保健師の仕事は、コロナ禍によって大きく変化しました。
業務量が増え、心身ともに疲れている保健師は多いのではないでしょうか。
今回の記事では、保健師を辞めたいと思っているが転職にも不安を感じている人に向けて、仕事を辞めたい理由として多く挙げられるものや、辞める前に試せること、経験を活かせる転職先などを解説しています。
保健師を続けるか悩んでいる人は、参考にしてみてください。
目次
保健師が仕事を辞めたいと思う理由
保健師が仕事を辞めたいと思う主な理由は、以下のとおりです。
- 業務量が多い
- 仕事に自信がない
- 仕事にやりがいを感じない
- 給料が安く待遇が悪い
- 理想と職場の現状とのズレ
- 孤独を感じる
- 体調を崩した
それぞれ見ていきましょう。
業務量が多い
コロナ禍の影響で、近年は保健師の業務量が大幅に増加しています。
PCR検査で新型コロナウイルス感染症の陽性が判明し、医師から「新型コロナウイルス感染症発生届」を受理すると、入院先の調整や積極的疫学調査、自宅療養している患者さんの療養支援および相談対応など、多くの対応が必要です。
また、日常的に残業が多いにも関わらず、残業代が支払われていないケースもあり、恵まれた環境ではありません。
仕事に自信がない
保健師は人の健康に関わる仕事のため、ミスをすれば健康被害にもつながりかねません。
仕事のミスが重なったり、重大なミスを犯してしまったりすると、自分は保健師に向いていないのではと思い込み、自信をなくしてしまうこともあるでしょう。
また、保健所や役所で勤務していると、些細なミスに対するクレームへの対応を求められるため、疲弊して自信をなくしてしまうケースもあるのが現状です。
仕事にやりがいを感じない
保健師の仕事にやりがいを感じられなくなり、辞めたいと思うケースもあります。
保健師の仕事は疾病の予防が主目的であり、医師のように治療を行うわけではないことから、仕事の成果が見えにくいためです。
また、行政保健師は公務員として働いており、所属している自治体の意向を大きく受けるため、自分のやりたいことを実現するのは難しいでしょう。
給料が安く待遇が悪い
令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果によると、保健師を含む看護職員の平均給与額は、他の職種より高い水準です。
しかし、仕事の責任の重さや業務量、業務内容の割には、給与が安いと感じている保健師も多くいます。
また、残業代が払われていないことがあったり、土日祝日でも急用で出勤したりと、待遇面での不満から退職を選ぶ人も少なくありません。
理想と職場の現状とのズレ
保健師を辞めたいと思う理由に、理想と現実のズレがあります。
保健師として、地域住民の健康に貢献したいという理想を描いていても、実際には日常業務が雑用に追われてしまい、なかなか実現が難しいかもしれません。
理想と現実が大きく異なると、仕事へのモチベーションの維持が難しくなります。
孤独を感じる
保健師は、職場によっては自分一人のみであるケースもあるため、仕事の質問をする相手がいない、悩みを相談する相手がいないなどの理由から、孤独を感じることもあります。
また、保健師としての仕事を一人で担うとなると、多くのことを自分で判断しなければなりません。
自分の判断がトラブルの原因になった際には、より孤独を感じやすいでしょう。
体調を崩した
保健師の仕事は、肉体的にも精神的にも負担がかかります。
業務量が多く、業務時間も長くなるからです。
特にコロナ禍では通常業務に加えて、体調不良や発熱などの電話対応もしなくてはなりません。
また、責任が大きな仕事でもあるため、疲れている体にさらにストレスがかかり、精神的にも病んでしまう可能性も高まります。
保健師を辞めたいと思ったときに試したいこと
保健師を辞めたいと思ったときには、以下のことを試してみましょう。
- 異動を申し出る
- 仕事を休む
- 辞めたい理由を書き出す
- 社外の人に相談する
異動を申し出る
職場環境や人間関係が原因で保健師を辞めたいと思った場合、まずは上司に異動を申し出てみましょう。
上司に伝えることで現状を理解してもらえますし、異動が叶えば辞めたいと思う原因も解消されます。
仕事を休む
過重労働で心身ともに疲労困憊の際には、仕事を休んでみましょう。
疲れ果てているときは正しい判断をできないことが多いため、仕事を辞めるという大きな決断は、精神が安定しているときにするべきです。
有給休暇などを利用し、いったん仕事から離れてリフレッシュすることをおすすめします。
辞めたい理由を書き出す
漠然と辞めたいと思った際には、なぜ辞めたいのか、思い当たる理由を書き出してみましょう。
言語化することで、自分の気持ちの整理にもつながります。
辞めたい理由を書き出したら、次に自分自身で改善できることとできないことに振り分けます。
ミスをなくしたり、仕事の効率を高めたりは自分で改善できることですが、明らかに外部環境で自分の行動では変えられないことが理由となる場合は、退職や転職も選択肢に入るでしょう。
社外の人に相談する
上司や同僚だけでなく、信頼している社外の人に相談してみても良いでしょう。
相談して言葉にすることで、自分自身がどのように考えているかを整理できますし、気持ちを吐き出すことでストレスが解消されるかもしれません。
仕事関係の人ではなく、ご家族や信頼できる友人であれば、利害関係や職場内の固定観念にとらわれないアドバイスにも期待できます。
保健師を辞めたい方向け、資格を活かせる転職先
保健師の資格が活かせる転職先は、以下のとおりです。
- 企業の医務室・健康保険組合
- 大学や専門学校
- 総合病院やクリニック、訪問看護ステーション
- 看護師に転職
企業の医務室・健康保険組合
企業の医務室や健康保険組合に勤める保健師は、産業保健師として、社員の健康診断やストレスチェックを行います。
検診に引っかかった社員に対して、精密検査を促したり、希望する社員の相談にのったり、健康指導を行ったりする仕事です。
企業の保健師は設置の義務がなく、保健師を採用している企業が少ないため、あまり多くの求人はありませんが、他の職場と比べると業務負担が軽く人気があります。
大学や専門学校
大学や専門学校に勤める保健師は、学校保健師として、怪我の応急処置や健康診断、相談への対応や指導などを行います。
人間関係や進路に対する悩みを聞くといった、メンタルケアも重要な役割です。
なお、小学校・中学校・高等学校で「保健の先生」として勤務する場合は、養護教諭免許が必要です。
総合病院やクリニック、訪問看護ステーション
病院保健師は、総合病院やクリニック、訪問看護ステーションで、患者さんの健康指導や病気予防の指導を行います。
病院内で働くスタッフの予防接種のサポートや、入院患者さんの調整も行います。
また、病院は保健師の職場としては行政、保健所の次に数が多いため、比較的求人を見つけやすいでしょう。
看護師に転職
保健師になるためには、保健師免許の他に看護師免許も必須であるため、すでに保健師として働いている人は看護師への転職も可能です。
看護師は、保健師と異なり実際に治療を行うため、人によっては達成感を得やすい場合があります。
夜勤のある病院に勤務した場合は、収入アップも期待できるでしょう。
また、看護師として勤務した経験は、将来保健師に復職した際にも活かすことができます。
保健師の仕事を見直し、次の一歩を踏み出そう
保健師が仕事を辞めたい理由として多く挙げられるものや、辞めたいと思ったときに試して欲しいこと、資格を活かせる転職先を解説しました。
保健師の業務はコロナ禍によって大きく変わり、業務量も大幅に増えています。
今の職場で保健師を続けるか悩んでいる場合は、周囲の人に相談したり、一度休んで冷静になってから、次の一歩を踏み出しましょう。