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病棟看護師として働こう|仕事内容や役割・種類ごとの特徴について紹介

ある程度規模の大きな病院で働く看護師は、病棟が勤め先となる場合があります。
病棟看護師は、入院中の患者さんに寄り添いながら治療をサポートする存在です。
これから医療の現場に立つ新卒看護師や転職を検討中の方のなかには、「病棟看護師として働いてみたい」と考えている方もいるでしょう。

本記事では、病棟看護師の仕事内容や役割、病棟ごとの特徴を解説します。
病棟経験を通して基本的な看護師スキルを身につけられるとともに、患者さんのケア・治療について深く学ぶことが可能です。

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病棟看護師とは?

病棟看護師とは?

病棟看護師とは、病院の入院場所である病棟で働く看護師のことです。
入院している患者さんのケアを行い、入院期間をサポートすることが病棟看護師の主な役割ですが、業務内容は病院や病棟の特徴により異なります。

病棟看護師の役割

病棟看護師は、診療の補助や看護ケアを通して患者さんが治療に専念できるよう、入院生活を支援する役割を担います。
入院している患者さんは、自宅とは異なる環境で治療や疾患と向き合わなければいけません。
ご家族と同居している方であれば、ご家族と離れることによって精神的にも不安定になってしまうこともあるでしょう。

病棟看護師は、医療職のなかでも患者さんに身近な存在として寄り添い、精神的な支援も行います。
加えて、患者さんに最適な医療を提供するため、他の医療職と連携したり調整したりする役割を担うこともあるでしょう。

病棟で働く看護師の割合

2021年に日本看護協会が実施した調査では、看護師の全体のうち約85%が病院で働いており、そのなかでも約62%の看護師が病棟を勤め先としています。
病棟で働く看護師は、病院で働く看護師全体の半数以上を占めており、多くの看護師が病棟で活躍していることがわかるでしょう。
病棟看護師は24時間交代制で患者さんのケアにあたる必要があり、規模の大きな病院であれば、それだけ多くの病棟看護師が必要になります。

病棟看護師の仕事内容

病棟看護師の仕事内容は、病院の機能や病棟の診療科によって異なる可能性があります。
ここでは、どの病棟でも共通する以下の仕事内容を見ていきましょう。

【病棟看護師の仕事内容】

  • バイタルサイン測定
  • 診療・処置の補助
  • 日常生活ケア
  • カンファレンス・看護記録
  • 手術・検査出し
  • 入院対応・退院支援

順に詳しく解説します。

バイタルサイン測定

病棟看護師は、定期的に患者さんの病室をラウンド(巡回)し、健康状態を把握するためにバイタルサイン測定を行います。
バイタルサインである血圧や脈拍などには個人差があり、基準値から外れているかどうかという視点だけでは不十分です。
「前日と比べて変化はあるか」「患者さんの平均値と比べて異常な値ではないか」を確認することも大切になります。

診療・処置の補助

医師による診療・処置の補助も、病棟看護師の仕事です。
処置で使用する器具の準備や介助をはじめとして、次のような補助を行います。

  • 医師の指示のもと採血や点滴などの薬剤投与
  • ドレーンなどチューブ類の管理
  • 検査や治療の介助
  • 問診 など

これらのサポートを病棟看護師が担うことで、医師の負担を減らせます。

日常生活ケア

病棟に入院している患者さんのなかには、疾患の症状や治療によってセルフケアを行えない方も少なくありません。
病棟看護師は、清潔ケアや食事ケア、排泄ケア、環境整備を行い、入院中の日常生活をサポートして患者さんが療養に専念できるようにします。

ただケアを実施するのではなく、患者さんの様子を観察し、異常の発見につなげることも大切です。
清潔ケアであれば、患者さんの皮膚状態を観察できるため、発赤の有無や乾燥の程度などを確認し、褥瘡リスクのアセスメントにつなげられるでしょう。

カンファレンス・看護記録

病棟看護師は、患者さんの情報共有やケア方法の相談のため、定期的にカンファレンスを行います。
カンファレンスは看護師内で行うこともありますが、議題内容によっては医師や薬剤師、管理栄養士などの他職種も含めて行う場合もあります。
また、患者さんに一貫した看護を提供するため、実施した看護内容を看護記録として記載しておくことも仕事の一つです。

手術・検査出し

手術や検査がある患者さんを受け持った場合には、手術出しや検査出しも病棟看護師の業務になります。
手術や検査の内容によっては、事前のオリエンテーションの実施・準備が必要です。

