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トリアージナースとは?看護師の役割やなる方法について紹介

この記事の監修者
ゆみさと
【資格】
看護師

【プロフィール】
岩手県立大学看護学部を卒業後、血液内科・乳腺外科混合病棟にて勤務し、その後、透析クリニックに転職。
現在、看護師として働きながら、医療関係を中心にライターとしても活動中。

救急外来では、軽症から重症まで多種多様な症状の患者さんが訪れます。
限られた医療資源を有効に活用するためには、患者さんごとに優先度と緊急性を判断するトリアージが重要です。
そのトリアージの役割を担う看護師が、トリアージナースです。
本記事では、トリアージナースの役割や必要なスキル、トリアージナースになるメリットなどについて詳しく解説します。

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トリアージナースとは

トリアージナースとは

トリアージナースとは、主に救急外来で患者さんの状態を判断し、治療の優先度を決める看護師のことです。
トリアージを適切に実施できるよう専門的な教育を受けた看護師が、ガイドラインを用いて患者さんの待機時間や治療の優先度を決定しています。

トリアージとは

トリアージとは、主に災害時など患者さんが多く発生した場合に、患者さんの緊急度・重症度から治療の優先順位を決めることです。
トリアージは災害の現場だけではなく、救急外来など院内でも実施されています。

救急外来では、軽症な方から重症で緊急度の高い方までさまざまな患者さんが来院されることから、緊急度の高い患者さんを見つけ出し、適切な医療を提供する目的があります。

災害時の場合:START法

災害時のトリアージで用いるのが、START法です。
START法では、歩行可否・呼吸状態・脈拍(循環)・意識レベルの順に評価します。
各評価に基づいて治療の優先度を定め、患者さんに色分けされたトリアージタッグを付けていきます。

トリアージタッグの色と優先度を以下の表にまとめました。

区分 状態
区分Ⅰ:最優先治療群 大量出血や瞳孔不同のある頭部損傷など生命危機の状態
区分Ⅱ:待機治療群 中等度熱傷やショックでない骨折など、多少治療が遅れても生命危機につながらない状態
区分Ⅲ:治療不要もしくは軽処置群 指骨折や小捻挫など、必ずしも専門医の治療を必要としない状態
区分0(区分Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ以外) 死亡もしくは心肺停止など心肺蘇生をしても組成の可能性が低い状態

院内トリアージの場合:JTAS法

主に救急外来において、患者さんの待ち時間を決定するための院内トリアージで用いられるのがJTAS法です。
看護師が患者さんに問診を行い、日本版緊急度判定支援システム(JTAS)を用いて、緊急度を5段階で判定します。

JTAS法の各レベルと優先度を以下の表にまとめました。

JTASレベル 推奨される対応 疾患の例
Level1(青):蘇生 ただちに診察が必要 心停止、重症外傷、高度意識障害など
Level2(赤):緊急 10分以内に診察 心原性胸痛、激しい頭痛や腹痛、抑うつ、自傷行為など
Level3(黄):準緊急 30分以内に診察 症状のない高血圧、変形のある四肢外傷、中等度の頭痛や腹痛など
Level4(緑):低緊急 1時間以内に診察 尿路感染症、縫合を要する止血済の創傷、不穏状態など
Level5(白):非緊急 2時間以内に診察 軽度のアレルギー反応、縫合を要さない外傷、処方や検査希望など

(出典:重症度と緊急度 | 厚生労働省

トリアージナースの役割

トリアージナースは、主に救急外来で適切な医療を提供できるように、院内の診察調整を行います。
またトリアージだけでなく、患者さんやそのご家族への対応も重要な役割の一つです。
以下では、上記の2つの役割について解説します。

院内の診療調整

トリアージナースの役割は、救急外来に来院した患者さんの緊急度・重症度を確認し、受診の順番を決定することで、医師の診療調整を行うことです。
救急外来においては、多くの来院者のなかに早急に治療が必要な患者さんもいる状況が多発します。
その際、来院した順に診察・治療を行うと、重症の患者さんへの治療が遅れて、病状の悪化や命の危機を招きかねません。

そのため、トリアージナースが患者さんごとに治療の優先度を判断し、それに基づいた順番で治療を行うことが、確実な救命につながるといえるでしょう。
トリアージナースが初期判断を行うことで、最適な医療の提供につながり、一人でも多くの患者さんを救うことに貢献できます。

患者さん・ご家族対応

トリアージナースは、医師の診察を待っている患者さんの見守りを行います。
一度トリアージした患者さんであっても、定期的に再トリアージを行うことで、状態の変化を見逃さないようにしています。

また、患者さんの家族対応も重要な役割です。
ご家族のなかには、パニック状態になっていたり、精神的に落ち着かない方もいます。
随時納得できる説明を行い、安心してもらえるような対応をしなければいけません。

トリアージナースになるには認定が必要?

