
「言語聴覚士の仕事は自分に向いているの?」
「言語聴覚士に向かない人ってどんな人?」
言語聴覚士の仕事に興味があるものの、上記のような疑問をお持ちの方もいるでしょう。
自分に適性があるのか、乗り越えるべき課題はどのようなものなのかを知ることで、言語聴覚士として働くことへのモチベーションを高めていけるのではないでしょうか。
本記事では、言語聴覚士に向いている人・向かない人の特徴を解説します。
ぜひ最後までご覧ください。
目次
言語聴覚士に向いている人
以下にて言語聴覚士に向いている人の特徴を紹介します。
言語聴覚士に興味のある方、めざしたい方はぜひ今後のご参考にしてみてください。
人を大切にする心と姿勢を持っている人
話すことや聞くこと、読むことに問題を抱える方々をサポートする言語聴覚士にとって、自分の考えを伝えること以上に、相手を深く知ろうとする心を持つことが重要です。
例えば患者さんの言動に対して、なぜその言動に至ったのかを考えたり、気持ちに共感しつつ掘り下げて聞いたりすることで、患者さんの意外な背景に触れられることもあります。
また不安を抱えるご家族に対しても、現況を淡々と伝えるのではなく、前向きな言葉がけをしていくことで良好な関係を築けます。
言語聴覚士には相手の立場に立って考えられる方が適しているでしょう。
人とコミュニケーションを取るのが好きな人
言語聴覚士の仕事にコミュニケーション能力は欠かせません。
なぜなら、患者さんやご家族、医療チームに属する他職種のメンバーとの情報共有や、一人ひとりに合った訓練を同僚と連携して行うことが欠かせないためです。
例えば、医師や看護師、その他職種のメンバーに患者さんの状況を正確に伝えるには、同僚とのコミュニケーションが重要となります。
コミュニケーションを取るのが好きな方にとって、協調性が求められる言語聴覚士はやりがいのある仕事となるでしょう。
観察力や想像力がある人
言語聴覚士が担当する患者さんは、うまく気持ちを言語化できず、コミュニケーションに問題を抱えた方々です。
また、患者さんの年齢や経歴、障がいの原因・度合いは多種多様。
言語聴覚士は背景の異なる患者さん一人ひとりと向き合い、口周りの動きや話し方などからその人の状態を見極めたり、真意を読み取ったりする必要があります。
些細な変化から患者さんの状態を察することが求められる言語聴覚士には、洞察力や想像力に長けた方が適しているといえるでしょう。
共感力がある人
言語聴覚士にとって、共感力は重要なスキルです。
患者さんは自分の思いを自由に口にできず、日々歯がゆさやもどかしさを感じており、そこに共感し心を開いてもらうことがリハビリへの第一歩であるためです。
例えば、突然の事故で障害を負うことになってしまった方は、数日前まで当然のようにできていたことができなくなってしまい、ひどく失望されている場合があります。
また、障がいによって仕事や仲間を失い、孤独感や虚無感を心の内に抱え込んでいることもあるでしょう。
そんな患者さんのつらさに寄り添うことで、言語聴覚士は心を開いてもらえるのです。
言語聴覚士には患者さん一人ひとり異なる背景を知り、どのような行動や言動も否定せず受け止められる器の広さが求められます。
自ら学び向上心がある人
学びに対する向上心を持ち続けられる方は、言語聴覚士に向いています。
言語聴覚士の仕事と深く結びつきのある脳化学分野では、常に新たな研究や論文が発表されており、言語聴覚士は最新の情報を取り入れていく必要があるためです。
例えば、言語聴覚士に向けての勉強会に定期的に参加したり、関連書籍を読んだりすることで、自らの知識をアップデートできます。
患者さんが持つ言語障害のメカニズムを積極的に学び続ける姿勢は、リハビリや訓練などを行ううえでプラスに働くことでしょう。
言語聴覚士は国家資格を取得すれば永続的に働けます。
しかし、言語聴覚士として成長していくためには、新たな情報を継続して取り入れなければなりません。
根気強く向き合える人
言語聴覚士が行う訓練・リハビリと患者さんの回復とは比例して進むものではありません。
ときには患者さんの状態が停滞・後退してしまうこともあるでしょう。
