食と栄養に関する専門職として人々の健康をサポートする栄養士は、資格を取得した人のみが名乗れる職業です。
栄養士は栄養士養成課程のある学校を卒業すれば取得できます。
さらに知識を深めることで上位資格にも手が届くでしょう。
この記事では、栄養士を目指すにあたって学ぶことや勉強内容について紹介します。
目次
栄養士になるための勉強内容とは?
栄養士になるために学ぶ内容は栄養士法によって定められています。
食や栄養にまつわる基礎知識のほか、医療的な分野に触れる科目もあります。
あらかじめ勉強内容をきちんと把握しておきましょう。
栄養
栄養に関する知識は、栄養士の仕事においてすべての基礎です。
タンパク質やビタミンといった栄養素のはたらきを知り、健康への影響を学びます。
ほかにも、食文化の歴史的背景・風習を知る食生活論や、食事療法を学ぶ臨床栄養学という科目があります。
「食」にまつわる知識をあらゆる観点から学んでいきます。
また、生活習慣改善や運動不足解消など、医療的側面のある公衆栄養学も栄養士にとっておさえておくべき知識です。
相手の健康状態や食生活に合わせた指導を行う栄養指導論も、実践的なスキルとして身につけておきましょう。
食品や衛生
食品学では、主に食品の安全性を調査したり、食品を構成する成分を分析したりします。
普段目にしている食品がどのように加工されているかを知る食品加工学や、細菌や農薬から安全を確保する方法を学ぶ食品衛生学など、より深い視点で食品の知識を高めることができます。
また、食品学において重要とされる公衆衛生学では、予防接種や学校保健など衛生面に関わるあらゆる分野を学習します。
給食管理
普段の食事で口にする料理を科学的に分析するほか、実際に病院や学校へ訪れて実習を行う科目です。
実習では、以下で挙げられるような実践的な知識や方法について学ぶことができます。
- 献立作成
- 食材選定・調理
- 栄養管理
- 食品管理
- 衛生管理
- 配食管理
- 作業管理
- 原価計算
給食管理で学ぶ内容は、実際に栄養士として働き出したときに発揮される知識です。
学校で働く栄養士になりたい方には特に必要とされる勉強内容でしょう。
また、事務・労務管理の知識も得られるため、栄養士の主要業務以外にも役立つスキルが身につきます。
人体
人体について学ぶ科目では、解剖生理学や生化学、運動生理学といった医学的な分野を学習します。
解剖生理学は人体の構造と機能、各臓器や器官について学びます。
医学部で学ぶような内容ですが、れっきとした栄養学の一部です。
栄養士になるため、栄養素が人体に取り入れられてから体内で働くまでを知る生化学や、人体の機能と運動が健康に与える影響を理論的に勉強する運動生理学も学びます。いずれも栄養士の仕事に欠かせない知識です。
栄養士には2つの種類がある
栄養士の勉強内容について紹介しましたが、さらに上を目指すなら「管理栄養士」についても知っておきましょう。
同じ「栄養士」と名のつく職業ですが、管理栄養士はより上位の資格かつ、取得方法も異なります。
栄養士
栄養士は主に健康な人を対象に、栄養指導や献立考案を行う仕事です。
栄養士が活躍できる代表的な職場の例として学校給食や社員食堂が挙げられます。
特別支援学校を含む小・中学校での勤務は、成長期の子どもたちに向けて適切な給食を提供する使命があります。
例えば、健康的な献立を考案したり食生活改善の個別アドバイスを行ったりと、子どもの成長に携わる大事な役割です。
多くの人が働く会社の社員食堂では、社員に向けた栄養面のサポートが求められます。
学校給食と同様に献立の考案はもちろん、幅広い年齢層を対象に適切な対応が必要です。
管理栄養士
管理栄養士は、病気を抱えている人も対象に栄養指導を行う栄養士の上位資格です。
そのため、学校給食や食品研究、スポーツに関わる職場などに加え、医療現場や福祉施設でも活躍を期待されます。
なお、管理栄養士になる方法は以下のいずれかです。
- 管理栄養士養成施設に4年間通ったあとに国家試験を受ける
- 栄養士養成施設に2~4年通い実務経験を積んだあとに国家試験を受ける
管理栄養士養成施設へ通う場合は4年間、栄養士から管理栄養士を目指す場合は学校と実務をあわせて5年の経験があれば、管理栄養士の国家試験を受けることができます。
試験に合格すれば、晴れて管理栄養士になることが可能です。
しっかり勉強して栄養士になろう!
栄養士は、食と栄養の専門家としてやりがいを感じられる仕事です。
栄養士養成課程のある学校を卒業できれば取得できる資格なので、専門職のなかでは比較的やさしい部類にあたります。
しかし、在学中は定められたカリキュラムに則り必要単位の取得をしなくてはいけません。
栄養学は幅広い知識を学ぶことになるため油断は禁物です。
もし、より専門性を高めてキャリアアップを考える場合、管理栄養士を目指すこともできます。
健康に不可欠である知識が求められることから、医療現場や民間企業、教育機関など働ける場所は数多く存在します。
しっかり勉強して、一人前の栄養士として働けるよう頑張ってください。