
社会福祉士をめざして就職活動をしている人のなかには、「履歴書でうまく自分をアピールできない」と悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
社会福祉士の履歴書では、学歴・職歴や資格を正しく丁寧に記載し、志望先に合わせた内容の動機でアピールすることが大切です。
今回は、社会福祉士の履歴書における書き方のポイントと、勤務先別・キャリア別の志望動機の例文を紹介します。
社会福祉士として就職活動に向けて準備を進めている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
社会福祉士の履歴書における書き方のポイント
まずは、社会福祉士の履歴書における全体的なポイントを確認していきましょう。
基本項目、学歴・職歴、免許・資格、志望動機の4項目に分けて紹介していきます。
基本項目
日付、氏名、生年月日、住所、連絡先などの基本事項は、誤字脱字がないよう丁寧に書きましょう。
上部にある日付は、面接に持参する場合は面接日、郵送ではポストに投函した日を記載します。
また、日付や生年月日を含め、和暦・西暦は全体で統一することが基本です。
採用担当者は、履歴書から応募者の人間性を読み取ろうとします。
丁寧に書くことで真面目さや仕事への真剣さをアピールできるため、誤字脱字には気をつけて慎重に記載しましょう。
学歴・職歴
職歴では、自分の経験や知識を簡潔にアピールすることが求められます。
学歴は高校入学以降を記載し、 職歴欄には正確な会社名と配属先、簡単な仕事内容も書きましょう。
このとき、パート・アルバイトの経歴は基本的に省略します。
ただし、社会福祉士の仕事に生かせるような介護施設や医療機関などでの勤務は、パートやアルバイトであっても記載して良いでしょう。
免許・資格
資格は正式名称で、保有しているものをすべて記載することが基本です。
ただし、記入欄が足りない場合は、業務と関連性の高いものを優先的に記載します。
取得した年月日順に古いものから記載していきますが、自動車運転免許を保有している場合は一番上に書きましょう。
採用担当者は運転免許をほかの資格とは別枠で扱う場合があるため、わかりやすいよう一番上にまとめておくことが一般的です。
また、免許・資格によって、「取得」「合格」「修了」を正しく使い分けることも大切です。
「取得」はその免許がなければ仕事ができず免許証が発行されるもの、「合格」は一定の基準を満たすことで合格証が発行されるもの、「修了」は教育・研修課程を終えたことで一定の知識やスキルを示せるものに使います。
志望動機
志望先の種類や特徴に合わせ、働きたい理由や自分自身の考えを具体的に書いていきましょう。
社会福祉士の勤務先は、病院・介護施設・福祉施設など幅広く、志望先の種類に合わせた内容にすることがポイントです。
社会福祉士として働きたい理由、この職場を志望する理由、自分がどのようにその職場で貢献できるか、また将来のビジョンなどを、勤務先に適した内容で詳しく記載します。
加えて、過去の勤務として適切なものがあれば、その経験を通して社会福祉士としての適性をアピールすることも大切です。
具体的なエピソードや自身の価値観を含めた内容にすると、より伝わりやすい内容になります。
国家資格「社会福祉士」の履歴書資格欄への書き方
取得年月日と「社会福祉士 取得」を、正式名称で正しく記載します。
社会福祉士としての就業を希望する人のなかには、関連する他の資格を有している人もいるでしょう。
保有していれば優先的に記載すべき資格と、その書き方については以下をご参照ください。
免許・資格 | 書き方 |
---|---|
社会福祉士 | 社会福祉士 取得 |
介護福祉士 | 介護福祉士 取得 |
精神保健福祉士 | 精神保健福祉士 取得 |
介護支援専門員 | 介護支援専門員 取得 |
認定ケアマネジャー | 認定ケアマネジャー 取得 |
介護職員初任者研修 | 介護職員初任者研修課程 修了 |
介護福祉士実務者研修 | 介護福祉士実務者研修課程 修了 |
なお、年月日は資格の登録日でなく取得日を記載しましょう。
【例文あり】社会福祉士の志望動機とポイント
社会福祉士の志望動機は、勤務先や自分のキャリアに沿った内容にすることがポイントです。
志望動機のポイントを、勤務先別・キャリア別に例文も含めて紹介していきます。
勤務先別の志望動機
社会福祉士の勤務先は、主に病院、介護施設、福祉施設です。
勤務先別の志望動機のポイントと例文を、それぞれ確認していきましょう。
病院
医療機関で働く社会福祉士は、MSW(医療ソーシャルワーカー)とも呼ばれます。
患者さんやご家族の相談にのり、入退院のサポートや退院後の社会復帰を援助する仕事です。
