保健師は行政機関や学校など、さまざまな場所で活躍しています。
同じ保健師でも、働く場所によって仕事の内容は変わり、それぞれのやりがいや魅力は違ってきます。
保健師の仕事にはそれぞれどのようなやりがいや魅力があるのか、働く場所別にみていきましょう。
目次
【働く場所別】保健師のやりがいと魅力を紹介
保健師は人々が健康に生活できるよう、健康管理や疾病予防、保健指導などを行う仕事です。保健師は さまざまな場所で活躍していますが、働く場所によって主に次の4つに分類されます。
- 公務員として働く「行政保健師」
- 医療機関で働く「病院保健師」
- 学校で働く「学校保健師 」
- 一般企業で働く「産業保健師 」
このうち、市区町村や都道府県、保健所などの行政機関で公務員として働く行政保健師が最も多く、 全体の約7割を占めています(2020年末現在)。
それでは、働く場所別に保健師の仕事内容とやりがい・魅力をみていきましょう。
公務員として働く行政保健師
行政保健師は保健所や役所、健康保健センターなどの公的機関に勤務し、地域住民の健康を守る仕事です。
仕事内容は、自宅療養している高齢者の訪問から育児相談まで多岐にわたります。
公務員である行政保健師として働くには、保健師資格はもちろん、公務員試験にも合格しなければなりません。
自治体によっては公務員試験の受験に年齢制限が設けられているため注意が必要です。
行政機関で働く保健師のやりがい
仕事を通じて地域の方々の役に立っていると実感できるのが行政保健師の大きなやりがいです。
行政保健師は乳幼児から高齢者まで幅広い年代の健康相談に応じ、 地域の人たちと協力して生活習慣病予防のための健康教室を企画するなど、地域に密着して仕事ができます。
行政機関で働く保健師の魅力
感染症対策などを通じて社会全体を守り、地域に寄り添いながら住民や地域の輪をつなぐ役割を担えるのが行政保健師の魅力です。
感染症の流行を予測し、被害が最小限となるように対策を講じる。
人々が安心して健康に暮らせる社会を作るために、信念を持って日々働く。これらは行政保健師として働く大きなモチベーションです。
一個人から始まる行政保健師と地域の人々との関わりは、そのご家族、そして地域全体へと広がっていきます。
医療機関で働く病院保健師
病院保健師は、病院や健診センター、訪問看護ステーションなど医療機関に勤務します。
具体的な仕事は、健康診断の実施や保健指導、病院で働くスタッフの健康管理、感染症対策などです。
予防医療に興味を持ち、看護師から保健師になるケースもあります。
医療機関で働く保健師のやりがい
保健指導を通じて行動や習慣を改善できることにやりがいを感じられます。
病院に来て相談をする方は、少なからず不安を抱えています。
このような方々の心身の不安を解消するのが病院保健師の役割です。
また、病院保健師は病院スタッフの健康も守ります。
病院スタッフの健康を守ることは、結果的に患者さんの健康を守ることにもつながり ます。
医療機関で働く保健師の魅力
医療の最前線で働く病院保健師は最新の医療情報をキャッチアップしやすく、保健師としてのスキルを高めやすいのが魅力です。
病院によっては採血や検査の介助なども行うため、看護師のスキルを維持しやすい点も魅力といえるでしょう。
学校で働く学校保健師
学校保健師は小・中学校、高校、大学、専門学校などで勤務します。
主な仕事としては、生徒の病気やケガに対しての応急処置、手洗い・うがいの呼びかけなど病気を予防するための取り組み、生徒や教職員の心に関するケアなどを行います。
生徒同士のイジメの問題や、人間関係の問題、進路や就職活動での不安など、若年層のメンタルケアに対する関心は高まっています。
生徒の心に関する問題に寄り添い、適切なケアとアドバイスを行うことが学校保健師の大切な役割です。
学校保健師の求人数は非常に少なく、狭き門です。
国公立の小・中学校・高校で学校保健師として働くには、保健師免許に加えて養護教諭免許が必要 となるため、養護教諭免許があれば就職の幅が広がります。
学校で働く保健師のやりがい
成長過程で多感な時期の生徒を相手にするため、大人を対象とする場合とは違った難しさがあります。
その反面、生徒に寄り添い、悩みや不安を解消できたときには大きなやりがいを感じられます。
学校で働く保健師の魅力
入学から卒業まで、多感な時期の生徒たちの心に寄り添い、身近な存在として成長を見守っていけるのは学校保健師ならではの大きな魅力です。
また、学校保健師は夏休みや冬休みなどの長期休暇を取得できる場合があります。
残業も少ないため、仕事以外のプライベートの時間を大切にしたい方には魅力的でしょう。
企業で働く産業保健師
一般企業で働く産業保健師の主な仕事は、社員の健康管理や心のケアなどを通じ、社員が心身ともに働きやすい環境を整えることです。
具体的には社員の健康診断結果のチェックや、長時間労働やパワハラなどの問題への対応、ストレスチェックに基づくメンタル面のケアなどを行います。
近年は職員の健康増進に積極的に取り組む健康経営に関心が高まっており、産業保健師の役割が期待されています。
企業で働く保健師のやりがい
健康相談を通じて社員の健康に対する意識が変わり、行動につながったときにやりがいを感じます。
継続的なコミュニケーションによって社員の体や心の問題が解消されると、企業の健康経営を支えていると実感できるでしょう。
企業で働く保健師の魅力
産業保健師の大きな魅力は、上司や人事部など、社内の多くの人や部署と連携を取り、企業の一員とし労働環境の改善に取り組める点にあります。
多くの人と関わり、現場の生の声を聞きながら働けることはモチベーションの向上にもつながります 。
保健師に向いている人
保健師に向いているのは、コミュニケーション能力が高く、根気強い人です。
保健師は子供から高齢者まで幅広い年代かつ、健康な方から病気を持つ方までさまざまな方を相手に仕事をします。
多くの人と連携して支援を行いこともあり、誰とでも良好なコミュニケーションを取れる能力が求められます。
保健師の仕事では、ときに自分の健康に問題がないと思っている方、支援を必要と感じていないような方へのアプローチが必要になるケースもあります。
このようなケースでは、すぐに相手に受け入れられなくても諦めない根気強さが必要です。
どのような人が保健師に向いているのか、より詳しく知りたい方は以下の記事をご参照ください。
保健師の大変なこと
保健師は幅広い年代の方に対して、指導的役割を果たさなければなりません。
同年代や年下の方に指導する場合もあれば、年上の方に指導する場合もあります。
その際にはコミュニケーション能力はもちろん、相手に頼られるような知識や経験が欠かせません。
経験の浅い新人保健師にとっては、年上の方に対する保健指導は大変に感じやすいです。
また、最近では新型コロナウイルスの影響によって、保健所に勤務する保健師 は電話対応や入院調整な どに追われています。
夜遅くまで休み返上で働き、心身ともに疲れ切っている保健師も少なくありません。
社会を支える重要な役割を担っている分、このようなときには負担が大きくなりやすいといえます。
保健師は人々の健康をサポートするやりがいある仕事
保健師は人々の健康をサポートする大切な役割を担っています。働く場所によって仕事内容は違いますが、それぞれにやりがいと魅力のある仕事です。
仕事では大変なこともありますが、自身がやりがいや魅力を感じられる場所で働くことでモチベーションも高めやすいでしょう。