外来や病棟で、看護師のサポートや患者さんの世話をする看護助手は、人材不足の医療業界においてなくてはならない存在です。
しかし、「看護助手を辞めたい」「看護助手を続けるのが辛い」などの声を聞いたこともあるのではないでしょうか。
看護助手はやりがいのある仕事であるのと同時に、心身に負担がともなう仕事とされています。
本記事では、看護助手について以下3つの内容を解説します。
【本記事で紹介する内容】
- 看護助手を退職したい理由
- 辞めたい気持ちを乗り越える解決方法
- 看護助手を辞めたい人が転職時に考えるべきこと
看護助手を辞めようか悩んでいる、あるいは看護助手になろうか検討しているといった方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
目次
看護助手を退職したい理由
現役で働く看護助手が、具体的にどのような理由で仕事を辞めたくなるのかは気になるところです。
まずは、看護助手を退職したくなる理由としてよくあるものを4つ紹介します。
業務内容に対して給料面が見合っていない
看護助手を辞めたくなる理由としてよく挙げられるのが、給料と業務内容が見合っていないことです。
例えば、看護助手が行う業務のうち以下のようなものは、心身に大きな負担がかかるものです。
- 吐物や汚物の処理
- 他の職種との人間関係による精神的負担
- 夜勤や入浴介助などに肉体的負担
しかし、介護施設で似たような業務を担う施設介護員と比較しても、看護助手の給与水準は低くなっています。
職種 | 月給 | 年収 |
看護助手 | 17万円 | 304万円 |
施設介護員 | 20万円 | 353万円 |
看護師 | 25万円 | 499万円 |
さらに、正社員として長く働き続けても給料が大きく伸びることがないことも、 辞めたいと思う人が多い理由の一つでしょう。
清掃業務が多く精神的に辛い
看護助手が担うのは医療現場における医療行為以外の業務であり、自然と清掃業務が多くなりがちです。
医療現場では以下のようなさまざまな清掃業務があり、これらを負担に感じる看護助手も多いでしょう。
- 車椅子トイレの清掃
- ポータブルトイレの清掃
- 蓄尿袋の廃棄
- 痰が溜まった吸引瓶の廃棄
- 吐物や排泄物で汚染してしまった、衣服や病室の清掃
単純に汚物・吐物の匂いや見た目が辛くて辞めたくなる人もいます。
また、医療現場の一員としてやりがいを持って働けることを期待していた人では、「清掃員のような業務ばかりで辛い」との失望が、辞めたい気持ちにつながるのでしょう。
看護師との人間関係が大変
看護師との人間関係が辛くて看護助手を辞めたくなってしまう人もいます。
看護師は命に関わる仕事をしている重責や、人材不足による過労ゆえに気を張っていたりイライラしていたりするのかもしれません。
そのため看護助手は看護師に対して以下のように、精神的な苦痛を感じることもあります。
- 患者さんの介助方法などで困ったときに相談しづらい
- 質問したら小言を言われる
- 些細なミスでもきつい態度や言動で注意される
- 看護師にしかできない頼みごとを伝えづらい
日々の看護師との人間関係が辛くなってしまい、看護助手を辞めてしまう人も少なくありません。
仕事量が多く夜勤もあるため体力がついていかない
看護助手は以下のように日々多岐にわたる業務に携わらなければなりません。
- 食事、排泄、入浴などの身体介助業務
- ポータブルトイレなどの清掃業務
- 物品補充やベットメイキング
特に身体介助は体力が必要で足腰に負担が生じやすく、なかには腰痛や膝痛を患ってしまう人もいるのです。
また、看護助手でも職場によっては夜勤が求められます。
夜勤では、以下のような理由で心身に負担が生じてしまいます。
- 拘束時間が長い
- 生活リズムが崩れる
- 急変などの不安
ハードな業務内や夜勤の身体的・精神的負担により、看護助手を辞めたくなってしまう人もいるでしょう。
退職したい理由以外に、看護助手の仕事にまつわる「あるある」を知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
辞めたい気持ちを乗り越える解決方法
「せっかく看護助手をめざすなら、すぐに辞めるようなことは避けたい」と誰もが思うでしょう。
