保健師として働くためには「保健師国家試験」の合格が必須条件です。
今回は保健師国家試験に関して詳しく紹介します。
大学などの保健師養成課程で勉強している方々も、試験日程や内容、受験資格、合格基準などを確認して受験に備えましょう。
目次
保健師国家試験の概要
保健師国家試験に関して、まずは以下の表で概要を紹介し、試験内容や受験資格、試験時間、いつ結果がわかるかなどを解説します。
試験場所 | 12都道府県 北海道、青森県、宮城県、東京都、新潟県、愛知県、石川県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県 |
試験日程 | 年1回(毎年2月) |
試験科目 | 公衆衛生看護学 疫学 保健統計学 保健医療福祉行政論 |
試験時間 | 午前80分 午後80分 計160分 |
受験資格 | 次のいずれかに該当する者
(1)文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものとして、文部科学大臣の指定した学校(以下「指定学校」という。)において1年以上保健師になるのに必要な学科を修めた者。 (2)文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものとして、都道府県知事の指定した保健師養成所(以下「指定養成所」という。)を卒業した者。 (3)保健師助産師看護師法第2条に規定する業務に関する外国の学校若しくは養成所を卒業し、又は外国において保健師免許に相当する免許を受けた者で、厚生労働大臣が(1)又は(2)に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認めたもの。 (4)保健師助産師看護師法及び看護師等の人材確保の促進に関する法律の一部を改正する法律(平成21年法律第78号。以下「改正法」という。)の施行の際(平成22年4月1日)現に改正法による改正前の保健師助産師看護師法(以下「旧法」という。)第19条第1号に該当する者 (5)改正法の施行の日(平成22年4月1日)前に旧法第19条第1号に規定する学校に在学し、施行日以後に同号に規定する要件に該当することとなった者(施行日以後に同号に規定する学校に入学し、当該学校において6月以上保健師になるのに必要な学科を修めた者を除く。) |
合格発表 | 厚生労働省ホームページに受験地・受験番号を記載 |
受験料 | 5,400円(収入印紙を受験願書に添付して提出) |
問い合わせ | 保健師国家試験運営本部事務所 〒135-0063 東京都江東区有明3丁目6番11号 TFTビル東館7階 電話番号 03(5579)6903 |
申し込み | 受験願書等を請求 願書、写真、返信用封筒といった必要書類を期限内に提出 |
試験内容
保健師国家試験は「公衆衛生看護学」「疫学」「保健統計学」「保健医療福祉行政論」が試験科目となります。
各科目を詳しく見ていきましょう。
公衆衛生看護学
公衆衛生とは、地域全体において包括的に実施される健康への取り組みを指します。
それらを前提として、保健師が行うべきことをまとめたものが公衆衛生看護学です。
疫学
集団を対象とした病気の発生率や原因を研究する学問です。
病気の発生原因や流行状態を知ることで対処方法を検討し、予防につなげていくことを目的としています。
保健統計学
医療全体に対して統計学を用いて、現在の課題や発生が予想される問題を推測します。
それによって具体的な対策を検討できます。
保健医療福祉行政論
保健医療福祉行政論は、行政の立場から健康に関する取り組みを計画実施するための制度や機能、仕組みのことで、行政保健師はこれらをよく理解して業務を行います。
受験資格
保健師国家試験を受験するには、看護系大学や短大、専門学校で保健師養成課程のカリキュラムを修了していることが必須条件となります。
保健師養成課程と看護師養成課程の統合カリキュラムを採用している大学や4年生専門学校の場合は、卒業と同時に保健師と看護師両方の国家試験を同時に受験することが可能です。
統合カリキュラムがない場合は、短大や専門学校で看護師資格を取得後に、看護系大学への3年次編入や保健師養成所を経て、保健師国家試験の受験資格を得ることになります。
その他詳細は厚生労働省の「4受験資格」をご確認ください。
参照:厚生労働省|保健師国家試験の施行
試験時間
試験は昼休憩を挟み、午前と午後に行われます。
- 午前 10:40~12:00 80分
- 午後 13:55~15:15 80分 計160分
午前と午後ともに、試験前には説明時間も設けられています。
案内用紙を見て、いつから行われるのか事前に確認しておきましょう。
なお、試験当日は時間に余裕を持って行動することが大切です。
「会場が広く到着までに時間がかかる」などのトラブルがあった場合も対応できるようなタイムスケジュールを組みましょう。
申し込み~受験~合格発表の流れ・スケジュール
受験票は後日郵送にて交付されます。
合格後は、免許登録を受けるために免許の申請が必要です。
試験概要は例年8月に厚生労働省のホームページで公開され、そこで提出期限や受験日といった詳細な日程と申し込み方法を確認できます。
なお、申し込み書類や期限の詳細は、厚生労働省ホームページにて以下の欄をご確認ください。
「5 受験手続」「9 受験願書等の請求方法について」
参照:厚生労働省|保健師国家試験の施行
保健師国家試験の合格基準や難易度は?
保健師はどのくらいの割合で合格できているのでしょうか?
ここでは合格基準、難易度や合格率を紹介します。
合格基準
過去5年間の合格得点と得点率です。
平均すると、6割の正答率で合格となります。
確実に合格をめざすには、過去問や模擬試験の段階で7割以上の得点をキープできていると安心できるでしょう。
合格基準(得点/満点) | 得点率 | |
第103回 | 85点以上 / 141点 | 60.3% |
第104回 | 87点以上 / 144点 | 60.4% |
第105回 | 87点以上 / 145点 | 60.0% |
第106回 | 87点以上 / 144点 | 60.4% |
第107回 | 86点以上 / 142点 | 60.6% |
難易度と合格率
以下の表が過去5年間の合格率です。
例年90%前後の合格率で、非常に高い水準です。
しかし、新卒者の割合が高く、既卒になると合格率が低下します。
一発合格をめざして勉強に取り組みましょう。
合格率 | うち新卒者合格率 | うち既卒者合格率 | |
第103回 | 90.8% | 94.5% | 45.1% |
第104回 | 81.4% | 85.6% | 18.2% |
第105回 | 81.8% | 88.1% | 31.0% |
第106回 | 91.5% | 96.3% | 53.2% |
第107回 | 94.3% | 97.4% | 52.9% |
保健師国家試験の合格率の詳細に関しては以下の記事を参照
試験対策
保健師国家試験の合格に向けた試験対策は、主に3つの方法があります。
- 問題集の反復
過去問を何度も解くことが必要です。
問題の傾向をつかみながら学力を身につけられます。 - 模擬試験の受験
本番の環境に慣れるために、模試を受験しましょう。
内容や時間配分などを把握するためにも複数回の受験がおすすめです。 - アプリの活用
電車での移動時間や学校の休憩時間など、スキマ時間で勉強できます。
アプリによって解説のボリュームや出題形式が異なるため、自分の勉強方法に合ったものを選びましょう。
保健師国家試験に向けて準備をしよう
この記事では、保健師国家試験に関して、試験内容と日時、受験資格といった試験概要や合格率などを解説してきました。
保健師国家試験は、大学や専門学校で所定のカリキュラムを修了した人が受験できる国家試験です。
合格率は毎年90%前後と高い水準となりますが、決して簡単な試験ではありません。
また、保健師国家試験は新卒に比べて既卒の合格率は低下します。
一発合格できるよう計画的に準備しましょう。