
看護師2年目になると、1年目のようなフォロー体制は終了し、自分一人に任される仕事が増えます。
受け持ち患者さんが増えたり、処置や介助に一人で対応しなくてはいけなかったりなど、自分のキャパシティーを超えた業務が降りかかることもあり、転職を考えたことがある人も多いでしょう。
ほかにも、結婚・出産などのライフステージの変化やキャリアアップのために、希望の病院や部署での勤務を希望するなど、看護師2年目は転職を検討する機会が増えます。
ここでは、看護師2年目でどのように転職を検討すると良いのか、おすすめの転職先についても解説していきます。
目次
看護師2年目で転職はできる?
結論からいうと、看護師2年目で転職をすることは可能です。
看護経験は浅いですが、1年目の経験を積んでいることに加え、昨今の高齢化社会にともなった看護師不足があるため、転職先がまったくないということはありません。
心身の不調やストレスを抱えながら、我慢して働き続けると良い結果を生まないため、看護師2年目で転職を考えることは悪いことではありません。
しかし、転職先の面接時などに「2年で辞めてしまうならうち(次の転職先)もすぐに辞めてしまうのでは」ととらえられやすく、転職時の退職理由の伝え方や、転職先への熱意を示す方法はとても重要です。
2年目看護師の離職・転職が多い理由
2年目の看護師は、仕事量が増えることに加え、フォロー体制が手薄になるため、ミスが増える傾向にあり、看護師に向いていないと感じる人もいるでしょう。
また、業務量が増えていても待遇が良くなっていない状況や、妊娠・出産などのライフステージの変化、ステップアップへの希望など、多様な理由から転職を考える機会が増えます。
ミスが増え看護師に向いていないと感じた
2年目で看護師を離職する理由に、自分自身のミスが増えたことで成長できていないと感じ、看護師に向いていないと判断してしまうことが挙げられます。
1年目のときはプリセプター(指導者)や先輩方のフォローが手厚く、ミスを未然に防ぐ対策が取られていることが多いため、2年目を迎えてフォローが手薄になり、かつ仕事量が増えると今までしなかったミスなどをしてしまうことがあります。
1年目のときにできていたことも、2年目になってできなくなってしまったように感じた結果、看護師という職業自体が向いていないと感じてしまうこともあるでしょう。
そうした際に、退職や転職を検討する人が出てきます。
待遇を改善したくなった
1年目は住民税が給与から引かれないことに加え、看護師の手取り額は同年代の一般職と比べても高い傾向があります。
しかし2年目になると、税金が引かれて手取り額が下がったと感じたり、業務量が増えているにも関わらず見合った給料がもらえていないと受け止めやすくなったりし、待遇への不満や不安が出てきやすい時期です。
また、夜勤にも入るようになり、体に負担がかかっているにも関わらず、給料の低さや休みの少なさといった待遇の悪さに目が向いてしまいやすい時期でもあります。
「ほかの職場であればもっと待遇が良くなるのでは」と、転職を考えるきっかけになることがあるでしょう。
結婚・妊娠をした
一般的に看護師2年目は20代で迎えることが多く、同年代の結婚・出産ラッシュや、看護師自身の結婚や妊娠といったライフステージの変化も少なくありません。
病院に産休や育休があっても、実際につわりや腰痛といった不調に耐えながら、患者さんの移乗や移送、急変対応をともなう残業などを続けるうちに、出産してからも家庭と仕事を両立するのが難しいと考え、転職を検討する人もいます。
ステップアップのため
看護師2年目になると、1年目の経験を活かしながら、日々の業務の流れを把握し、看護ケアやナースコール対応もできるようになってきます。
1年間患者さんとの関わりを経験してきたため、自部署の担当する疾患についてひととおりの知識を身につけ、看護師として「こうなりたい」という理想像も少しずつイメージできてくる時期でしょう。
そのため、「循環器が好きだからもっと勉強したい」や「緩和ケアについて、毎日看護を学びたい」など、人それぞれ興味のある分野を追求したい気持ちも出てきます。
今の職場や病院が自分の希望と合っていない場合、新しい職場でのステップアップを目的として転職したいと思う人もいるでしょう。
2年目看護師が転職前にできること
2年目で転職を検討したとき、まずは転職をしなくても変えられることはないかを考えてみましょう。
頼れる先輩や上司に相談したり、シフト調整や部署移動を願い出ることを検討するのもおすすめです。
また、自分自身のミスが増えているように感じた場合、1年目の看護師になったばかりの自分と今の自分を比較して、成長できている部分をあらためて確認することも重要です。
過去の自分と現在を照らし合わせる
「今の自分はミスも多くて看護師が向いていない」と思ったときは、十分に仕事をこなしている同期や尊敬する先輩ではなく、過去の自分自身と比較してみることが重要です。
過去の自分ができていたと感じていたことも、実は先輩がフォローしてくれていたからスムーズに行えていたことに気付くなど、振り返ると当時は気付けなかった部分がたくさん出てくるでしょう。