ここからは、看護助手を辞めたい気持ちを乗り越える方法について解説していきます。
看護に役立つ資格を取得し業務理解と将来性を高める
看護助手に資格は必要ありませんが、看護に役立つ資格を取得すれば、日々の業務に役立ち、将来性も高めることが可能です。
例えば、看護助手が取得できる資格として以下のようなものがあり、基本的な看護補助や介護業務の知識・技術を学べます。
- 介護職員初任者研修
- メディカルケアワーカー
- 看護助手認定実務者試験
そして、知識や技術を身につけて資格を取得すれば、以下のようなメリットも期待できます。
【資格を取得するメリット】
- 医療用語や医療機器の知識が身につき、業務をスムーズに行える。
- 看護助手の業務に必要な能力を有している証明になるため、転職が有利になり給料アップも期待できる。
- 医療や介護の知識を有していることで、日々の看護業務に対する不安や恐怖心を軽減できる。
また、看護に役立つ資格を取得すれば、業務理解を深められ看護助手として働いていくモチベーションとなります。
加えて、給料がアップしたり転職を有利にできたりと、看護助手としてのキャリアを充実させることも可能です。
看護助手を辞めたい気持ちを軽減するために、資格取得を検討してみる価値はあるでしょう。
看護助手としてのメリットを書き出してみる
看護助手を辞めたくなったら、看護助手としてのメリットを書き出してみるのも一つの方法です。
例えば、看護助手のメリットとして以下の5つが挙げられます。
【看護助手としてのメリット】
- 医療的知識を得られ、他の医療・介護現場でも即戦力となりやすい
- なにかあっても看護師や医師が対応してくれるため、精神的負担や責任が少ない
- 資格や経験がなくても医療現場の一員として働くことができる
- 看護師、准看護師、介護士をめざすための土台になる
- 医療や介護の知識が実生活で役立つことがある
看護助手としてのメリットを書き出すことは、看護助手を続けるモチベーションづくりに役立つでしょう。
看護職の職場を変えてみる
看護助手を辞めたくなったら、思い切って職場を変えるのも一つの方法です。
看護助手の職場は多岐にわたり、同じ病院内でも以下のように多様な現場での勤務が想定されます。
- 一般病棟や療養型病棟
- 慢性期病棟や急性期病棟
- 外来や手術室
ほかにも、病院ではなく診療所や保健所に務めるという選択肢もあります。
職場により仕事内容や雰囲気、忙しさも違ってくるでしょう。
また、正社員としての就業に不安があるのであれば、パート・アルバイトや派遣での勤務からはじめてみる方法もあります。
看護助手を辞めたいと考えている人は、他の職場への転職も視野に入れてみましょう。
看護助手を辞めたい人が転職時に考えるべきこと
どうしても看護助手を辞めたい人が転職活動を行う際には、以下の5つを考慮すべきです。
【看護助手を辞めたあと、転職活動の際に考えるべき内容】
- 看護助手の経験が活かせるように介護現場の求人を探す
- 人間関係や夜勤など、辛かったことがあまりない職場を探す
- 患者さんと関わることが向いていないと感じるなら、医療事務などの他の仕事を候補に入れる
- 医療関係の仕事が不向きと感じるなら、一般企業を転職候補にする
- 給料に不満を感じていたのであれば、年収アップのために資格取得をめざす
看護助手としての経験を振り返り、自身の適性や求める条件を整理することで、転職活動をスムーズに進めやすくなります。
なお、職場の雰囲気や労働環境の情報収集が容易になる、転職エージェントの活用もおすすめです。
看護助手として働くことを見直す機会を作ろう
今回は看護助手を辞めたい理由と、辞めたい気持ちを乗り越える方法を解説しました。
「仕事が辛い、辞めたい」と思っているときは、視野が狭くなっている場合もあります。
- 資格取得などを頑張ってみる余地はないか
- 看護助手を続けるメリットはないか
- 視野を広げて職場を変えて看護助手を続けることはできないか
など、少し視野を広く持って、看護助手として働くことを見直してみましょう。
看護助手の仕事に対する考えを整理し、ほかの選択肢も考慮するなかで「辞めたい、辛い」という気持ちを改善する方法も見つけられるかもしれません。