
助産師としての経験は、医療現場以外でも大いに活かすことができます。
一般企業においても、その専門知識や技能を必要とする職場が多く存在するのです。
本記事では、助産師の経験を活かせる一般企業の職場や、そこでの働き方のメリット・デメリットについて詳しく解説します。
キャリアチェンジを考えている助産師の方々に、新たな可能性を提示し、将来の選択肢を広げるヒントを提供します。
目次
一般企業で助産師の経験を活かせる主な職場
助産師としての経験は、医療現場以外でも活かすことができます。
一般企業においても、その専門知識や技能を活用できる職場が存在します。
以下では、助産師の経験を活かせる主な職場について詳しく見ていきましょう。
産後ケア施設
助産師の経験を活かせる一般企業の就職先として、産後ケア施設が挙げられます。
産後ケア施設とは、産後の母親が心身ともにリラックスし、母子ともに健康に過ごせるようサポートする施設です。
産後ケアホテルや産後ケアセンターなどがこれに該当します。
助産師の仕事内容は以下のとおりです。
- 母親の心身の回復を促す支援
- 新生児の健康管理
- 沐浴・授乳などの子育て指導
産後の母親と赤ちゃんの健康を守り、育児不安を軽減するという重要な役割を担います。
助産師としての専門知識や経験を直接活かせる職場といえるでしょう。
コールセンター
助産師の就職先として、コールセンターも選択肢の一つです。
コールセンターでは、子育てや健康に関するものから、子どもの怪我や病気の際の対応方法などまで、さまざまな相談に対応します。
助産師としてではなく看護師としての求人が多いですが、臨床現場での経験を十分に活かすことができます。
医療や子育てに関する専門知識を活用し、電話やオンラインで相談者に適切なアドバイスを提供できるのです。
臨床開発モニター(CRA)
臨床開発モニター(CRA)とは、新薬の開発を行う治験や臨床研究を円滑に実施できるようサポートする仕事です。
具体的な業務内容としては、治験を実施するための契約の締結や医師・実施医療機関の選定、データの適切な収集や進捗状況の確認などがあります。
助産師として医療機関で働いてきた経験や医療知識を、この職種で大いに活かすことができます。
医療現場での経験を持つCRAは、医師や看護師とのコミュニケーションがスムーズに行えるため、高い評価を得やすいのが特徴です。
また、患者さんへの対応経験も、被験者とのコミュニケーションに役立ちます。
治験コーディネーター(CRC)
治験コーディネーター(CRC)とは、医療機関で実施する治験を滞りなく実施できるよう、医師の指示のもと、被験者対応などの治験業務をサポートする仕事です。
具体的な業務内容としては、治験開始前に治験関連部門との連携や調整、治験スケジュールや手順などの確認を行い、治験が手順どおり実施できるよう準備を行います。
また、治験が開始されたら、被験者候補のリストを作成し症例登録を進めたり、同意取得補助などの被験者対応を行います。
助産師としての医療知識や患者対応の経験は、CRCの業務において大変有用です。
特に、妊婦や新生児に関する治験では、助産師の専門知識が大きな強みとなります。
助産師が一般企業で働くメリット
助産師が一般企業で働くことには、いくつかのメリットがあります。
医療現場とは異なる環境で働くことで、新たな経験を積むことができ、キャリアの幅を広げることができます。
以下では、主なメリットについて詳しく見ていきましょう。
規則的な生活ができる
一般企業は病院とは異なり、基本的に夜勤がないため、規則的な生活習慣を保つことができます。
土日休みの週休2日制となることが多く定期的に休め、勤務時間も固定されているため、日によって異なる生活をする必要がなくなり、身体的な負担も少なくなるでしょう。
規則正しい生活リズムを維持することで、心身ともに健康的に過ごすことができます。
また、プライベートの時間も確保しやすくなるため、趣味や自己啓発に時間を充てることも可能になります。
精神的なプレッシャーが少なくなる
一般企業で働くことで、人の命を預かる精神的なプレッシャーは少なくなるでしょう。
助産師は、お産という人の命を預かる仕事であるため、実施する業務に責任が重くのしかかり、精神的なプレッシャーを感じる場面も多い職種です。
対して、一般企業では同様の精神的な負担は感じにくくなります。
ストレスの軽減により、仕事に対する新たな視点や意欲が生まれる可能性もあります。
また、精神的な余裕ができることで、より効率的に業務に取り組むことができるでしょう。
助産師が一般企業で働くデメリット
一般企業で働くことには多くのメリットがありますが、同時にデメリットも存在します。
キャリアチェンジを考える際は、これらのデメリットについても十分に理解し、検討することが重要です。
以下では、主なデメリットを詳しく解説していきます。
収入が減る可能性がある
助産師ではなく一般企業で働くことによって、収入が減る可能性があります。
助産師は夜勤を行うことによって夜勤手当などがつきますが、一般企業では特別な手当が少なくなり、基本給が同じ水準であっても収入が減ってしまう可能性があります。
ただし、これは職種や企業によって異なりますので、転職を考える際は事前に収入面についてもしっかりと確認することが大切です。
また、長期的なキャリアプランを考慮し、将来的な収入の可能性も検討すると良いでしょう。
新たなスキル・知識が求められる
一般企業では、助産師時代には求められなかった知識やスキルを求められることがあります。
例えば、WordやExcelなどのパソコンスキルや名刺の渡し方といったビジネスマナースキルなど、助産師時代は求められなかったスキルが、一般的な社会人として身についていて当然とされてしまうことがあるのです。
転職先の企業の仕事内容に応じて、必要な知識・スキルを新たに学んでいく必要があります。
これは挑戦でもありますが、同時に負担にもなる可能性があります。
しかし、新しいスキルを習得することで、キャリアの幅が広がる機会にもなるでしょう。
医療現場に必要なスキルを忘れてしまう
一般企業に勤め、助産師として医療現場を離れる期間が長いほど、医療現場に必要な助産師としてのスキルを忘れてしまう可能性があります。
医療技術や知識は日々進歩しているため、現場を離れることでアップデートできなくなる恐れもあります。
一般企業で働いたあと、再度助産師として活躍したいと感じた場合は、助産師としてブランクがあっても働けるような研修制度などが充実している病院を選ぶと良いでしょう。
また、定期的に医療関連のセミナーや講習会に参加するなど、自己研鑽を続けることも大切です。
助産師の経験を活かして一般企業でも活躍できる
助産師の経験は、一般企業においても大いに活かすことができます。
産後ケア施設やコールセンター、臨床開発モニター(CRA)、治験コーディネーター(CRC)など、さまざまな職場で助産師としての知識や技能が求められています。
一般企業で働くことで、規則的な生活や精神的プレッシャーの軽減というメリットを得られる一方で、収入面での変化や新たなスキル習得の必要性というデメリットがあるのも事実です。
しかし、これらのデメリットは、長期的なキャリアプランや自己研鑽によって克服できるでしょう。
助産師としての経験を持つ方々は、その専門性と豊富な対人スキルを活かし、一般企業でも十分に活躍できる可能性を秘めています。
キャリアチェンジを考える際は、自身の強みと目標をしっかりと見極め、新たな挑戦への一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。