
薬剤師のなかには、副業について興味を持っている方も多いと思います
特に管理薬剤師には法律による制限もあるため、副業をあきらめている人もいるかもしれません。しかし、副業が完全に禁止されている訳ではないことをご存知でしょうか。
本記事では、管理薬剤師の副業に関する法的制限や例外的なケース、そして一般薬剤師の副業事情について詳しく解説します。公務員薬剤師の副業についても解説しますので、薬剤師として自身のキャリアや収入を考える際に参考にしてみてください。
目次
管理薬剤師は副業が可能?
管理薬剤師の副業は、法律によって制限されています。
医薬品医療機器等法第7条第4項において、管理薬剤師の兼業は原則として禁止です。
調剤薬局の適切な管理運営を確保するために管理薬剤師は、その調剤薬局を現場で管理する責任があります。そのため、他の業務と兼務することは許されていません。
つまり、管理薬剤師は常にその調剤薬局に常駐し、薬剤の管理や調剤業務の監督、スタッフの指導などを行う必要があるのです。
このように、管理薬剤師の副業は原則として認められていません。
管理薬剤師の副業が認められる例外的なケース
管理薬剤師の副業は原則禁止ですが、例外的に認められるケースもあります。
例外での副業には「兼務許可」が必要です。
兼務許可が認められる主なケースは、以下の3つです。
- 薬局管理者が非常勤の学校薬剤師を兼ねる場合
- 管理する調剤薬局の営業時間外の夜間休日に、管理者が地域の輪番制の調剤業務に従事する場合
- へき地で薬局管理者の確保が困難な場合
これらに該当する場合は、本来の管理薬剤師としての業務に支障をきたさない範囲で、副業が認められます。
ただし、兼務許可を得るためには、地域の保健所や薬務課などの所轄官庁に兼務の許可申請が必要です。
書類審査のうえで承認されれば、副業が可能となります。
一般薬剤師なら副業ができる?
管理薬剤師とは異なり、一般の薬剤師の副業については法律による明確な禁止規定はありません。
しかし、勤務先が公共の施設であったり就業規則に規定されていたりする場合は、副業が禁止となる場合があります。
以下では、公務員の薬剤師と一般の薬剤師それぞれの副業事情について詳しく見ていきましょう。
公務員の薬剤師は原則副業禁止
公務員として働く薬剤師は、管理薬剤師でなくても副業は原則として禁止です。
これは、国家公務員法や地方公務員法によって定められています。
公務員は、公務の公正性や信頼性を確保するため副業が禁止されています。
ただし、近年では働き方改革の一環として、公務員の副業規制緩和の動きも見られます。
今後、条件付きで副業が認められるケースが増える可能性もありますので、最新の情報に注目です。
一般の薬剤師は就業規則しだい
民間の企業に勤務する一般の薬剤師の場合、法律上は副業が禁止されているわけではありません。
しかし、副業が可能かどうかは、勤務先の就業規則によります。
多くの企業では就業規則に副業に関する規定を設けています。なかには、副業を完全に禁止するところもあれば、事前申請や承認が必要なところもあります。
副業を検討する際は、まず勤務先の就業規則を確認しましょう。
規則で禁止されている場合でも、上司や人事部門に相談すれば許可を得られる場合もあります。
管理薬剤師は原則副業禁止だが内容によっては可能なケースも
管理薬剤師と一般薬剤師、公務員薬剤師の副業について詳しく解説しました。
管理薬剤師は法律により原則として副業が禁止されていますが、非常勤の学校薬剤師や夜間休日の輪番制調剤業務など、知事の許可を得て副業が可能となる限定的なケースもあります。
一般の薬剤師についての兼業禁止規定はないものの、公務員の場合は副業が禁止されており、副業が可能になるかどうかは就業規則によって違います。
副業をしたいときは、自身の立場や勤務先の規則をよく確認し、必要に応じて上司や人事部門に相談しましょう。
薬剤師としてのスキルを活かしながら副業に挑戦すれば、キャリアの幅を広げたり、収入を増やしたりする機会が得られるでしょう。