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地域連携室で働く看護師の役割とは?仕事内容も含めて紹介

この記事の監修者
ゆみさと
【資格】
看護師

【プロフィール】
岩手県立大学看護学部を卒業後、血液内科・乳腺外科混合病棟にて勤務し、その後、透析クリニックに転職。
現在、看護師として働きながら、医療関係を中心にライターとしても活動中。

地域連携室は、患者さんが安心して入院中・退院後の生活を送れるように、他の医療機関や介護施設との連携を行う部署です。
そこで働く看護師は、患者さんの入退院支援や社会資源の調整など、重要な役割を担っています。

この記事では、地域連携室の看護師の役割や仕事内容を詳しく解説します。
そもそも地域連携室がどのようなところか、資格の必要性なども参考にしてみてください。

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地域連携室の看護師の役割

地域連携室の看護師の役割

地域連携室の看護師の役割は主に、患者さんやご家族が退院後も安心して生活できるように支援する後方連携業務です。
病院と地域が連携し、療養環境や社会福祉サービスを調整する役割を専門とする「退院調整看護師」もいます。

地域連携室の看護師は、早い段階から退院後の生活までを見据えた、切れ目のない支援の提供が求められる仕事です。

退院支援

退院支援とは、入院前や入院直後などの早い段階から退院後の生活を安心して暮らせるように支援することです。
患者さんによっては、手術や治療などによって入院前よりも一時的に身体機能が低下するケースや、介護支援が必要になるケースもあります。
そのため、退院後も患者さんが安心して療養できる状態を整えられるよう、早い段階での準備が必要です。

地域連携室の看護師は、患者さんやご家族へ適切に情報提供を行い、退院後の療養についての意思決定を支援しています。
退院後の生活をイメージしながら、必要な社会資源について一緒に考えていく点で重要な仕事です。

退院調整

退院調整とは、患者さんやご家族の意思決定をもとに、必要な社会資源を提供できるよう調整することです。
退院する患者さんに介護サービスや訪問看護サービスなどが必要な際に、医師、訪問看護師、ケアマネジャーなどと連携し、退院後のケア方法や制度を確認します。
退院調整では、院内だけでなく、院外の関係者との連携も欠かせません。

そもそも地域連携室とは?

地域連携室は、患者さんの入退院に関わり、入院前と後の支援や、適切な医療を患者さんが受けられるようにする役割です。
そのために、他の医療機関や介護施設との連携を行います。
地域連携室が行う主な連携には、「前方連携」と「後方連携」があります。
入院時の連携である前方連携、退院時の連携である後方連携について、それぞれ詳しくみていきましょう。

前方連携

前方連携とは、患者さんが医療機関に受診したり、入院したりするときに行う連携のことを指します。
具体的には、他院や介護施設からの診察予約や入院相談などの窓口業務です。
スムーズに入院できるよう、事前の情報収集や調整を行うことが求められます。

後方連携

後方連携とは、患者さんが医療機関から退院または転院する際に医療機関や福祉支援サービスの窓口と行う連携を指します。
院内だけでなく福祉施設や介護施設などともやりとりを行い、退院後の生活を整える役割です。
そのため、患者さんの退院前にもケアマネージャーなどの院外の関係者と会議を行い、必要な支援を見極めます。
ときには、患者さんやそのご家族も会議に参加し、退院後の生活を一緒にイメージしながら相談することもあるでしょう。

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地域連携室の看護師の仕事内容

地域連携室の看護師は、患者さんの入退院に関わるさまざまな業務を行います。
入院時のアセスメントから退院後のモニタリングまで、患者さんに寄り添った仕事が中心です。
ここからは、地域連携室にいる看護師の具体的な仕事内容をみていきましょう。

入院時のスクリーニング・アセスメント

地域連携室の看護師は、入院時から退院調整が必要な患者さんを「スクリーニング」します。
スクリーニングとは、退院後も継続して支援が必要な患者さんをピックアップすることです。

スクリーニングにおいては、入院決定時から入院後2日以内を目安に「退院支援スクリーニングシート」を用います。
患者さんへの質問、疾患の有無や入退院の繰り返し、服薬状況などを記録して退院支援の必要性を把握するためです。
スクリーニングの段階で支援が必要な患者さんがいたら、適切かつ早急に退院支援を開始できるよう患者情報を整理し看護問題を分析する「アセスメント」の段階に入ります。
円滑な退院を目標として、必要な看護計画を具体的に考えていきます。

このように地域連携室の看護師が早期介入し、退院までにしっかりと支援準備を進めることが入院時の仕事内容です。

なお、入院時点で退院支援の必要性が低いと判断した患者さんであっても、入院中に適宜患者さんの状態を確認し、必要に応じて退院支援を導入していきます。

退院前カンファレンスの開催

退院前カンファレンスでは、患者さんが退院後も安心して生活できるように、福祉サービスの必要性や療養の課題などについて検討する会議を行います。
退院前カンファレンスの参加者は、患者さんご本人、ご家族、地域連携室の看護師だけではありません。
病棟看護師、医師、MSW、薬剤師、ケアマネジャー、訪問看護師など在宅療養に関わる職種なども参加し、チームとしてさまざまな観点から話し合います。

退院前カンファレンスでは患者さんやご家族の意向を踏まえながら、より具体的な退院後の療養プランを目に見える形で立てることが重要です。
この会議を通して、在宅療養に関わる職種との顔合わせもできるため、信頼性のあるコミュニケーションを取ることができます。

社会資源の調整

退院後に社会資源サービスが必要な患者さんに対して行うことは、社会資源の調整です。
例えば、訪問看護や訪問介護のサービスが必要な患者さんに対しては、ご家族が介護認定の申請手続きをする際のサポートや、訪問看護師に対しての情報共有などを行います。

社会資源の調整には、医療と介護の知識だけでなく、患者さんの状態に応じて利用可能なサービスを把握しておくことが求められます。
また、患者さんやご家族の意向を尊重しながら、必要なサービスが提供されるよう調整していくことも大切です。

退院後のモニタリング

地域連携室の看護師は、患者さんの退院後の療養状況を確認するモニタリングも行います。
モニタリングの方法は主に、訪問看護師、ケアマネジャーに連絡を取ることや、患者さんが外来診療に来た際の確認です。

確認の結果、新たに社会資源の活用が必要と判断した際には、更なる調整を行います。
退院後のモニタリングを通じて、退院後でも患者さんの状態変化に早期に気付くことができるため、異変があればすぐに支援提供が可能です。

地域連携室の看護師になるために必要な資格は?

看護師が地域連携室で働くために必要な資格は、看護師の資格のみです。
転職や部署の異動によって地域連携室に配属されることで、地域連携室の看護師になることができます。
ただし、地域連携室の業務は多岐にわたるため、介護保険や社会福祉サービスも含めた幅広い知識と経験が必要です。

地域連携室の看護師の役割は切れ目のない支援の提供

地域連携室で働く看護師は、早い段階から患者さんの退院後の生活を見据えて、支援の提供や療養環境の調整を行い、退院後の生活もサポートします。
入院時のスクリーニング・アセスメントから退院後のモニタリングまで、患者さんの心身に寄り添った支援をすることが、地域連携室の看護師に求められる仕事です。

地域連携室の看護師には、社会資源に関する幅広い知識や他職種との連携力が必要ですが、やりがいのある仕事であることは間違いありません。
患者さんやご家族に寄り添い、安心して療養生活が送れるようサポートできる地域連携室の看護師をめざしましょう。

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執筆者について

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