手術であれば前日から食事や飲水制限を行うほか、手術部位によっては感染リスクを下げるために除毛の必要もあるでしょう。
当日は点滴を投与し、手術着に着替えて患者さんとともに手術室に向かいます。
安全に手術や検査を行うためにも、医師の指示は十分に確認しなければなりません。

入院対応・退院支援

患者さんの入院対応や退院支援も、病棟看護師の仕事内容です。
入院してくる患者さんは、治療や疾患に対して不安な気持ちを抱えています。
丁寧なコミュニケーションを心がけて、これからの入院生活のスケジュールを患者さんと共有しましょう。
また、既往歴や内服薬、自宅での生活状況、ご家族のこと、症状の程度など入院にあたって必要な情報を収集します。

退院支援が必要な患者さんに対しては、入院時の段階からのスクリーニングが重要です。
そのうえで他職種とのカンファレンスの実施、福祉サービス導入の検討などを通じ、退院後も安心して生活できるよう準備を行います。

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病棟看護師の勤務形態・スケジュール

病棟は24時間稼働しているため、病棟看護師は日勤と夜勤が混ざった交代勤務となります。
交代勤務は、「2交代制」と「3交代制」の大きく2種類です。

それぞれ、以下のような勤務時間で動くことになるでしょう。

  • 2交代制
    日勤:8時〜17時(休憩1時間)
    夜勤:16時半〜9時(休憩2〜3時間)
  • 3交代制
    日勤:8時〜17時(休憩1時間)
    準夜勤:16時半〜1時(休憩1時間)
    深夜勤:0時半〜9時(休憩1時間)
    ※勤務先によって勤務時間は変動する可能性があります。

他にも早番や遅番、日長など、病棟の特徴に合わせて変則的な勤務形態を採用している病院もあります。

日勤スケジュール

まずは日勤のスケジュール例を見てみましょう。

時間 実施事項   
8:30 申し送り ・看護師全体での申し送り
・夜勤の担当看護師から患者さんの引き継ぎ
・日勤看護師のチーム内で業務状況の共有
9:30 ラウンド ・患者さんへの挨拶
・バイタルサイン測定を行い、健康状態の観察
・検査や処置などの予定を患者さんに共有
・内服薬の確認
10:00 看護ケア ・洗髪や清拭、体位変換、おむつ交換などのケアを実施
・採血や注射、点滴の投与
・退院患者さんの対応
・入院患者さんの対応
11:30 昼食配膳 ・患者さんの昼食をセッティング
12:00 休憩 ・看護師同士でスケジュールを確認し、交代で休憩
13:00 カンファレンス ・看護師同士または他職種を含めたカンファレンスにて、患者さんの情報を共有し、治療の方向性やケア方法を議論する
14:00 ラウンド ・バイタルサイン測定
・内服薬の確認
15:00 看護ケア ・午前中と同様に患者さんに必要なケアを実施
16:00 看護記録 ・実施した看護内容をカルテに記載
・看護計画の評価日の場合は、アセスメントを記載
16:30 申し送り ・夜勤看護師への引き継ぎ
17:00 終業   

夜勤スケジュール

2交代制の場合の夜勤スケジュール例は、以下のとおりです。

時間 実施事項   
16:30 申し送り ・日勤看護師から患者さんの引き継ぎ
17:00 ラウンド ・患者さんへ挨拶、健康状態確認
・バイタルサイン測定
・食前薬配薬、内服確認
18:00 夕食配膳 ・交代で夕食休憩
19:00 ラウンド
看護ケア
・バイタルサイン測定
・点滴投与
・口腔ケアやおむつ交換などの日常生活ケア
20:30 就寝前準備 ・トイレ介助
・就寝前内服薬配薬、内服確認
21:00 消灯   
23:00~6:00 看護記録
ラウンド
休憩
・看護記録の記載
・定期的な病棟見回り
・交代で仮眠休憩
6:30 起床(ラウンド) ・バイタルサイン測定
・睡眠状況の確認
7:00 朝食配膳 ・患者さんの朝食をセッティング
8:00 ラウンド ・バイタルサイン測定
・内服薬確認
8:30 申し送り ・日勤看護師への引き継ぎ
9:00 終業   

【病棟の種類別】向いている看護師の違い

【病棟の種類別】向いている看護師の違い

病棟看護師の勤め先となる病棟は、以下の3種類に分類されます。

  • 急性期病棟
  • 回復期リハビリテーション病棟
  • 慢性期病棟

病棟の種類や診療科によって、看護師に求められる能力は異なります。
病棟ごとの特徴や看護師に求められる能力を見ていきましょう。

急性期病棟

急性期病棟には、早急な治療を必要とする方や急変のリスクが高い方、手術を行う方などが入院します。
抗がん剤の投与や術後の輸液管理など医療処置が多く、患者さんの急変が起こる可能性が高いことも特徴です。

