
理学療法士は、リハビリテーションのプロとして活躍する医療従事者です。
資格取得に年齢制限がないため、いつからでもめざすことができる職業ですが、50代から理学療法士をめざす場合は、いくつかの注意点があります。
この記事では、50代から理学療法士をめざす際の注意点や、年齢別の平均年収などを解説します。
人生100年時代といわれるなかで、理学療法士としてのキャリアを描くための参考にしてください。
目次
理学療法士は何歳まで働ける?
理学療法士の資格は、一度取得すれば失効することはありません。
そのため、何歳まででも働くことが可能です。
しかし、ほとんどの勤務先では定年が定められているため、60〜65歳までしか働けないのが一般的です。
生涯を通して理学療法士として働きたい場合は、定年が定められていない会社か、定年後の再雇用制度を採用している会社を選ぶ必要があります。
また、実務経験を積んだあとに、自ら事業を立ち上げるのも1つの選択肢でしょう。
理学療法士として長く働くためには、自分のキャリアプランを早めに考えておくことが大切です。
理学療法士は50代からでも間に合う?
理学療法士になるには、最短でも3年の養成期間が必要です。
そのため、50代からでも理学療法士をめざすことは十分に間に合うといえるでしょう。
理学療法士の国家試験を受けるには、理学療法士の学校養成施設で3年以上学び、必要な知識と技能を身につけなければなりません。
その後、国家試験に合格して厚生労働大臣から免許が発行されることで、理学療法士として働くことができるのです。
養成校には3年制専門学校、4年制大学などがあるため、自身のペースに合わせて選択できます。
仮に50歳から3年間学び、53歳で働き始めたとしても、定年が65歳に設定されている会社を選べば10年以上は働くことができるでしょう。
理学療法士として50代から働く際の注意点
50代から理学療法士として働くことはできますが、若い頃から働く場合と比べて、いくつかの注意点があります。
以下の注意点を理解したうえで、理学療法士をめざすかどうか検討しましょう。
資格を取得する期間は収入がない
理学療法士の養成学校に通う3〜4年間は、基本的に収入が得られないと考えておく必要があります。
この期間の学費や生活費をどうするのかが、50代から理学療法士をめざすうえで大きな課題となるでしょう。
場合によっては、パート・アルバイトでの勤務が必要になったり、貯金を一時的に切り崩したりといった対応が求められます。
自分の生活スタイルに合わせて、どのように乗り切るのか事前のプランニングが大切です。
勤務先が見つかりにくい
厚生労働省の資料「理学療法士・作業療法士の需給推計について」によると、理学療法士の需要は2019年の時点では供給を上回っていますが、2040年頃には供給が約1.5倍になると予測されています。
つまり、理学療法士の数は年々増加傾向にあり、今後は就職や転職が難しくなる可能性があるのです。
どの職種でもいえることですが、50代になると20代や30代と比べて働ける期間が短くなります。
同じ条件であれば若い人材が優先されるケースも多く、勤務先を見つけるのが一苦労となるでしょう。
体力面での負担が大きい
理学療法士は、怪我や病気などで日常生活動作が難しい人のリハビリをサポートする仕事です。
リハビリの際は、動作や移動の介助を行うこともあるため、体力面での負担が大きくなります。
理学療法士は動作のプロとして、身体の負担を抑える工夫ができるものの、年齢による体力の低下は避けられません。
体力面での負担が大きい仕事を続けていく自信があるかどうかも、重要なポイントといえるでしょう。
給料が伸びにくい
理学療法士の給料は、基本的に年齢とともに上がっていきますが、大幅な昇給は少ない傾向にあります。
仕事のやりがいとして給料アップを重要視している場合は、不満に感じるかもしれません。
理学療法士として働く場合は、最初の勤務先の年収が重要なポイントとなります。
給料面での伸びしろが少ないことを理解したうえで、職場選びをすることが大切です。
理学療法士の年収【年齢別】
厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、令和5年の理学療法士の平均年収は415.4万円でした。
20〜69歳までの年齢別の平均年収は以下のとおりです。
年齢 | 平均年収 |
20〜24歳 | 341.5万円 |
25〜39歳 | 387.2万円 |
30〜34歳 | 420.7万円 |
35〜39歳 | 458.0万円 |
40〜44歳 | 470.6万円 |
45〜49歳 | 505.1万円 |
50〜54歳 | 497.2万円 |
55〜59歳 | 589.3万円 |
60〜64歳 | 524.1万円 |
65〜69歳 | 307.2万円 |
上記の表を見てわかるとおり、理学療法士の給料は大幅な上昇は少ないものの、60歳までは徐々に年収が上がる傾向にあります。
ただし、定年に入る60歳を境に年収は減少に転じています。
そのため、50代から理学療法士として働き始めた場合、年収を大きく上げるのは難しいといえるでしょう。
60歳以降の年収の減少を覚悟したうえで、理学療法士をめざす心構えが必要です。
理学療法士としての将来のキャリアを見つめよう
理学療法士は、何歳からでもめざすことができる職業です。
ただし、50代から理学療法士をめざす場合は、いくつかの注意点があります。
資格取得期間中の収入がない点や、勤務先が見つかりにくい点、体力面での負担が大きい点、給料が伸びにくい点など、若い頃から理学療法士としてキャリアを積む場合と比べるとデメリットは少なくありません。
これらのデメリットを理解したうえで、自分のライフスタイルに合った働き方ができるかどうかを考える必要があるでしょう。
また、理学療法士として働き続けるためには、自分のキャリアプランを描くだけでなく、理学療法士の社会的意義を理解することが大切です。
理学療法士の仕事にやりがいを感じ、生涯現役で働きたいと考えるのであれば、50代からでも挑戦する価値は十分にあります。
自分の人生を豊かにするための選択肢の1つとして、理学療法士への道を検討してみてはいかがでしょうか。