
医療の現場で重要な役割を果たす臨床検査技師。
その道をめざす方にとって、どのような勉強が必要なのか気になるところでしょう。
本記事では、臨床検査技師になるための勉強内容と、国家試験に向けた具体的な学習ポイントを紹介します。
高校生の方から国家試験受験を控えた方まで、それぞれの段階に応じた情報をまとめたので、ぜひ参考にしてください。
目次
臨床検査技師になるための勉強内容
臨床検査技師をめざすにあたっては、高校時代からの準備が重要です。
また、養成校での専門的な学びも欠かせません。
ここでは、高校での勉強内容と臨床検査技師養成校での学習について詳しく見ていきましょう。
高校での勉強内容
臨床検査技師をめざす高校生にとって、理科系科目の充実した学習が重要です。
特に、物理、化学、生物については苦手意識を持たない方が、将来の進学に有利となります。
また、臨床検査技師の勉強は化学や生物が主となるため、物理を選択する必要はないと考える方もいるでしょう。
しかし、着実に臨床検査技師をめざすためには化学や生物だけでなく、物理も選択しておくことをおすすめします。
詳しくは後述しますが、臨床検査技師には化学や生物だけでなく、物理の知識も必要になることがあるのです。
将来の進学先の幅を広げ、大学での勉強を優位に進めるためにも、理科系科目はバランスよく学び、臨床検査技師としての基礎力を養うことを意識しましょう。
臨床検査技師養成校での勉強内容
臨床検査技師養成校では、専門的な知識と技術を習得するために多岐にわたる科目を学びます。
臨床検査技師国家試験の出題科目は以下のとおりです。
- 臨床検査総論
- 臨床検査医学総論
- 臨床生理学
- 臨床化学
- 病理組織細胞学
- 臨床血液学
- 臨床微生物学
- 臨床免疫学
- 公衆衛生学
- 医用工学概論
それぞれの科目の内容は非常に多様で、医学的知識から検査技術、さらには安全管理や法規まで、総合的な学習が必要です。
これらの科目の学習を通じて、臨床検査技師に必要な幅広い知識と技術を身につけていきます。
臨床検査技師の国家試験に向けた勉強内容
臨床検査技師の国家試験は、多岐にわたる専門知識を問う重要な試験です。
ここでは、国家試験の各科目について、その内容と勉強のポイントを詳しく解説していきます。
効率的な学習計画を立てる際の参考にしてください。
臨床検査総論(検査管理総論及び医動物学を含む。)(20点)
臨床検査総論は、臨床検査学の基礎となる重要な科目です。
臨床検査の全体的な流れや管理方法、そして検査結果の品質を保つための知識が問われます。
検査管理総論では、臨床検査の意義から検査部門の役割、管理など、正確かつ効率的な検査運用を行うためのプロセスや品質保証の方法を学びます。
医動物学は、寄生虫やその他の病原動物について学びます。衛生環境の向上によって、以前と比較すると寄生虫の感染症は減少傾向にありますが、それらが人間に与える健康影響とその診断方法を理解することは現代においても重要です。
臨床検査医学総論(臨床医学総論及び医学概論を含む。)(10点)
臨床検査医学総論は、臨床検査の医療における役割と重要性、そして検査結果がどのように疾患の診断や治療に役立つかを学びます。
臨床医学総論では、患者さんの病態生理や循環器疾患や呼吸器疾患、消化器疾患、感染症など、疾病の基礎的な知識が含まれ、医学概論では、医学全般の基本的な原理と考え方を学びます。これにより、検査結果の意味や各種疾患の体系的な理解が深まります。
臨床生理学(26点)
臨床生理学は、人体を構成する組織や器官がどのような役割を持ち、どのように活動しているのかを学ぶ科目です。
心電図や脳波、肺機能検査など、生体の機能を評価する生理機能検査の方法について出題されます。
各検査の原理や方法、結果の解釈に加え、実践的な手技についても細かく出題されるので、生理学の基礎知識と検査技術の両面から学習を進めることが効果的です。
臨床化学(放射性同位元素検査技術学を含む。)(32点)
臨床化学は、血液や尿などの体液中の物質を測定し、化学的観点から身体の代謝や栄養状態、病気の進行具合を評価する科目です。
酵素や糖質、脂質、タンパク質などの生体分子の代謝や機能、各種検査法の原理を理解しておくことが重要です。
