社会福祉士の資格取得をめざすうえで、どのような就職先があるのか気になっている人は多いでしょう。
社会福祉士の就職先は、高齢者施設と障害者福祉施設で全体の過半数を占めますが、その他にもさまざまな就職先があります。
そこで本記事では、社会福祉士の代表的な9つの就職先について、それぞれ見ていきましょう。
資格取得後のキャリアを考えるうえでの参考にしてください。
目次
社会福祉士はどこで働く?就職先一覧

社会福祉士の主な就職先は以下のとおりです。
- 高齢者施設
- 障害者支援施設
- 医療施設
- 児童福祉施設・児童相談所
- 教育施設
- 地方公共団体
- 地域包括支援センター・社会福祉協議会
- 保健センター・保健所
- 民間企業
厚生労働省の「社会福祉士の現状等」によると、社会福祉士が就労している分野の割合は高齢者福祉関係が43.7%、障害者福祉関係が17.3%、医療関係が14.7%となっており、この3つだけで全体の75%以上と高い割合です。
しかし、他にも多様な就職先があり、社会福祉士はさまざまな場面で活躍しています。
以下で、それぞれの就職先について詳しく見ていきましょう。
高齢者施設
高齢者施設は、社会福祉士の最も一般的な就職先です。
高齢者施設と一口にいってもさまざまな種類があります。
具体的には以下のとおりです。
- 介護老人福祉施設
- 特別養護老人ホーム
- 軽費老人ホーム
- 老人福祉センター
- デイサービスセンター など
高齢者施設で働く社会福祉士は、生活相談員という職種に就くのが一般的です。
生活相談員の役割は、利用者さんが可能な範囲で自立し、快適に生活できるようサポートすることです。
本人やご家族の状況を把握し利用者の状況に合ったサービス等について本人やご家族と相談を行い、状況の報告、問題があれば解決に向けた対応策の検討を行います。
また、入所希望者への説明や、入退所の手続きも担当します。
主治医やケアマネジャーと連携することが多いのも特徴です。
なかには、研修や勉強会の企画・実施をする職場もあります。
職場によっては介護業務を兼務するケースもありますが、介護業務を行わない場合、夜勤を求められる職場は少ないでしょう。
障害者支援施設
障害者支援施設で働く社会福祉士は、生活指導員や生活相談員などの職種に就く人が多く、障がいを持つ利用者さんの自立支援などを行います。
物理的な支援だけではなく、精神面の支援が必要になることも多いでしょう。
また、ご家族との連絡調整や入所手続きなどを行うこともあります。
医療施設
病院で働く社会福祉士は、医療ソーシャルワーカー(MSW)と呼ばれます。
医療ソーシャルワーカーの役割は、患者さんやそのご家族の相談や支援をすることです。
通院・入院・退院・転院に関わる悩みや、医療費面、心理的な問題などに対してアドバイスをしたり、保健医療に関わるスタッフと多職種間での連携を取ったりしながら、患者さんの回復や、在宅復帰、適切な福祉サービスの利用などをめざします。
相談業務が中心のため、病院勤務でも夜勤はないことが多いです。
ただし、夜間や休日にグループワークなどを行う場合は出勤することもあります。
児童福祉施設・児童相談所
社会福祉士の就職先には、児童福祉施設や児童相談所などもあります。
児童相談所で働く児童福祉司は、子ども・保護者等から子どもの福祉に関する相談に応じたり、必要な調査や社会診断を行ったりします。
子ども、保護者、関係者等に必要な支援・指導を行うこと 、 子ども、保護者等の関係調整(家族療法など)を行うことも業務の一環です。
なお、児童福祉司は児童相談所に配置することが義務付けられた職員です。
都道府県、指定都市に児童相談所の設置義務があり、政令指定都市や特別区などにも設置ができるとされているため、就職するためには各設置団体の公務員試験に合格しなければなりません。
児童福祉施設で働く社会福祉士は、児童指導員と呼ばれ、生活環境の支援が必要な子どもの、育成や生活指導などを行います。
職場によっては24時間体制のこともあり、勤務時間は職場によって異なります。
教育施設
社会福祉士は学校のスクールソーシャルワーカー(SSW)として働くことができます。
スクールソーシャルワーカーの仕事は、いじめや家庭環境の問題など、子どもの悩み相談の対応をすることです。
場合によっては、児童相談所や教育委員会と連携して支援していくこともあります。
厚生労働省によると、平成27年のスクールソーシャルワーカーとして雇用された実人数のうち、およそ50%が社会福祉士の資格を保有していることが明らかになっています。
地方公共団体
社会福祉士が地方公共団体で働く場合、公務員として県庁や市区町村役場などに勤めます。
就業するためには公務員試験に合格しなければなりません。
主な仕事は、地域の相談窓口として住民の福祉関連の相談を受けることです。
場合によっては、関係機関と連携を取りながら支援を行います。
地域包括支援センター・社会福祉協議会
各市区町村の地域包括支援センターや社会福祉協議会には、社会福祉士が在籍し、問題を抱える地域住民の相談を受けています。
相談内容によって、適切な支援を行います。
さまざまな機関と連携したりすることも、社会福祉士に求められる役割です。
対象者は高齢者や障がい者、貧困家庭、外国人など多岐にわたります。
保健センター・保健所
保健センターや保健所の窓口では、主に社会福祉士が相談業務を担当します。
相談内容に応じて、医者や薬剤師、看護師などとも連携を取りながら、利用者さんにより良いサービスを提供します。
公務員であるため、就業するためには公務員試験の合格が必要です。
民間企業
民間企業の社会福祉士は、産業ソーシャルワーカー、産業カウンセラーなどの職種に就きます。
主な仕事内容は、企業で働いている人の悩みの相談を受け、解決に導いたり、トラブルを未然に防ぐことなどです。
いずれも民間資格が別途存在し、社会福祉士の資格は必須ではありません。
しかし、社会福祉士の資格もあわせて持っておくと、就職や転職に有利にはたらくでしょう。
社会福祉士の仕事については次のページで詳しく紹介しています。
社会福祉士の仕事内容に興味のある方は、ぜひご覧ください。

社会福祉士が働く場所を把握して就職先を検討しよう
今回は社会福祉士が働く場所を紹介しました。
職場によって職種名が異なりますが、社会福祉士はさまざまな現場で活躍しています。
社会福祉士をめざす方は、ぜひ自分に合った就職先を探してみてください。
なお、社会福祉士の年収については次のページで詳しく紹介しています。
社会福祉士の給料について興味のある方は、ぜひご覧ください。

