
国家試験に合格して憧れの看護師になったときの喜びは大きく、将来への期待で胸がいっぱいになります。
しかし、実際に働きはじめると、理想と現実の大きな差に直面し、1年目でも転職を検討することもあるでしょう。
特に看護師1年目は、処置の介助や看護ケアなどすべてが初めてであり、患者さんへの責任の重圧にも耐えきれないことがあります。
しかし、臨床経験が少ないため転職できるのか、すぐに辞めると思われ採用されないのではないかなどの不安があり、1歩を踏み出すことに躊躇してしまうこともあるでしょう。
ここでは、そのような問題の解決策、成功方法を載せているため、ぜひ最後までご覧ください。
目次
看護師1年目でも転職できる?
結論からいうと、看護師1年目で転職をすることは可能です。
看護師1年目の離職率は高くなっており、退職する人も少なくありません。
どうして看護師の離職者が多いのかなど、下記で詳しく解説していきます。
看護師1年目で退職する人は増えている
看護師1年目で退職する人は増えています。
日本看護協会によると、2021年度の1年目看護師の離職率は10.3%と、2005年以降で最も高い水準になっている現状があります。
新型コロナウイルスが流行した背景も、離職率が向上した理由として挙げられますが、結果として看護師1年目で退職する人は少なくありません。
看護師に夢を抱き念願の資格で働いたとしても、理想と現実のギャップや人間関係、働き方のつらさなどから、1年目で看護師を辞める人はいます。
看護師1年目で転職することはできる
看護師1年目であっても、転職することは可能です。
現代の日本は高齢化社会であり、看護師の需要は上がっています。
厚生労働省の発表している看護師の有効求人倍率も2〜3倍となっており、それが揺るぎない真実であることがわかるでしょう。
1年目で転職しても看護師として必要とされる具体的な理由について、次から解説していきます。
看護師2年目の転職については、下記のURLに記載しているため必要な方は参照してください。

看護師1年目で転職するメリット
看護師1年目で転職をすると、「新人」という扱いは変わらないため、わからないことを聞きやすいことはメリットといえるでしょう。
また、自分に合った分野や興味のある分野を探しやすく、看護師として成長できる場を早期に見つけることにもつながります。
多くのことを聞きやすい
看護師は経験年数が上がっていくと立場も上がっていき、「知っている側・知識がある側」としてとらえられやすくなります。
部署移動などの配置変換があったとき、たとえその部署が初めての部署でわからないことがあっても「わからないけど、今さら聞きづらい」となり、素直に質問することが難しいときがあるでしょう。
1年目で退職をしている場合、次の病院や施設では「新人看護師」として扱われることがほとんどで、わからないことや困ったことを周囲に聞きやすくなります。
すぐに質問できれば知識や技術が正しく身につき、スキルアップにつながって成長できるでしょう。
興味のある分野を見つけやすい
新人看護師は、最初の配属先が必ずしも希望どおりというわけではなく、興味のある分野・興味のない分野がわかりづらい傾向にあります。
最初は興味があり希望の部署に行くことができたとしても、実際に働いたら想像と違っており、働き続けることが難しいといったことも出てくるでしょう。
看護師1年目で転職をすると、実際に働いた経験をもとに、興味のある分野を検討できます。
興味のない分野で我慢して働き続けるよりも、自分に合っている・より学びたい分野を見つけやすくなるでしょう。
看護師1年目で転職したいと思ったときに考えること
看護師1年目で転職を考えたとき、後先を考えずに退職をしてしまうと、のちに「やっぱり辞めなければ良かった」などと後悔につながってしまう可能性があります。
下記の内容を参考にして、冷静に判断していきましょう。
心身の不調がある場合は上司へ報告する
看護師1年目で転職をしたいと思ったとき、すぐに今の仕事を辞めて転職を安易に決めてしまうことは避けましょう。
今の職場がいやだと思っていても、そのときの感情や気持ちの変化で一過性に思っている場合もあるため、冷静に判断することが重要です。
しかし、出勤前になると吐き気がする、食事が喉を通らない、体は疲れているのに眠ることができないなどの心身の不調がある場合は、すみやかに上司へ報告をしましょう。
上司へ報告することで、一時的な休職や病棟移動、精神科への受診・相談なども検討できるため、転職をしなくても今の現状を打開できる可能性があります。
転職によって変えたくないところ・変えたいところを考える
転職をしても、職場環境やストレスなど、すべてが今よりも良くなるわけではありません。
