パート・アルバイトを含む薬剤師の有効求人倍率は2.26倍で、全職業の平均よりも高めであることがわかっています。
しかし、実際は減少傾向にあり、薬剤師の需要が減っているのではないかと不安な方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、薬剤師の有効求人倍率や推移、都道府県別の違いを解説しています。
自分は薬剤師として働けるのかお悩みの方は、有効求人倍率が一つの指標になると思いますので、ぜひ最後までご確認ください。
目次
薬剤師の有効求人倍率は?

厚生労働省が発表した令和5年11月の一般職業紹介状況では、パート・アルバイトを含む薬剤師の有効求人倍率は2.26倍、パート・アルバイトを除いた場合は3.09倍 という結果が出ています。
全職業のパート・アルバイトを含む有効求人倍率の平均は1.20倍、パート・アルバイトを除いた場合は1.27倍 であることから、全体的に見ると薬剤師の有効求人倍率は高めであることがわかります。
以下の表は、一般職業紹介状況による薬剤師の有効求人倍率(令和5年11月時点)を、パート・アルバイトを含むか否かで分けたものです。
| 薬剤師の有効求人倍率 | 令和元年 | 令和2年 | 令和3年 | 令和4年 | 令和5年 | 
| パート・アルバイト含む | 3.51 | 1.99 | 1.94 | 2.18 | 2.26 | 
| パート・アルバイト含まない | 4.66 | 2.79 | 2.72 | 3.13 | 3.09 | 
令和元年には薬剤師の有効求人倍率は3.51倍でしたが、令和2年は1.99倍と大幅に下がっていることがわかります。
それにより薬剤師の売り手市場は縮小し、就職や転職がしづらくなったと考えられます。
しかし、令和2年以降は大きな変化はなく、現状も全体の平均有効求人倍率と比べると高い水準です。
薬剤師の人手不足の現状を知りたい方は、以下の記事をチェックしてください。

薬剤師の有効求人倍率は都道府県によって異なる
全職業で比較すると、薬剤師の有効求人倍率は高い傾向にありますが、その実態は都道府県によって異なります。
厚生労働省による「医師・歯科医師・薬剤師統計の概要」によると、令和2年の12月には、全国の調剤薬局・医療施設に従事する薬剤師の平均人数は10万人あたり198.6人でした。
都道府県ごとの人数を見てみると、平均を超えているのは東京の234.9人、神奈川の213.5人、その他大阪、兵庫、和歌山、広島、山口、徳島、香川、高知、福岡、佐賀の12都府県と半数以下であり、主に大都市を中心に薬剤師の人数が多いことがわかります。
その他35の都県では薬剤師の人数は平均以下であり、なかでも沖縄では10万人あたり148.3人と、東京に比べて10万人あたりの薬剤師の人数が90人近く少ないのが事実です。
また、東北地方と中部地方では、平均を超えている県がありません。
一方で、過去にさかのぼった平成24年の12月では、全国の調剤薬局・医療施設に従事する薬剤師の平均人数が、10万人あたり161.3人であり、平均を超えている県は1 3都道府県でした。
平成24年から令和2年までの9年間で平均人数は37.3人増えているのに対して、平均人数を上回っている県は13から12へと減っています。
つまり、薬剤師は東京や神奈川を含む都心部などに偏っており 、地方では薬剤師が不足傾向にあることがわかります。
薬剤師の有効求人倍率の推移
薬剤師の有効求人倍率は低下していますが、現在は平均よりも高い状態で安定していることから、今後も需要があると考えられるでしょう。
薬剤師の有効求人倍率は、平成27年11月では6.33倍であるのに対し、令和5年には2.26倍 と1/3近くに下がっており、売り手市場から買い手市場へと変化しています。
しかし、令和2年にはすでに1.99倍まで下がっており 、そこから令和5年まで大きな変化はないことを踏まえると、現状は需要と供給がマッチしていると考えられます。
ただし上記で紹介したとおり、薬剤師の人数は都道府県によって異なるため、東北地方や中部地方などは、まだ需要が変化する可能性があるといえるでしょう。
薬剤師の有効求人倍率は低下傾向にある
これまでの厚生労働省のデータを比較すると、薬剤師の有効求人倍率は低下傾向にあることがわかります。
ただし、実際に調剤薬局・医療施設に従事する薬剤師が増えているのは、東京や神奈川を含む都市部などに偏っており、まだ薬剤師の人手が足りていない地方もあると考えられるでしょう。
薬剤師をめざすうえで有効求人倍率を一つの指標とするのであれば、近隣エリアでの求人倍率をチェックしてみるのも良いでしょう。
