看護師に診療看護師(NP)という上位資格があるのを知っている人もいるでしょう。
しかし、なかには「看護師のNPって何?」「資格を取るとどうなるの?」「なるにはどうしたら良いの?」と疑問に思っている人もいるかもしれません。
この記事では、診療看護師(NP)とは何か、どうしたらなれるのかを解説します。
看護師として働き方を模索している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
診療看護師(NP)とは
ここではまず、診療看護師(NP)がどのようなものなのか、以下の3つに着目して見ていきましょう。
- NPとは診療看護師のこと
- 診療看護師の役割
- 診療看護師ができること
NPとは診療看護師のこと
NPは、国内では診療看護師と呼ばれる看護師の上位資格です。
1965年にアメリカでナースプラクティショナー(Nurse Practitioner:NP)という制度が始まり、日本では2008年に養成教育が始まりました。
日本では日本NP教育大学院協議会が認定しており、2011年から資格認定試験を実施しています。
養成教育が開始された当初は、日本でもナースプラクティショナー(NP)と呼ばれていました。
しかし、現在は幅広く一般にその役割を理解してもらうため、診療看護師という名称が使われています。
診療看護師の役割
診療看護師は、一般の看護師とは異なる役割を持っています。
診療看護師に認められた一般看護師と異なる役割とは、医師や薬剤師などと連携して、一定レベルの診療を自律的に行うことです。
医師が不在の際にも適切な対応で患者さんの重症化を防ぎ、円滑な医療を提供できます。
診療看護師は、医療現場の安全性を高め、患者さんのQOLの向上を図ることをめざしているのです。
診療看護師ができること
診療看護師は一般の看護師に比べて、多くの行為を自分の意思で行えます。
もちろん、医師や薬剤師など多職種と連携・協力することは必要になりますが、倫理的・科学的根拠に基づいた一定レベルの診療を行うことが可能です。
具体的には以下のことが認められています。
- 医師が作成した手順書に沿って、医師の指示を待つことなく、特定行為を行うことができる
- 医師の直接指示によって、相対的医行為ができる
- 看護と治療の面から、的確な処置を行い、治療内容を把握して患者さんに説明できる
特定行為とは、診療の補助として看護師が行う医療行為のなかで、手順書に従って行う場合に、以下の能力が必要とされる行為です。
- 実践的な理解力
- 思考力および判断力
- 高度で専門的な知識や技能
具体的には、気管カニューレの交換や胃ろうカテーテルの交換など、38の行為が認められています。
また、相対的医行為とは、医師の指示によって看護師が行うことができる医行為のことです。
一方で、医者にしかできない医行為は、絶対的医行為と呼ばれています。
診療看護師(NP)になるには
ここからは、診療看護師(NP)になるために必要なこととして、以下の3つを紹介します。
- 5年以上の実務経験を積む
- 大学院でNP教育課程を修了する
- 認定試験に合格する
5年以上の実務経験を積む
診療看護師になるには、看護師免許を取得後に、看護師として5年以上の実務経験を積むことが必要です。
看護師の実務経験が足りないと診療看護師の認定試験を受けることができないため、なろうと思ってすぐになれるわけではありません。
診療看護師をめざすなら、まずは看護師として経験を積むことから始めましょう。
大学院でNP教育課程を修了する
診療看護師になるには、日本NP教育大学院協議会が認定したNP教育課程を修了しなくてはなりません。
そのため、NP教育課程を学べる看護系大学の大学院に通う必要があります。
対象の大学院は、日本NP教育大学院協議会のホームページに掲載されているので、確認してみてください。
認定試験に合格する
看護師の実務経験を5年以上積み、大学院でNP教育課程を修了したら、認定試験を受けることができます。
なお、海外のNP資格取得者も、日本で認定試験を受けることが可能です。
この試験に合格すると、診療看護師として認定されます。
合格基準は、年度ごとに評価委員会の審議によって決まります。
もしも不合格になったとしても、翌年度以降に再受験することが可能です。
診療看護師(NP)について理解してめざしてみよう
今回は診療看護師(NP)とは何か、どうしたらなれるのかを解説しました。
診療看護師認定試験を受けるには実務経験が5年以上必要なので、すでに5年以上働いている方はすぐに大学院に行くことで診療看護師をめざせます。
実務経験が5年未満の方は、まずは5年間看護経験を積むことから始めましょう。
診療看護師になると、一般の看護師よりも多くの医行為を行えるようになります。
ぜひ診療看護師について理解し、キャリアアップのためにもめざしてみてはいかがでしょうか。