転職で現状よりも環境を悪化させてしまうリスクもともなうため、転職を決断したらまず、今自分は何を大切にして仕事をしたいのか、今よりもどこを変えたいのか、変えたくないところはどこなのかを明確にすることが重要です。
転職をしたい理由や大切にしたい事柄が明確になると、理想の職場を探しやすくなり、転職後のミスマッチを防ぐことにつながります。
まずは、自分のなかで重要な点をピックアップしていきましょう。
無料の転職サイトに登録してみる
無料の転職サイトへの登録は、費用をかけることなく転職先の情報を得ることができるため、転職活動のスタートとして取り組みやすい一つの方法です。
また、無料の転職活動相談会などに参加することで、プロの転職エージェントに具体的な転職活動の進め方や、不慣れな履歴書の書き方などの相談にのってもらえる可能性があります。
ただし、無料である分、欲しい病院の情報が得られなかったり、採用情報などの電話が定期的にかかってくる場合もあります 。
いくつかの選択肢の中から、自分に合った転職サイトを探してみましょう。
看護師1年目で転職を成功させるポイント
看護師1年目で転職を成功させるためには、以下の3点のポイントが大切です。
- 退職理由を具体的に伝える
- 長く働きたい旨を伝える
- 複数の職場の見学会に参加する
退職理由を具体的に伝える
看護師1年目で転職を成功させるポイントの一つ目は、応募先に対して退職理由を正直に、かつ具体的に伝えることです。
1年目で退職した場合、次の病院や施設では「1年目で辞めてしまうのだから、同様の理由があったら入ってもすぐに辞めてしまうのでは」と考えられてしまうこともあるでしょう。
そのため、どのような理由で退職したのかをきちんと伝えることが大切です。
退職理由は嘘を並べず具体的に述べたうえで、新しい職場ではどのように頑張りたいのかなど、前向きな内容を添えて伝えることがポイントになります。
長く働きたい旨を伝える
上記でも触れたとおり、1年目での転職ではすぐに辞めてしまうと思われやすいため、しっかりと長く働きたい気持ちがあることを応募先に伝えることはとても重要です。
その気持ちを表すためにも、ほかの病院や施設ではなく、どうしてこの職場で働きたいのか、という部分をしっかり伝える必要があります。
「看護部の理念の〇〇に惹かれ、私もそのような看護ができる看護師になりたいと思い希望しました」など、看護部や病院の理念と結びつけ、採用者側の欲しい人材であることをアピールするとより効果的でしょう。
複数の職場の見学会に参加する
総合病院や大学病院などは、インターンシップや見学会を随時開催しているところもあります。
転職エージェントの話だけではわからない、実際の人間関係や雰囲気などを知るためには、実際の職場環境を見学することが有効です。
1年目看護師として経験で培った体験からの感覚により、実際の職場を見れば雰囲気やスタッフ同士の声がけなどから、さまざまなことが読み取れるはずです。
転職先を1ヵ所に決めてしまう前に、さまざまな職場の見学会やインターンシップに参加してみましょう。
看護師1年目のおすすめの転職先
看護師1年目で三次救急のある大きい病院や、急性期を専門とした病院に転職をすると、自身の希望でない限り、大きな負担やストレスを感じてしまうことがあります。
経験の少ない看護師1年目での転職では、下記のような病院やクリニックがおすすめです。
美容クリニック
美容クリニックは美容医療に特化されており、命に直結するような処置や対応は少ないでしょう。
また、比較的若いスタッフが多く、話しやすい同年代がいる可能性も高いため、不安や悩みなどを共有しやすいのも安心です。
看護師として働くことに疲れていたり、美容がもともと好きな方には向いている職場の一つです。
デメリットとしては、美容に特化した業務が多いため、臨床経験や現場での知識・技術、アセスメント力を学ぶ場が少ないことが考えられます。
慢性期病院・病棟やリハビリ病院
三次救急のある大きな病院や急性期病院で毎日一生懸命働き、心身ともに疲れてしまった方には、こちらがおすすめです。
検査や手術対応で目まぐるしく動いたりすることが少なく、比較的穏やかな環境で看護の基礎から経験できます。
このような病院や病棟は上の世代が多い傾向にあり、若い世代を必要としている場合もあるため、比較的入職しやすいのも魅力です。
無理をせず働きやすい環境で理想の看護師をめざそう
看護師1年目で転職をすることで、新人のうちから自分の希望ややりたいことに合う職場を選択できる可能性があります。
現時点で心身の不調を抱えながら働いている場合、まずは上司に相談し、部署移動や休職などを検討してもらいましょう。
それでも事態が好転しない場合は、無理をせず自分らしく働ける場所をめざして転職を検討することも一つの手段です。
努力して手に入れた看護師の資格を自分のために活用し、理想の看護師をめざしていきましょう。