
調剤薬局を健康サポート薬局として届け出るには、常駐する薬剤師が所定の研修を受講している必要があります。
この研修は、薬剤師の資質向上を目的としており、日本薬剤師会・日本薬剤師研修センターが主催しています。
健康サポート薬局の意義や役割を理解し、地域住民の健康増進に貢献できる薬剤師を育成するための重要な研修です。
目次
健康サポート薬局の研修とは?
健康サポート薬局の研修は、「健康サポート薬局」とするための届出に必要な研修です。
「常駐する薬剤師の資質に係る所定の研修」は、日本薬剤師会・日本薬剤師研修センターによって開催されています。
研修は合計30時間あり、すべて同じ研修実施団体で受講しなければいけません。
この研修を受講することで、薬剤師は健康サポート薬局の役割を理解し、地域住民の健康増進に貢献するための知識とスキルを身につけることができます。
健康サポート薬局研修の参加資格
健康サポート薬局研修の参加資格は以下の3つです。
- 「健康サポート薬局」である旨を表示し得る業務体制を有する薬局に従事している
- 健康サポート薬局の意義や基準、通知を理解している
- 健康サポート薬局として地域住民の健康の保持増進に貢献する意欲がある
これらの条件を満たす薬剤師が、健康サポート薬局研修を受講することができます。
健康サポート薬局研修の内容は2種類
健康サポート薬局研修は、技能習得型研修(集合研修)と知識習得型研修(e-ラーニング)の2種類があります。
それぞれの研修内容と特徴を詳しく見ていきましょう。
技能習得型研修(集合研修)
技能習得型研修は、演習を通して以下のような内容を学べるものです。
- 健康サポート薬局の基本理念
- 調剤薬局利用者の状態把握と対応
- 地域包括ケアシステムにおける多職種連携と薬剤師の対応
具体的な研修内容は下表のとおりです。
研修項目 | 研修内容 | 時間 |
健康サポート薬局の基本理念 | ・健康サポート薬局の概要や演習 | 1 |
調剤薬局利用者の状態把握と対応 | ・調剤薬局利用者からの情報収集の方法や状態・状況把握の演習 ・調剤薬局利用者の状態・状況別の対応演習 |
4 |
地域包括ケアシステムにおける多職種連携と薬剤師の対応 | ・地域包括ケアシステムにおける地域別の現状について ・地域包括ケアシステムのなかで健康サポート薬局が役割を発揮するための連携に関する演習 |
3 |
参考:・健康サポート薬局に係る研修実施要綱について(通知)(◆平成28年02月12日薬生発第212008号)
技能習得型研修には研修会Aと研修会Bがあり、研修会Aではおもに健康サポートのための多職種連携を、研修会Bではおもに薬剤師の対応を学びます。
それぞれ4時間ずつの研修会では、演習を通じて実践的なスキルを身につけることができます。
知識習得型研修(e-ラーニング)
知識習得型研修は、e-ラーニング形式で行われる研修です。
この研修では、以下のような幅広い分野について学ぶことができます。
- 地域住民の健康維持・増進
- 要指導医薬品などの概説
- 健康食品・食品
- 禁煙支援
- 認知症対策
- 感染対策
- 衛生用品・介護用品など
- 薬物乱用防止
- 公衆衛生
- 地域包括ケアシステムにおける先進的な取組事例
- コミュニケーション能力の向上
具体的な研修内容は下表のとおりです。
研修項目 | 研修内容 | 時間 |
地域住民の健康維持・増進 | ・健康増進施策の概要 ・健康診断の概要 ・健康づくりの基準の概要 |
2 |
要指導医薬品などの概説 | ・「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」について ・要指導医薬品などの成分、効能効果、副作用などについて ・調剤薬局利用者の訴えごとの情報を収集し、状態・状況を把握する方法 ・要指導医薬品などに関する情報収集の方法 |
8 |
健康食品・食品 | ・特別用途食品、保健機能食品、機能性表示食品制度の概要 ・健康食品の有害作用 ・食品および健康食品と医薬品の相互作用 ・健康食品の最新情報 ・健康食品に関する適正使用と情報提供 ・健康食品、食品の情報収集・評価の手法 |
2 |