新人の頃に使っていたメモを振り返ると、「この処置は今はもう、手順書を見なくてもできているな」など、成長している自分の姿に気付くことがあります。
他者との比較ではなく、自分自身の成長に目を向けることが、本来の自分を見つめるきっかけになるでしょう。
また、新人の頃から繰り返しているミスがあれば、なぜ同じミスを繰り返してしまうのかを立ち止まって考えることができます。
自分では解決できない場合、頼れる先輩や気心が知れている同期などに、助けを求めることも一つの手段です。
シフト変更や異動を相談する
転職をしたいと思っている理由に、「夜勤がつらい・日勤が終わらなくてつらい」などがある場合、シフト変更や部署移動を相談することもおすすめです。
同じ病院でも部署によって残業時間に差があったり、外科や内科などの診療科によっても、病棟の雰囲気・処置内容などに違いがあるため、働き方は多種多様です。
また、結婚や妊娠でライフスタイルに変化があった場合も、自分や家族にとって働きやすい体制を求めることは悪いことではありません。
退職ではなく働き方の変更を求めることで、「継続してこの病院で働いていきたい」という思いが伝わりやすく、上司を含めた看護部側も相談にのってくれるでしょう。
頼れる先輩や同期に相談する
1年間看護師を続けられたということは、少なからず病棟のスタッフとコミュニケーションをとりながら、勤めることができたと考えられます。
そのなかで、尊敬する先輩やなんでも話すことができる同僚がいた場合、相談してみることも一つの手段です。
先輩であれば、自分自身が2年目だったときの経験を活かし、適切なアドバイスをくれるかもしれません。
同期であれば「その気持ち実はわたしもあるよ」など、同じ境遇で悩みを共有できる可能性も考えられます。
自分一人で抱え込まずに、頼れる人に相談することも、現状を打開するためには大切なことでしょう。
看護師2年目の転職先におすすめの職場
看護師2年目の転職では、転職したい理由をベースに転職先を選ぶことが重要です。
急性期対応に疲弊してしまっている場合は、自分のペースで働きやすい療養型の施設や病院を選んだり、スキルアップを求めるのであれば希望分野の専門病院に転職するなどの選択肢があります。
それぞれ下記で詳しく解説していきますので、ぜひ最後までお読みください。
療養型の施設や病院
急性期病院や大きな大学病院などで疲弊してしまっている人には、療養型の施設や病院がおすすめです。
急性期の病院に比べ、自分のペースをつくりやすく、タイムスケジュールを組みやすいため、精神的にも身体的にも負担が少ないことが特徴です。
患者さんの重症度が比較的高くないことで、急変のリスクを抱えながらの看護を避けることができ、集中して一つひとつの看護ケアを行うことができます。
また、緊急性の高い手術搬送や、術後対応などに追われることも少ないため、心身的な余裕が生まれやすいでしょう。
看護スタッフが多く、しっかりと7:1看護の体制を取れている職場であれば、教育体制などもしっかりとしている可能性が高いため、2年目の転職先としておすすめです。
特化した専門病院
やりたい看護や学びたい疾患が把握できており、スキルアップを目的に転職する場合は、自分のやりたいことに特化している専門病院がおすすめです。
例えば、「心不全の患者さんに対する看護を学びたい」と思いながら大学病院などの大きな病院に入職しても、希望が通らず興味のない分野へ配属されてしまうと、また転職を検討しなくてはいけなくなってしまいます。
そのようなことが起きないよう、循環器専門病院に転職することで、学びたい疾患や看護と密接に関われ、転職する目的を果たすことができます。
自分が学びたい分野が決まっている場合は、専門病院を検討しましょう。
中規模病院
忙しすぎるところは避けたいものの、看護技術や知識はきちんと学びたい・成長したいと思っている看護師には、中規模病院がおすすめです。
大学病院のような大きい病院では、患者数が多く忙しいことから、部署によっては残業や急変対応などを余儀なくされてしまうことがあります。
また、小さいクリニックは研修制度などが整っていない傾向があるうえ、患者数も比較的少ないため、看護技術や知識が十分に学べず、衰えてしまう不安を感じることもあるでしょう。
中規模病院は、大きい病院に比べると多少患者数は減りますが、患者さんに対するケアや看護などを学ぶ機会は多く、研修制度をしっかりと設けている病院も多いため、おすすめです。
自分の理想の看護師をめざし、職場を検討しよう
看護師2年目は、ミスが増え看護師が向いていないと感じてしまったり、妊娠・出産などライフステージの変化を迎えたりして、転職を検討するきっかけが多くなるでしょう。
また、業務をこなすなかでなりたい看護師像が明確になり、スキルアップのため、転職を検討する人が増える時期でもあります。
転職を決断する前に、今の職場で成長できている自分を振り返ったり、院内での部署移動や休職制度を活用したりしながら、周囲の頼れる人に働き方を相談することも大切です。
どのような看護師になりたいのか、理想の自分や看護師像をめざして職場を選ぶために、この記事が役に立つことを祈っています。