トリアージナースになるには、特定の認定条件などは必要ありません。
ただし、高いアセスメント能力や判断力が求められることから、院内独自の認定制度を取り入れている病院もあります。

トリアージナースになるための研修として、日本救急看護学会が実施している「トリアージナースコース」がおすすめです。
トリアージナースコースの受講資格には、以下の2つの要件があります。

1)日本臨床救急医学会主催JTAS認定プロバイダーコースを受講済みであること。もしくは、トリアージナースコースWeb研修会受講申し込み期間中にJTAS認定プロバイダーコース受講修了予定であること。
2)自施設でJTASを用いてトリアージを実践していること。

引用:トリアージナースコース | セミナー・教育コース | 日本救急看護学会

この研修会は、対面とオンラインの2つから選ぶことができます。
どちらもトリアージに関する理解度と技術を向上させ、適切なトリアージを実践できることを目標にした研修です。

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トリアージナースになるメリット

トリアージナースは、適切な医療の提供に貢献でき、実践的で幅広いスキルを身につけることができます。

ここでは、トリアージナースになるメリットを詳しく見ていきましょう。

適切な医療の提供に貢献できる

トリアージナースになるメリットの一つは、患者さんにとって必要な医療の提供に貢献できることです。
患者さんの状態から緊急性と重症度を適確に判断することは、効果的に医療資源を活用するうえで欠かせません。

特に救急外来では、院内トリアージが確実な救命に直結しているといえるでしょう。
治療以前に、トリアージナースが緊急性のある患者さんを見極め、優先的に治療を受けさせてあげることが、一人でも多くの人命を救えるかに大きく影響します。
患者さんの病状や命に直結する仕事という点で、トリアージナースは他の看護師よりも、大きなやりがいを感じられるでしょう。

また、患者さんに待ち時間を納得してもらい、傷病に対する不安感を拭う対応も行います。そのため、トリアージナースは、患者さんのメンタルに寄り添えるというやりがいも感じられるでしょう。

看護師としてスキルアップできる

仕事を通じて、看護師としてのスキルアップが期待できるのも、トリアージナースになるメリットです。
トリアージナースは、さまざまな疾患の患者さんを対象にトリアージするため、幅広い症例に触れることができます。
救急外来では、多様な症状の患者さんに対して迅速なトリアージが求められるので、実践的なスキルを身につけられるでしょう。

「多くの症例や疾患に対して、幅広く対応できる看護師になりたい」「実践的な知識を身につけて成長していきたい」と考えている方は、トリアージナースの道も検討してみてはいかがでしょうか。

トリアージナースに必要なスキル

トリアージナースには、高度な知識と技術が求められます。
ここでは、トリアージナースに必要なスキルを詳しく見ていきましょう。

救急看護における豊富な知識やアセスメント能力

トリアージナースには、救急看護の知識をはじめ、患者さんの情報を組み合わせて状態を判断できるアセスメント能力が必要です。
患者さんの状態を適切に評価できないと、アンダートリアージにつながってしまいます。

アンダートリアージとは、本来の緊急度・重症度よりも低い評価をしてしまうことです。
アンダートリアージをしてしまうことで、本来早急に処置すべき患者さんに医療を提供できなくなり、命の危険に関わりかねません。
そのため、トリアージナースには、豊富な知識と、患者さんの状態を適切に評価できる能力が必要不可欠です。

柔軟なコミュニケーション能力

トリアージナースは、救急外来の窓口ともなる存在だからこそ、患者さんやそのご家族と柔軟にやりとりができる高いコミュニケーションが求められます。
患者さんやご家族の不安を受け止め、わかりやすく説明することが重要です。

加えて、救急外来はチーム医療であるため、医師をはじめ他の医療職種とも適切にコミュニケーションを取らなければいけません。
トリアージナースは情報共有を密に行い、チーム全体で患者さんを支えていくためのコミュニケーション能力が必要です。

トリアージナースとして適切な医療の提供に貢献しよう

トリアージナースは、救急医療の現場において重要な役割を担っています。
適切な医療の提供、ひいては救命に関して大きく貢献できる仕事です。
その分、豊富な知識をもとに、患者さんごとに優先度と緊急性を適切に判断できる能力が求められます。

「スキルアップをしたい」「医療の質や患者さんのケアにもっと貢献したい」と考えている看護師の方は、トリアージナースをめざしてみてはいかがでしょうか。

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執筆者について

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