放射性同位元素検査技術学では、放射性物質を使用した診断技術を学びます。
臨床化学は点数配分が大きいため、試験突破のためには重点的に学習しておきたい科目の一つです。
病理組織細胞学(28点)
病理組織細胞学は、病気の原因やメカニズム、病気の診断を確定することを目的とした検査について学ぶ科目です。
この科目では、解剖学や細胞診、染色など、病理全般に関する知識が問われます。
組織や細胞の正常構造と病的変化、さまざまな疾患の病理学的特徴を理解しておくことが必要です。
また、病理検査の手技や染色法、顕微鏡観察の技術なども重要な学習ポイントとなります。
実践的な知識と技術の両面から学習を進めることで、高得点獲得に近づきます。
臨床血液学(18点)
臨床血液学は、血液に関する異常や疾病を検査する学問です。血液の成分(赤血球、白血球、血小板など)やそれらの機能、そして血液疾患になった際にどのような異常をきたすのか学びます。
特に血液学は、異常な所見と疾患との結びつきがはっきりしている科目なので、それらをしっかり関連づけて覚えることが大切です。
臨床微生物学(22点)
臨床微生物学は、細菌、ウイルス、真菌、寄生虫など、人体に感染する微生物について学ぶ科目です。
この科目では、微生物の構造や感染症の診断、培養方法、治療法などについて問われます。
本科目で取り扱う微生物の種類は非常に多く、そして似たような性質を持つ微生物を取り違えることなく正確に理解しておく必要があります。
また、院内感染対策や消毒・滅菌法についての知識も重要です。
こちらも配点が高いので、取りこぼしのないよう十分に理解しておく必要があるでしょう。
臨床免疫学(22点)
臨床免疫学は、免疫系の機能やそれに異常が発生した場合の検査法について学ぶ科目です。
免疫系の基本構造や機能、自己免疫疾患やアレルギー疾患のメカニズム、各種免疫検査法の原理と特徴を理解することが重要です。
また、抗原抗体反応を利用したさまざまな検査技術についても学ぶ必要があります。こちらの科目も配点が高めに設定されています。合格のためには落としたくない科目の一つです。
公衆衛生学(関係法規を含む。)(10点)
公衆衛生学は、生活の質の維持向上を実現するために、人々の健康維持や健康増進に必要なものは何かを学ぶ科目です。
この科目では、医療の仕事に関わるうえで必要な心構えや疫学、環境衛生、健康管理、医療制度など、幅広い分野の知識が必要です。
また、関係法規として、臨床検査技師が遵守すべき法律や規則、医療従事者としての倫理的な責務を理解することも求められます。これは、医療現場における法的な対応や倫理的判断を行う上での基盤となります。
公衆衛生学は点数配分は少ないですが、医療従事者として必要不可欠な知識を問う重要な科目です。
医用工学概論(情報科学概論及び検査機器総論を含む。)(12点)
医用工学概論は、医療に使用される機器や技術に関する基礎知識を学ぶ科目です。
情報科学概論では、データの収集・解析方法や医療情報システムに関する内容を、検査機器総論では、臨床検査技師が使用する各種機器の原理や操作方法、最新技術について学びます。
近年の医療はデジタル化が進み、臨床検査技師にも情報処理やデータ収集などの知識が求められるようになりました。配点こそ低いですが、確実な合格のためには取りこぼしのないようにしましょう。
臨床検査技師になるための勉強内容を知って参考にしよう
臨床検査技師になるためには、検査に関連するさまざまな知識を学び、身につける必要があります。
ゆえに、臨床検査技師をめざす方は、高校時代からの計画的な学習が大切です。
特に、化学や生物、物理については苦手科目を作らない方が将来の進学先の幅が広がります。
臨床検査技師養成校では、国家試験に向けて、各科目の特性を理解し、バランスの取れた学習計画を立てるようにしましょう。
基礎的な医学知識から実践的な技術、最新の検査技術まで、幅広い分野をカバーすることが大切です。
臨床検査技師への道は決して平坦ではありませんが、計画的な学習と継続的な努力によって、必ず目標に近づくことができます。
この記事で紹介した勉強内容を参考に、自分に合った学習方法を見つけ、着実に一歩を踏み出してください。
医療の現場で活躍する臨床検査技師をめざして、頑張りましょう。