こうした状況に対し、言語聴覚士は根気強く対応する必要があります。
例えば、順調に回復していた患者さんの状態が逆行してしまった場合、言語聴覚士が焦ってしまうと患者さんに精神的な負担を与えてしまいます。
回復のタイミングやペースは患者さんによって異なるため、一人ひとりのペースに合わせて訓練を進めることが重要です。
言語聴覚士に求められる適性と必要な能力とは
以上をまとめると、言語聴覚士に求められることは以下に挙げるスキルを磨くことになります。
- コミュニケーション能力
- 協調性
- 観察力
- 想像力
- 共感力
- 向上心
- 根気強さ
考えを言語化できない患者さんをサポートする言語聴覚士には、患者さんを深く観察し、状態を見極めたうえで、個々人のペースに合わせた訓練を進めていくことが求められます。
患者さんのなかには障害を受け入れられずジレンマを抱えている方や、伝えたいことが伝わらないもどかしさを日々感じている方も多くいます。
こうした患者さんの気持ちに寄り添いつつ、自らも脳に関する学びを続けていく必要があるのです。
したがって、上に挙げたスキルがある方は言語聴覚士に向いているといえます。
ただし、どれかが欠けているからといって言語聴覚士を諦める必要はありません。
言語聴覚士としての学びを進めるなかで、自らの課題を改善していくと良いでしょう。
言語聴覚士に向いていない人
医療チームとの情報共有や、患者さんへの観察を通して、適切な訓練を行う言語聴覚士。向いていない人はどのような人なのでしょうか。
以下では言語聴覚士に向いていない人の特徴を紹介します。
高齢者や障がい者に理解がない人
高齢者や障がい者への理解がない人は、言語聴覚士に不向きです。
患者さんは皆、高齢であったり障がいがあったりと、コミュニケーションや嚥下、認知などに支障をきたした方ばかりです。
患者さんの心理や障がいのメカニズム、背景などに無関心な方は、患者さんとの信頼関係を築きにくく、スムーズな訓練を続けていくことが困難となるでしょう。
相手を理解するよりも自分のペースを優先したい人
自分のペースで働きたい方にとって、言語聴覚士の仕事は負担に感じるかもしれません。
言語聴覚士には言葉によるコミュニケーションが困難な患者さんの気持ちに寄り添い、患者さんのペースに合わせて動くことが求められるためです。
言語に困難を持つ患者さんの心はデリケートな部分が多く、思うように伝えられないことにもどかしさや苛立ち、自己嫌悪感を持たれる方は多くいます。
こうした患者さんの問題に対して、言語聴覚士はゆっくり時間をかけて向き合う必要があります。
相手のペースに無関心な人は、言語聴覚士に不向きといえるでしょう。
グループやチームで協調性を持って働くのが苦手な人
医師や看護師をはじめ、他職種のメンバーと情報共有をしながら訓練の計画を立てることも言語聴覚士の仕事にとって重要な部分です。
言語聴覚士には、医療チームのメンバーと良好なチームワークを築き、情報共有していく力が求められます。
一人で淡々と働きたい方、自分が担当する仕事は自分だけで完結させたい方にとって、言語聴覚士の仕事はストレスに感じる可能性があります。
すぐに達成感や結果が欲しい人
仕事に対して目に見えた結果や達成感を得たい方は、言語聴覚士の仕事に向いていません。
言語聴覚士が担当する患者さんの障がいは、一朝一夕で回復に至るものではないためです。
言語聴覚士が「本気で取り組めば、必ずすぐに結果は得られる」という考えで訓練を行った場合、患者さんの精神的な負担を生み出してしまう可能性があります。
急いで結果を追い求めてしまう傾向がある方は、患者さんのペースに寄り添うことを最優先する考えにシフトする必要があるでしょう。
言語聴覚士をめざすなら適性を意識しよう
ここまで言語聴覚士の適性について解説してきましたが、いかがでしたか。
言語聴覚士の仕事は、介護職のような重労働はないものの、患者さんの微細な心の動きを洞察したり推測したりすることが必要です。
したがって、患者さんに対する理解や共感、忍耐力は必要不可欠となります。
チームメンバーと協力して困っている方の心を支えたい方は、ぜひ言語聴覚士をめざしてみてはいかがでしょうか。