
2021年から、社会福祉士の養成カリキュラムが大きく変わりました。
社会福祉士試験の受験資格は従来どおりですが、2024年度の第37回社会福祉士国家試験より新カリキュラムに基づく試験内容が実施されます。
新カリキュラムでは、地域共生社会の実現に貢献できる人材の育成をめざし、養成カリキュラムの内容が強化されました。
共通科目の科目数や時間数が拡充され、実習や演習もさらに充実しています。
社会福祉士の資格取得をめざす方は、新カリキュラムの内容を理解し、試験対策を行うようにしましょう。
目次
新カリキュラムで社会福祉士の受験資格は変わる?
2021年より、社会福祉士のカリキュラムが見直されました。
2024年現在、社会福祉士の国家試験における受験資格に変更はなく、従来のカリキュラムで受験資格を得ていれば、新カリキュラムを新たに履修する必要はありません。
ただし、2024年度の第37回社会福祉士国家試験より、新カリキュラムに基づく内容での試験が実施されることとなっています。
今後、国家試験について最新情報を逐一確認し、必要な対応ができるようにすることが望ましいです。
社会福祉士の受験資格はいつまで有効?
社会福祉士の受験資格を得た場合、国家試験を受験するうえで有効期限はありません。
また、社会福祉士の資格を取得後に更新する制度はなく、一度取得した資格は継続的に保有できます。
ただし、社会福祉士の上位資格である認定社会福祉士制度には、5年ごとの更新制度があります。
認定社会福祉士の資格は更新するか、さらに上位資格である認定上級社会福祉士を取得・更新していくことのいずれかの対応が必要です。
社会福祉士の新カリキュラムで変わる点
新カリキュラムでは、社会福祉士の専門性をより深め、地域共生社会の実現に貢献できる人材育成をめざしています。
おもな変更点は以下のとおりです。
養成カリキュラム内容の充実
地域共生社会の実現をするためには、ソーシャルワークの専門家である社会福祉士が重要な役割を果たす必要があります。
そのため、社会福祉士としてソーシャルワーク機能を学ぶための科目が再構築され、多機関が協働して運営する包括的支援の仕組みなどを理解するための科目「地域福祉と包括的支援体制」が新設されました。
社会福祉士として求められる知識などを適切に学ぶ観点から、社会福祉に関する科目の履修が原則必修となりました。また、司法領域の範囲も見直しおよび時間数の拡大もなされています。
多職種・多機関と連携・協働して、地域ネットワーク作りや包括的支援の方法などを習得できるカリキュラムとなっています。
共通科目の拡充
ソーシャルワークの専門職としては、社会福祉士と精神保健福祉士があります。
2つの資格取得を希望する場合の負担軽減を図るため、共通となる科目数・時間数が拡充されました。
新設された共通科目は以下の5科目です。
- 社会福祉調査の基礎
- ソーシャルワークの基盤と専門職
- ソーシャルワークの理論と方法
- 刑事司法と福祉
- ソーシャルワーク演習
合計時間数は420時間から510時間に増えました。
実習および演習の充実
ソーシャルワーク機能の実践力をもつ社会福祉士を養成するため、事例を用いてソーシャルワーク実践を学ぶ演習が必要になります。
新カリキュラムでは実習や演習の充実が図られ、実践力を養成できるようになっています。
具体的には、旧カリキュラムの「相談援助演習」が、新カリキュラムでは「ソーシャルワーク演習」と「ソーシャルワーク演習(専門)」の2科目となりました。
実習に関しては、旧カリキュラムの「相談援助実習」(180時間)が「ソーシャルワーク実習」(240時間)となり、内容、時間数ともに充実しました。
介護福祉士や精神保健福祉士の資格を持つ方が、社会福祉士の養成課程で実習を受ける場合、負担軽減のため60時間を上限に実習を免除されるとともに、精神保健福祉士の資格を有する者は、「ソーシャルワーク演習(30時間)」の履修を免除されます。
実習施設の範囲の見直し
実習施設の範囲が、社会福祉士の国家試験における実務経験として認められる施設などと同等に広がりました。
また法人が独自に実施する事業などでも実習として認められます。
新たに実習施設として認められるようになった施設として、例えば都道府県社会福祉協議会、教育機関(スクールソーシャルワーカー)、地域生活定着支援センターなどが挙げられます。
社会福祉士の受験資格に変更はないが試験内容は新カリキュラムに対応
社会福祉士の受験資格は変更ありませんが、試験内容は新カリキュラムに対応した内容となっています。
新カリキュラムでは、地域共生社会の実現に向けて、ソーシャルワークの専門知識や実践力をより深め、多職種との連携や協働を学べる内容となっています。
社会福祉士の国家試験を受験する際には、新カリキュラムの内容を理解し、試験対策を行うようにしましょう。