
理学療法士が年収1,000万に到達することは可能なのでしょうか?
今回の記事では、理学療法士の給与情報をもとに、年収1,000万円を稼ぐことの可否と、年収アップの方法について解説していきます。
理学療法士をめざしている方や、今後のキャリアプランに悩んでいる現役の理学療法士の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
理学療法士のみで年収1,000万円は難しい
理学療法士が、病院や施設で働く給料のみで年収1,000万円をめざすことは困難です。
ここでは理学療法士の平均年収や、昇給幅について見ていきましょう。
理学療法士の平均年収は426万円
厚生労働省が公表している賃金構造基本統計調査によると、リハビリ職と呼ばれる4職種(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、視能訓練士)の、令和3年の平均年収は426万5千円、平均月収は29万6千円です。
年代別の平均年収・平均月収は以下のとおりです。
年代 | 平均月収 | 賞与 | 平均年収 |
20〜24歳 | 24万5千円 | 35万2千円 | 328万6千円 |
25〜29歳 | 26万3千円 | 63万5千円 | 379万6千円 |
30〜34歳 | 28万8千円 | 69万3千円 | 414万5千円 |
35〜39歳 | 30万2千円 | 75万7千円 | 437万5千円 |
40〜44歳 | 33万2千円 | 88万8千円 | 487万2千円 |
45〜49歳 | 35万3千円 | 91万8千円 | 515万8千円 |
50〜54歳 | 36万6千円 | 100万5千円 | 539万5千円 |
55〜59歳 | 38万1千円 | 117万3千円 | 575万0千円 |
60〜64歳 | 35万1千円 | 57万3千円 | 479万3千円 |
参考:賃金構造基本統計調査 令和3年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 5 職種(小分類)
これら世代別の平均年収から見ても、理学療法士の給料で年収1,000万円は難しいことがわかります。
理学療法士は昇給幅が少ない
理学療法士と、全産業の正社員の世代別平均月収を比較すると下図のようになっています。
平均月収 | ||
年代 | 理学療法士 | 全産業の正社員の平均 |
20〜24歳 | 24万5千円 | 23万0千円 |
25〜29歳 | 26万3千円 | 26万9千円 |
30〜34歳 | 28万8千円 | 30万2千円 |
35〜39歳 | 30万2千円 | 33万3千円 |
40〜44歳 | 33万2千円 | 35万6千円 |
45〜49歳 | 35万3千円 | 37万3千円 |
50〜54歳 | 36万6千円 | 39万1千円 |
55〜59歳 | 38万1千円 | 38万8千円 |
60〜64歳 | 35万1千円 | 30万3千円 |
参考:賃金構造基本統計調査令和2年以降 一般_産業大・中分類_年齢階級別DB | 統計表・グラフ表示
このように、理学療法士の平均月収や昇給幅は、全産業の平均よりも低いことがわかります。
昇給幅が少ない理由は、リハビリの診療報酬や時間、取得単位数など、リハビリを規定している制度の影響により、一人の理学療法士が稼げる金額に限りがあるからです。
理学療法士の診療報酬制度についてはこちらの記事で紹介しています。
>>理学療法士の給料は安い?給料の実態と少ない理由について解説
理学療法士が年収1,000万円を稼ぐには?
現在の理学療法士としてのスキルを活用して、働く方法や働く場所を変えることで、少しずつ年収を上げていき、年収1,000万円をめざすことは可能です。
ここでは、理学療法士が年収1,000万円を稼ぐための選択肢について紹介していきます。
起業する
理学療法士は、医師の指示のもとで理学療法を実施する原則があります。
そのため、理学療法士として理学療法を提供する施設を開業することはできません。
しかし、理学療法士としての知識や技術を活かし、以下のような施設を開業することは可能です。
- エステサロン
- リラクゼーションサロン
- 整体院リラクゼーション
- 訪問介護ステーション
- デイサービス
また、理学療法士の資格だけでなく、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師などの資格を取得すれば、接骨院やあん摩マッサージ指圧院、鍼灸院を開業することもできます。
開業にこだわらない場合は、スポーツトレーナーやインストラクターとして、フリーランスで活躍する選択肢もあるでしょう。
とはいえ、開業や独立などは相応のリスクがあります。
自身の理学療法士としてのスキルを上げたうえで、経営者としての視点を持たなければなりません。
副業を行う
理学療法士として働きながら副業を行い、年収1,000万円をめざすことも可能です。
理学療法士のスキルを活かせる副業としては、主に以下のようなものがあります。
- スポーツジムやデイサービスなどでアルバイトを行う
- フリーランスのWebライターとして活動する
- 健康講座などのセミナー講師として活動する
副業で自身のスキルを上げることで、のちのち独立や開業という形に移行し、更なる収入アップにつなげることもできます。
ただし、職場によっては副業が禁止されている場合もあるため、まずは現在の勤務先の就業規則を確認しましょう。
経験を生かして他職種へ転職する
理学療法士として病院などに勤務するのではなく、理学療法士の知識やスキルを活かせる他の職種に転職することで、年収を上げられる場合があります。
具体的な候補としては、製薬会社や医療機器メーカーなどです。
例えば、医療機器メーカーに勤め、医師や看護師に対して自社製品のデモンストレーションを行うクリニカルスペシャリストの場合、年収の相場は400〜900万となっています。
他には、英語力を身につけて外資系企業へ転職するか、実力をつけてマネージャーとしての役割を担うことでも、年収1,000万円を狙うことが可能です。
海外で働く
海外で働くことも、理学療法士が収入を上げる方法の一つです。
例えば、アメリカの理学療法士の給与相場は、勤務経験や働く場所によって違いはありますが、年収1,000万円が相場となっています。
オーストラリアの理学療法士も平均年収500〜1,000万円程度で、年収1,000万円が実現可能な相場です。
ただし、海外で働くためには相応の英語力が求められ、働きたい国によって理学療法士として働ける要件も異なるため、時間をかけて準備を行う必要があるでしょう。
理学療法士の知識を活かして年収1,000万円をめざすことは可能
理学療法士は、給与の相場が全産業の平均よりも低く、年収1,000万円を達成することは簡単ではありません。
しかし、理学療法士としての知識を生かして起業したり、職種や働く場所を変えてみたりすることで、年収1,000万円をめざすことは可能です。