禁煙支援 | ・喫煙の健康影響 ・薬剤師が行う禁煙支援の方法 ・禁煙の薬物治療 |
2 |
認知症対策 | ・認知症関連施策の概要および薬剤師の役割 ・認知症の早期発見・早期対応に関する薬剤師の取組 ・認知症の薬物治療 |
1 |
感染対策 | ・標準予防策の概要 ・季節性の代表的な感染症の病態、感染経路、予防方法 ・流行している感染症情報の収集方法 ・予防接種の意義と方法 ・消毒薬の使用方法 |
2 |
衛生用品・介護用品など | ・衛生材料・介護用品の知識や取り扱い方法、情報収集の方法 ・介護保険サービスにおける介護用品の提供方法 |
1 |
薬物乱用防止 | ・依存性のある薬物、化学物質による健康影響 ・覚せい剤、大麻、あへん、指定薬物などの乱用防止に関する法律 ・薬物などの依存・乱用防止、過量服薬対策や自殺防止における薬剤師の役割 ・地域における精神・福祉・保健センターの役割 |
1 |
公衆衛生 | ・日用品などに含まれる化学物質と摂取による健康影響 ・誤飲や誤食による中毒の対応 ・学校薬剤師の位置づけと業務 ・食中毒の原因と対応方法 |
1 |
地域包括ケアシステムにおける先進的な取組事例 | ・地域包括ケアシステムの概要 ・先進的な取組の現状 |
1 |
コミュニケーション能力の向上 | ・来局者への応対、相談対応などの接遇 | 1 |
参考:・健康サポート薬局に係る研修実施要綱について(通知)(◆平成28年02月12日薬生発第212008号)
健康サポート薬局研修の流れ
健康サポート薬局研修を受講するには、以下の流れで手続きを進める必要があります。
- 受講の申し込み
1)技能習得型研修は都道府県薬剤師会へ申し込み
2) 知識習得型研修は日本薬剤師会が提供しているポータルサイトで申し込み - 研修の受講
技能習得型研修A・Bと知識習得型研修の計3つの受講証明書を受け取る - 修了証発行申請
受講証明書の有効期限3年以内に日本薬剤師研修センターへ修了証発行申請を行う - 研修修了証の交付
このように、技能習得型研修と知識習得型研修の両方を受講し、修了証発行申請を行うことで、健康サポート薬局研修の修了証が交付されます。
健康サポート薬局研修の受講費用
健康サポート薬局研修の受講費用は、技能習得型研修と知識習得型研修で異なります。
項目 | 費用 |
技能習得型研修の受講料 | 都道府県薬剤師会により異なる |
知識習得型研修の受講料 | 8,800円(税込) |
研修修了証発行に係る費用 | 5,500円(税込) |
技能習得型研修の受講料は都道府県薬剤師会によって異なりますが、知識習得型研修の受講料は8,800円(税込)、研修修了証発行に係る費用は5,500円(税込)となっています。
また、以下のケースでは別途費用が発生します。
- 研修修了証を紛失・き損などにより再発行する場合:2,750円(税込)
- 研修修了証を持っているが、他都道府県の「地域包括ケアシステムにおける多職種連携と薬剤師の対応」の研修の研修修了証の発行を申請する場合:3,300円(税込)
健康サポート薬局研修修了証は更新が必要?
健康サポート薬局研修の修了証には有効期限があり、発行から6年間となっています。
更新手続きを行うことで、有効期限が6年間延長されます。
具体的な更新手続きの手順は以下のとおりです。
- 研修修了証の有効期限の2年前以降に、薬局が所在する都道府県の薬剤師会が開催する研修会Aを受講する
- 交付手数料3,300円を振り込み、更新申請用の書類を日本薬剤師研修センターへ送付する
健康サポート薬局研修は2種類あり両方受講が必要
健康サポート薬局研修は、技能習得型研修(集合研修)と知識習得型研修(e-ラーニング)の2種類があります。
技能習得型研修では、健康サポート薬局の基本理念や調剤薬局利用者の状態把握と対応、地域包括ケアシステムにおける多職種連携と薬剤師の対応などについて、演習を通じて実践的なスキルを身につけることが可能です。
一方、知識習得型研修では、地域住民の健康維持・増進をはじめとする幅広い分野について効率的に学ぶことができます。
健康サポート薬局として届出を行うために、両方の研修を受講し、修了証を取得しましょう。