
介護福祉士・精神保健福祉士が社会福祉士をめざすにあたっては、社会福祉士の業務で必要な知識・技術を追加で学ばなければなりません。
特に重要視されるのが、ソーシャルワークに関係する実習です。
厚生労働省は、将来的に増えるであろう福祉相談に対し、専門家である社会福祉士の拡充を検討し、カリキュラムを一部変更しました。
これにより、介護福祉士・精神保健福祉士養成過程と重複するカリキュラムが増えたため、社会福祉士をめざす介護福祉士・精神保健福祉士は、実習免除を受けられるようになりました。
今回は、社会福祉士の実習が免除になる条件を詳しく解説します。
社会福祉士に関する情報を知りたい方は、以下のページをご参照ください。

目次
社会福祉士の実習免除になるケースは2つ
社会福祉士の実習が免除になるケースは、次の2つです。
- 介護福祉士・精神保健福祉士の資格を保有または履修中
- 常勤で相談業務の実務経験を1年以上積んでいる
各条件を以下で詳しく解説します。
介護福祉士・精神保健福祉士の資格を保有または履修中
介護福祉士や精神保健福祉士の資格を保有している人や、現在資格取得のために履修中の人は、社会福祉士の実習と重複しているカリキュラムの免除を受けられる可能性があります。
具体的な例は以下の通りです。
- 介護福祉士、精神保健福祉士の資格もつ人や履修中人の場合、60時間を上限に
実習を免除 - 精神保健福祉士の場合は、さらに「ソーシャルワーク演習(30時間)」の履修を免除
常勤で相談業務の実務経験を1年以上積んでいる
介相談業務の実務経験が1年以上ある人も、実習免除の対象です。
例えば、老人ホームの生活指導員や障がい者施設の生活支援員、保健所や精神保健福祉センターの精神保健福祉相談員など、厚生労働省の定めた施設・職種で実務経験が1年以上あれば、実習の免除を受けられるでしょう。
また、免除された時間分は学費がかからなくなり、金銭面でもメリットがあります。
学費を抑えつつ最短で社会福祉士をめざしたい人は、先に1年以上の相談実務経験を積むと良いでしょう。
社会福祉士の実習免除に該当する実務経験とは?
社会福祉士の実習免除は、厚生労働省指定の施設における実務経験でなければ認められません。
具体的な例は、以下の表のとおりです。
分野 | 職種例 |
児童分野 | 児童相談所の相談員や電話相談員
児童養護施設の保育士や児童指導員 母子生活支援施設の母子支援員や母子指導員など |
高齢者分野 | 介護保険施設・養護老人ホームの生活相談員
地域包括センターの保健師など 指定定期巡回や随時対応型訪問介護・看護を行う施設のオペレーター |
障がい者分野 | 身体障がい者更生相談所の心理判定員や職能判定員・ケースワーカーなど
障がい者支援施設の就労支援員 障がい福祉サービス事業の地域支援員 |
その他の分野 | 保健所の精神保健福祉士
生活保護救護施設の生活指導員 日常生活支援住居施設の生活支援員 |
現在廃止事業の分野
(現在は廃止されていますが、過去該当する業務で働いていた場合は、実務経験とみなされます) |
重度身体障がい者更生援護施設の生活支援員
家庭支援電話相談(子ども・家庭110番)事業の電話相談員 地域子育てセンター事業施設の相談援助業務職員 |
上記の表でご紹介した職種はごく一部で、実務経験と認められる職種はほかにもあります。
自身の実務経験が実習免除に当てはまるか否かを、社会福祉士国家試験のホームページで確認しましょう。
また、認められるのはあくまで相談業務経験の実績であり、直接的な保育・介護や支援業務は含まれないため注意してください。
社会福祉士は実習免除で取得できるケースがある
現時点で精神保健福祉士・介護福祉士の資格を持っている方や、相談実務経験が1年以上ある方は、社会福祉士養成カリキュラムの実習の一部を免除される可能性があります。
実習を免除されれば、時間面・費用面でメリットがあるでしょう。
ただし、実習免除に該当する実務経験は、あくまで相談援助業務です。
たとえ厚生労働省が指定した施設で働いていたとしても、相談援助業務に携わっていないと実務経験と認められません。
精神保健福祉士・介護福祉士から精神保健福祉士をめざす人は、自分の実務経験が実習免除条件に該当するかどうか、事前によく確認してから検討しましょう。