校を選択することで、言語聴覚士をめざせるのです。
ただし、国家試験の受験資格は通信教育では取得できないので、必ず通学しなければなりません。

2.国家試験に合格する

受験資格を取得したあと、言語聴覚士国家試験に合格して厚生労働大臣の免許を受けると、言語聴覚士になることができます。

第25回(2023年)の言語聴覚士国家試験の結果によると、合格率は67.4%でした。
受験者数は2,515人、合格者数は1,696人です。
また、直近5年の平均合格率は65〜70%程度となっています。

理学療法士や作業療法士における直近5年の合格率は80~90%が平均のため、言語聴覚士の国家試験は、リハビリテーション専門職としては比較的難易度が高めといえます。

言語聴覚士の国家試験の難易度や近年の合格率の推移は、以下の記事で詳しく紹介しています。

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言語聴覚士が活躍する職場の種類と所属割合

言語聴覚士は、医療機関だけでなく、保健・福祉・教育機関など、さまざまな職場で活躍しています。
ここでは、言語聴覚士が活躍している分野や職場別の所属割合を解説します。

活躍する分野・職場

言語聴覚士が活躍している分野や職場は多岐に渡り、主に次のとおりです。

分野 職場
医療機関 大学病院、総合病院、専門病院、クリニック、リハビリテーションセンターなど
保健機関 訪問看護ステーション、訪問リハビリテーション、デイケアセンター、介護老人保健施設など
福祉機関 デイサービスセンター、特別養護老人ホーム、障がい者福祉施設、肢体不自由児施設、小児療育センター、通園施設など
教育機関 特別支援学校、言語聴覚士養成施設、研究施設など

小児や成人、高齢者など、領域によって対象者が異なります。
言語聴覚士としてどの領域で活躍したいかを想定して、就職先を決めましょう。

職場別の所属割合

日本言語聴覚士協会会員の職場別所属割合は次のとおりです。

言語聴覚士の所属機関

医療 60.27%
医療/介護 17.87%
介護 6.49%
福祉 4.73%
医療/福祉 2.22%
養成校 2.04%
医療/介護/福祉 1.33%
その他の法人 0.82%
研究・教育機関 0.80%
医療/研究・教育機関 0.69%
学校教育 0.54%
介護/その他の法人 0.38%
医療/介護/研究・教育機関 0.32%
介護/福祉 0.32%
養成校/研究・教育機関 0.29%
福祉/その他の法人 0.18%
上記以外の複合 0.71%

出典:日本言語聴覚士協会会員の所属機関|一般社団法人 日本言語聴覚士協会

言語聴覚士の所属割合で最も多いのは医療機関で60.27%、次に多いのが医療/介護の施設で17.87%となっています。

言語聴覚士の仕事に関して知っておきたいこと

最後に、言語聴覚士の仕事で知っておくと良いこととして、以下の3つを紹介します。

  • 言語聴覚士の年収と関連職種の年収
  • 言語聴覚士に向いている人・向いていない人
  • 言語聴覚士の将来性があるといわれている理由

言語聴覚士の年収と関連職種の年収

厚生労働省の令和4年賃金構造基本統計調査によると、言語聴覚士とその他関連職種の年収は次のとおりです。

職種 年収
言語聴覚士 430万円
臨床検査技士 508万円
診療放射線技師 543万円
看護師 508万円
薬剤師 583万円

なお、同じリハビリ系の理学療法士・作業療法士・視能訓練士は、言語聴覚士と同区分となっているため、同額で平均年収は430万円です。

性別 平均年収
男性 447万円
女性 411万円

男性は447万円、女性は411万円という結果でした。

言語聴覚士に向いている人・向いていない人

言語聴覚士が向いている人は以下のとおりです。

【向いている人】
● 人を大切にする心と姿勢を持っている人
● 人とコミュニケーションを取るのが好きな人
● 観察力や想像力がある人
● 共感力がある人
● 自ら学び向上心がある人
● 根気強く向き合える人

話すことや聞くこと、読むことに問題を抱える方々をサポートする言語聴覚士は、相手を大切にし、深く知ろうとする心を持つことが大切です。
そのため、上記のような人が向いているといえます。

また、言語聴覚士が向いていない人は以下のとおりです。

【向いていない人】
● 高齢者や障がい者に理解がない人
● 相手を理解するよりも自分のペースを優先したい人
● グループやチームで協調性を持って働くのが苦手な人
● すぐに達成感や結果が欲しい人

上記のような人は、患者さんとの信頼関係を築きづらく、スムーズな訓練を続けていくことが困難です。
患者さんの心理や障がいのメカニズム、背景などに無関心な方は、言語聴覚士に向いていないといえるでしょう。

言語聴覚士の将来性があるといわれている理由

言語聴覚士は、例年1,500人以上増加しています。
しかし、厚生労働省によると令和4年度の有効求人倍率は3.74倍であり、人手不足であることがうかがえます。

言語聴覚士は、小児から高齢者まで幅広い層を対象とした領域で活動が可能です。
さらに、近年の社会問題である高齢化により、言語聴覚士を必要とする傾向の高い高齢者の人口が増加すれば、一層需要は高まるでしょう。

以上のことから、言語聴覚士は将来性がある職種といえます。
言語聴覚士の将来性や需要の詳細を知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

言語聴覚士への理解を深め、就職や転職を検討しよう

言語聴覚士は、患者さんや利用者さんの食事やコミュニケーションの楽しみを支える大切な職業です。
また、支援が必要な子どもやご家族にとっても頼れる存在となります。
高齢化が進む日本において、言語聴覚士の将来性や需要は高まっていくでしょう。

今回は、言語聴覚士の概要となり方、活躍できる場所、年収などを紹介しました。
需要と将来性があり、さまざまな領域や分野で活躍できる言語聴覚士を、ぜひめざしてみませんか。

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執筆者について

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