患者さんを身体的・精神的な面から幅広くサポートして社会復帰を支援することが、医療ソーシャルワーカーには求められます。
父が長期で入院した際、医療ソーシャルワーカーの方が金銭面や保険についてわかりやすく教えてくださり、安心できた経験があります。
退院後の社会復帰についても親身になって相談に乗り、医師や看護師とは別の視点から身体的・精神的にサポートするソーシャルワーカーの仕事に、自分も就きたいと考えました。
貴院は地域に根ざした医療機関であり、患者さんとそのご家族を入退院から社会復帰後まで長期的にケアできることが強みであると感じます。
貴院で医療ソーシャルワーカーとして活躍し、患者さんとご家族、そして地域社会にも貢献していきたいと考えて志望いたします。
介護施設
特別養護老人ホーム などで働く社会福祉士は、利用者へのケアだけでなく、ご家族の来所対応やサポートも重要な仕事です。
そうした仕事内容の特性も考慮し、志望動機を組み立てていきましょう。
介護職員として介護老人福祉施設で5年間勤務し、利用者はもちろんご家族にも親身になって対応することで、より手厚いケアができると実感しました。
そこで、今後は社会福祉士として利用者とご家族を身体的・精神的にサポートしたいと考えました。
貴施設では、訪れたご家族へのサポートやケアにも力を入れており、より多面的に援助ができると感じます。
介護職として身につけた知識と技術を生かしながら、利用者とご家族が安心できる施設づくりに貢献したいと思い、貴施設を志望いたします。
福祉施設
社会福祉士が働く福祉施設には、児童養護施設や障がい者支援施設、地域包括支援センターなどさまざまな施設があります。
各施設の特徴を押さえたうえで、福祉の面から地域社会に貢献したい気持ちをアピールしましょう。
私は社会福祉士の視点から、生まれ育った地域に貢献したいと考えます。
高校時代に介護施設でボランティアをした際に社会福祉士の仕事を知り、高齢者やそのご家族を幅広くサポートできることに社会的意義を感じました。
また、幼い頃から地域のお祭りやイベントに参加することで、将来は地元に恩返しがしたいと考えてきました。
○○市は少子高齢化が深刻であり、地域をあげて高齢者のケアをすることが急務です。
地域包括支援センターであれば、在宅生活のサポートや地域活動の支援など、さまざまな業務に携わりながら地元に貢献できると感じ、志望いたします。
キャリア別の志望動機
自分のキャリアに沿って、志望動機の内容を変えることも重要です。
新卒採用・中途採用のそれぞれのパターンで、例文とポイントを紹介します。
新卒採用
新卒で未経験の場合は、なぜその仕事に就きたいのかをアピールしましょう。
過去の具体的なエピソードを織り交ぜながら、社会福祉士をめざす理由と就業後のイメージを伝えます。
高校生のときに、けがで3週間ほど入院をしました。
その際に社会福祉士の方が優しくサポートしてくれ、退院後の相談にものってもらえた経験があります。
このことから、将来は自分が社会福祉士として困っている患者さんを支援したいと考えるようになりました。
現在は、介護施設でヘルパーとしてアルバイトをし、知識や技術、利用者とご家族に寄り添うことの重要性を実感しています。
貴院は急性期から在宅支援まで幅広い医療を提供し、地域のさまざまな機関と連携しながらサポートを行っていることに魅力を感じました。
現在大学で学んでいることやアルバイトの経験を生かしながら、患者さんのケアと地域への貢献をしていきたいと考え、貴院を志望いたします。
中途採用
前職での経験と、それを転職後にどう生かすかを伝えることが重要です。
また、前職の退職理由についてはポジティブな内容に変換し、自分のアピールポイントになるようにしましょう。
特別養護老人ホームで5年間社会福祉士として就労し、約100人を一人で担当しています。
業務全体のスキルは向上しましたが、入所者とご家族一人ひとりの悩みに対して、より芯から向き合いたいと感じるようになりました。
少人数制である貴施設は個人に向き合った対応を大切にしており、「一人ひとりに寄り添う介護」という理念を掲げている点にも感銘を受けました。
今までの経験を生かしながら、より相手に寄り添ったサービスを提供したいと考え、志望いたします。
履歴書で社会福祉士としての適性をアピールしよう
採用担当者は、履歴書から「社会福祉士に適した人材か」をチェックしています。
志望動機では、なぜその施設で社会福祉士をめざすのか、具体的なエピソードを織り交ぜながら伝えましょう。
また、基本項目や資格欄などを正しく丁寧に書くことで、就業に対する意欲や真面目さもアピールできます。
基本を押さえながら、志望先に合った履歴書を作成することが大切です。
なお、介護福祉士の履歴書については、以下の記事をご参照ください。
