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看護師の前残業とは、勤務時間外である始業前に出勤して、患者さんの情報収集や点滴・投薬準備などを行うことです。
前残業が当たり前のようになっている職場もありますが、看護師の前残業は本当に必要なのか、なくすことはできないのか疑問に感じる方も多いでしょう。
本記事では、看護師の前残業は当たり前なのか、残業代が発生すべき前残業にはどのようなものが該当するのかを解説します。
また、前残業をなくすための対策も紹介しているため、現在の働き方を改善したい方は参考にしてみてください。
目次
看護師の前残業はよくあること?
看護師の現場では、業務を効率的に行うための前残業は当たり前という風潮のところも多く存在します。
なかには時間外労働として前残業に残業代を支給している病院もありますが、ほとんどはサービス残業扱いになっているのが実情です。
では、前残業において残業代が出るケースと出ないケースの違いはどこにあるのでしょうか。
残業代が出るケース
看護師の前残業に残業代が出るかどうかは、労働基準法で労働時間として扱われるかどうかによって決まります。
業務上必要のある内容であったり、上司などから指示が出ていたりする前残業には、残業代が発生しなければなりません。
この場合、残業代を出さない企業は労働基準法の違反になります。
残業代が発生する看護師の前残業の例は、以下のとおりです。
- 勤務時間前のミーティングや勉強会などに参加した
- 人手不足などで早めに出勤してほしいと頼まれた
- 業務上必要な清掃・準備を行った
- 業務上必要な引き継ぎを行った
- プレゼンの準備をするように指示を受けた
- 業務量が多く、前残業をしないと仕事が終わらなかった など
残業代が出ないケース
誰かから早めに出勤するよう指示を受けたわけではなく、やむを得ない事情もない場合など、業務上必要がないのに自己判断で前残業した場合は、残業代が発生しません。
例えば、周りの人間が早く出勤しているから自分も前残業をするケースなどは、自己判断の出社と判断される可能性があるでしょう。
ただし、厚生労働省のガイドラインでは、始業前の情報収集や業務前後の着替えも労働時間として扱うべきだと記されています。
自己判断の前残業であっても、業務を円滑に遂行するために勤務時間外の出勤を余儀なくされたケースなどであれば、残業代の発生を検討する余地があるでしょう。
看護師が前残業をする理由
看護師の仕事では、患者さんの病態や既往歴、検査結果、バイタルサインなどの情報収集が欠かせない一方で、勤務時間内では十分な時間を確保できないこともあります。
しかし、これらの情報は患者さんの命や健康に関わるものであり、業務において緊急性が高いことから、前残業で情報収集せざるを得ない場合もあるでしょう。
また、自分自身は夜勤であるにも関わらず、日中の研修会や勉強会へ参加しなければならない場合にも、前残業が発生してしまいます。
加えて、夜勤のある病棟では日勤と夜勤の勤務重複時間が短く、申し送りのために前残業が発生するケースも珍しくありません。
なかには「先輩が前残業をしているから、後輩もそれにならうべき」などの暗黙のルールが存在する職場もあるでしょう。
このように、働く病院によって前残業の理由はさまざまにあり、複数の理由が重なっている場合も考えられます。
看護師の前残業をなくすにはどうしたら良いか
看護師の前残業をなくすためには、以下5つの対策が考えられます。
- 勤務時間に情報収集を行う
- 業務を分担する
- 看護記録をわかりやすくする
- 業務体制の見直しを図る
- 転職する
業務の効率化などによって前残業をなくせるのが理想的ですが、どうしても前残業を避けられず働くうえでのストレスになっている場合には、転職も検討してみてください。
勤務時間に情報収集を行う
情報収集のための前残業が常態化しているようであれば、「情報収集は業務時間内に行う」という新たなルールを作る必要があるでしょう。
始業10~15分のあいだに情報収集のための時間を設けることで、前残業をなくせます。
業務に必要な情報収集は労働時間に含まれるため、前残業かつサービス残業扱いになっている場合には、なおさら改善が必要です。
自分一人だけが前残業をやめれば良いというわけではなく、職場全体の意識を変えなければならないでしょう。
業務を分担する
看護師が行う仕事は多岐にわたり、入院患者さんの受け入れ、検査の準備、バイタルチェックなどのあらゆる仕事を一人で行うのは負担が重く、時間もかかります。
これらの業務を分担して、まずはスタッフ一人ひとりの負担を減らしましょう。
業務の効率化によって負担が減れば、やむを得ず前残業で行っていた作業を業務時間内にできるようになります。
ただし、今までとは違う働き方になるため、看護師同士での協力が必要です。
自分の手が空いたら忙しそうなスタッフに声をかけるなど、思いやりも大切になります。
看護記録をわかりやすくする
日々の看護記録をわかりやすくまとめることも、前残業をなくすために有効です。
看護記録は自分以外の看護師も読むため、誰もが簡単に内容を理解できなければいけません。
要点のみをまとめ、ぱっと見て必要な情報が得られる看護記録を意識しましょう。
だらだらと内容を書くより時間を短縮できるだけでなく、読み手であるほかの看護師の情報収集時間短縮にもつながります。
スタッフごとに看護記録の書き方が異なる場合は、統一するのも一つの方法です。
業務体制の見直しを図る
職場によっては、前残業が暗黙のルールになってしまっていることもあります。
業務上必要かどうかに関わらず前残業を強いられている場合、職場全体の意識を変えなければ、前残業はなくならないでしょう。
まずは、先輩看護師や上司などへ改善案などを打診することをおすすめします。
それでも変わらないときには、人事課や労働組合への相談も検討してみてください。
実際に前残業をなくすための取り組みを行っている病院も存在するため、諦めずに行動に移してみましょう。
転職する
ここまで紹介した方法を試しても状況が好転しないようなら、前残業のない職場へ転職するのも一案です。
改善しようと行動したら職場に居づらくなった、ほかの看護師と険悪になった、まったく改善されそうにないといった場合、出勤自体がストレスになってしまう可能性もあります。
前残業をなくすためにはほかの看護師との協力が重要になるため、現在の職場で達成が難しいようであれば、転職も視野に入れてみてください。
看護師の前残業がストレスなら転職も視野に入れよう
常態化した前残業がストレスになっているようなら、現在の働き方を変えない限り、いつか身体的・精神的な不調が発生するかもしれません。
看護師の前残業をなくすためには、看護記録の書き方を工夫したり、ほかのスタッフと協力したりといった方法が考えられます。
なかなか改善されないときには、人事課や労働組合へ相談するほか、転職も視野に入れ、自分に合った働き方ができる職場で活躍しましょう。
場合によっては、転職によって労働環境が改善されるだけでなく、年収アップなどのメリットを期待できる可能性もあります。
看護師の年収について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。
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