このため、病棟看護師は正確かつスピード感を持って必要な処置を実施することが求められます。
ときには業務が重なってしまうこともあり、つねに優先順位を考えて行動しなければいけないでしょう。

常に忙しい病棟でもあることから、急性期病棟には次のような方が適しています。

  • 体力に自信がある
  • 医療処置を多く学びたい
  • 急変対応ができるようになりたい
  • 医療知識・スキルを深めたい

回復期リハビリテーション病棟

回復期リハビリテーション病棟は、自宅で安心して過ごすためのリハビリを目的とした病棟であり、容態が安定している患者さんが入院しています。
急性期状態からは脱したものの、脳血管疾患や大腿骨頸部の骨折などにより、退院が難しい患者さんなどが主な対象です。

回復期リハビリテーション病棟で、看護師は身体介助やリハビリの実施、他職種連携、在宅復帰のための生活指導・家族支援を通して、患者さんの回復をサポートします。
看護師として次のような考えを持っている方は、回復期リハビリテーション病棟が適しているといえるでしょう。

  • 患者さんの気持ちに寄り添いながら、回復していく姿をそばで見守りたい
  • 患者さんの気持ちに寄り添える看護がしたい
  • リハビリの知識を身につけたい

慢性期病棟

慢性期病棟には、容態は安定しているものの、慢性的な疾患により長期にわたって治療や療養が必要な患者さんが入院しています。
慢性期病棟の一つである療養病床の平均在院日数は約126日であり、入院期間の長さが特徴です。
要介護の方やご高齢の方など、日常生活ケアを多く要したり医療依存度が高かったりする患者さんが多いでしょう。

慢性期病棟の業務は、急変対応が少なくルーティンワークが多い傾向にあります。
これらのことをふまえ、次のような方は慢性期病棟での勤務を検討してみてください。

  • 一人の患者さんに長期間向き合って看護を提供したい
  • ゆっくりと看護技術を身につけたい
  • プライベートを重視して働きたい

病棟看護師の給料

看護師全体の平均給与は、約508万円です。
病棟看護師の給与形態の特徴として、夜勤手当があります。
日本看護協会の調査によると、夜勤1回あたりの平均手当額は以下のとおりです。

夜勤(2交代制) 11,286円
準夜勤 4,154円
深夜勤 5,112円

2交代制の病院で月に4回程度の夜勤をしたと仮定すると、1ヵ月で4万円程度、1年間に50万円程度の夜勤手当をもらえることになります。
そのため、日勤のみで働いている看護師と比較して給料が高くなることが考えられるでしょう。

病棟看護師のメリット・デメリット

病棟看護師として働くメリットだけでなく、デメリットにも目を向けておくと、入職後にギャップを感じる確率を減らせます。
病棟看護師のメリット・デメリットを見ていきましょう。

メリット

病棟看護師は、看護師としての基本的なスキルを身につけることが可能です。
病棟で働くなかで、採血や点滴などの医療処置から清拭、入浴介助などの日常生活ケアまで幅広く実践できるため、一人前の看護師として成長できます。
病棟の種類によって疾患の種類やケア内容が異なるため、複数の病棟で経験を積めば、看護師としてスキルアップできるでしょう。

また、同じ病棟でも病院・病棟の機能によって、求められる能力やスキル、仕事の忙しさはまちまちです。
勤務先の選択肢が複数あることから、自身に適した病棟を見つけやすいでしょう。

デメリット

病棟看護師は、日勤と夜勤を組み合わせた交代勤務が基本です。
そのため、生活が不規則になってしまい、体への負担を感じる可能性があります。
小さいお子さんがいる方は、子育てや家事などの理由で夜勤が難しく、プライベートと仕事の両立がしにくいと感じてしまうかもしれません。

また、急性期病棟など比較的忙しい病棟だと、臨機応変な対応が求められたり、慌ただしい状況下でもミスが許されず精神的なプレッシャーを感じたりします。
病棟の特徴と自身の特性をふまえて、病棟選びを行うと良いでしょう。

入院期間をサポートできる病棟看護師として活躍しよう

病棟看護師は、患者さんの入院を身近でサポートできるだけでなく、患者さんの反応や容態の回復によってやりがいも感じられる仕事です。
一方で、勤務形態や忙しさによる精神的、身体的な負担を感じてしまう方もいます。

とはいえ、病棟によって特徴や雰囲気、求められるスキルはさまざまです。
まずは自身の看護師としてありたい姿を見つめ直し、キャリアプランに適した病棟を選びましょう。

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執筆者について

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