
「社会福祉士の平均年収は?」
「働く施設や年代によってどのくらい変わるの?」
社会福祉士をめざす方や、現役で活躍する社会福祉士のなかには、上記のような疑問を持っている方もいるでしょう。
本記事では、社会福祉士の平均年収を、年代や雇用形態別に紹介しています。
目次
社会福祉士の平均年収は?
公益財団法人 社会福祉振興・試験センターの「社会福祉士就労状況調査実施結果報告書」によると、令和2年度の社会福祉士の平均年収は403万円でした。
なお、この金額は正社員だけではなく、パート・アルバイトや契約社員、派遣社員も含んだ平均年収です。
平成27年に行われた前回の調査では377万円だったため、5年間で約26万円アップしています。
全体 | 男性 | 女性 | 無回答 | |
平成27年 | 377 | 439 | 339 | 386 |
令和2年 | 403 | 473 | 365 | 423 |
増減 | +26 | +34 | +26 | +37 |
(単位:万円)
出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「社会福祉士就労状況調査実施結果報告書」
また、年代や施設によっても平均年収は異なります。
それぞれの平均年収を確認していきましょう。
年代別
社会福祉士の年代別の平均年収は、下記のとおりです。
年代 | 男性 | 女性 |
20代 | 332 | 320 |
30代 | 426 | 347 |
40代 | 501 | 380 |
50代 | 564 | 421 |
60代以上 | 418 | 321 |
(単位:万円)
出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「社会福祉士就労状況調査実施結果報告書」
年齢が上がるにつれて給与も上がっており、男女とも50代で最も高くなる傾向にあります。
施設・事業所別
施設や事業所でも、平均年収は異なります。
いくつか抜粋して表にまとめたので、就職先を決める際に参考にしてください。
介護老人福祉施設 | 423 |
介護老人保健施設 | 392 |
障害者支援施設 | 416 |
公共職業安定所 | 413 |
児童相談所 | 532 |
病院・診療所 | 398 |
都道府県社会福祉協議会 | 475 |
市区町村社会福祉協議会 | 447 |
学校教育関係 | 306 |
都道府県庁 | 496 |
(単位:万円)
出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「社会福祉士就労状況調査実施結果報告書」
雇用形態別
正規職員として働く場合の平均年収を見ていきましょう。
厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によれば、正規職員の社会福祉士の平均月給は35万2,560円です。
統計データには、基本給のほか手当や一時金も含まれているため、平均年収は35万2,560円×12ヵ月=423万720円と計算できます。
続いて、雇用形態別に年収の分布をまとめたものを確認しましょう。
正規職員 | 契約職員 | パートタイム職員 | 派遣職員 | |
103万円未満 | 0.8 | 3.6 | 22.8 | 14.6 |
103万円以上130万円未満 | 0.1 | 1.3 | 9.3 | 2.0 |
130万円以上150万円未満 | 0.1 | 0.8 | 5.4 | 2.0 |
150万円以上200万円未満 | 0.5 | 4.9 | 9.1 | 3.3 |
200万円以上300万円未満 | 8.2 | 32.2 | 16.6 | 11.9 |
300万円以上400万円未満 | 25.9 | 21.6 | 4.3 | 10.6 |
400万円以上500万円未満 | 23.3 | 6.5 | 1.3 | 3.3 |
500万円以上600万円未満 | 12.6 | 2.2 | 0.4 | 0.0 |
600万円以上 | 13.7 | 2.0 | 0.4 | 2.6 |
無回答 | 14.8 | 25.0 | 30.3 | 49.7 |
(単位:%)
出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「社会福祉士就労状況調査実施結果報告書」
正規職員は300万〜400万円未満の割合が最も高いものの、約50%は400万円以上となっています。
契約社員は200万〜300万円未満の割合が最も高く、400万円以上の割合は約11%です。
パートタイム職員は103万円未満が最も多く、400万円以上は約2%のみでした。
また、派遣社員も最も多いのは103万円未満で、400万円以上の割合は約6%となっています。
社会福祉士の年収はほかの福祉系の職業と比較して高い?
社会福祉士の年収は、ほかの福祉系の職業と比較してやや高めだといえます。
下表は、正規職員として働く社会福祉士と、ほかの福祉系の職種の平均年収をまとめたものです。
社会福祉士 | 423 |
介護福祉士 | 398 |
ホームヘルパー | 353 |
ケアマネージャー | 406 |
生活相談員 | 416 |
児童相談員 | 416 |
(単位:万円)
社会福祉士は、少子高齢化の影響で需要が高まっています。
5年前の調査から平均年収が約26万円アップしていることからもわかるとおり、今後も必要とされる職業でしょう。
介護福祉士の年収に関しては、下記の記事で詳しく解説しています。
あわせてご参照ください。
社会福祉士が年収を増やす方法
社会福祉士が年収を増やす方法を3つ紹介します。
- 資格を取得する
- 役職に就く
- 独立して働く
今より給与を上げたい方や、さらにステップアップしたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
資格を取得する
社会福祉士は、資格を取得することで、資格手当が支給されたり、昇格したりして、年収が上がる可能性があります。
実際に勤務先に「資格手当がある」と答えた人の割合は37.4%で、前回調査の30.1%よりも上昇していました。
なお、資格手当の月額平均額は下記のとおりです。
- 平成27年:1万797円
- 令和2年:1万827円
仮に、毎月1万円支給されると年収が12万円アップします。
気になる方は、資格手当の有無を職場に確認してみましょう。
資格手当の対象となる具体的な資格は明かされていませんが、認定社会福祉士や認定上級社会福祉士などはスキルアップに有効です。
役職に就く
管理やマネジメントのポジションに就くと、給与が上がる可能性があります。
役職手当も期待できるため、昇進をめざすのも良いでしょう。
現在の職場で昇進が難しい場合は、管理職候補を募集している会社に転職するのも一つの方法です。
独立して働く
企業に所属するだけではなく、独立して活動する方法もあります。
独立開業にはリスクがあるものの、経営がうまく行けば大幅な収入アップをめざせます。
例えば、成年後見人になったり、講師をして収入を増やすのも選択肢の一つです。
社会福祉士の平均年収を把握して今後のキャリアを考えよう
社会福祉士の平均年収は403万円、正規職員に限れば約423万円です。
社会福祉士が年収を増やすためには、資格を取得する方法、役職に就く方法、独立開業する方法などがあります。
自分のキャリアプランと相談しながら、適切な方法を選択してください。