
医療事務は、医療機関において重要な役割を果たす職種です。
受付業務、会計業務、レセプト業務、クラーク業務など、多岐にわたる業務を担当し、医療機関の円滑な運営を支えています。
本記事では、医療事務の一日のスケジュールについて詳しく紹介します。
総合病院とクリニックでは、業務の流れや内容に違いがあるため、それぞれの特徴を踏まえながら解説する内容です。
医療事務の仕事に興味がある方や、現在医療事務として働いている方にとって、参考になる情報となるでしょう。
目次
医療事務の一日の流れ|総合病院の場合
総合病院における医療事務の一日は、多忙かつ多岐にわたる業務で構成されています。
大規模な医療機関であるため、効率的な運営を行うために業務の分業制を採用しているところが多いです。
受付、会計、クラークといった各部門に専門のスタッフが配置され、それぞれの役割を担当します。
また、スタッフのスキルバランスを保つため、定期的に部門間でローテーションを行う病院もあります。
幅広い業務経験を積むことができるため、柔軟な対応力を身につけられるでしょう。
それでは、総合病院における医療事務の一日の流れを詳しく見ていきましょう。
開院準備
医療事務スタッフは、受付開始前にさまざまな準備が必要です。
まずは制服に着替え、レジの準備や電子カルテをはじめとした各種システムを起動させ、診療の準備を行います。
続いて予約状況の確認を行い、共有事項を確認します。
午前診療開始
診療受付が始まると、医療事務スタッフは以下ような多岐にわたる業務をこなします。
- 受付スタッフ:患者さんに問診表を記入してもらい、カルテを作成
- クラークスタッフ:医師の診療補助や患者さんの検査案内など
- 会計スタッフ:患者さんの診察終了後、カルテの記載をもとに診療費を計算し請求
会計スタッフは、空き時間にはレセプト業務を行います。
総合病院では患者さんや自治体などからの外線に加え、院内各所からの内線もかかってくるため、電話対応も重要な業務の一つです。
常に効率的に動き、患者さんへのサービス向上に努めます。
午前診療終了
午前の受付が終わると、スタッフは順次交代を行います。
これにより、継続的なサービス提供と適切な休憩時間の確保を両立させています。
お昼休憩
昼休憩の取得は交代制です。
一般的に午後の診察開始30分前には受付を再開するため、窓口に人がいない事態を避けるよう注意が必要です。
効率的な休憩取得のため、早番や遅番のシフト制を導入している病院もあります。
午後診療開始
午後の診療が始まると、基本的に午前中と同様の業務を行います。
患者さんの受付や医師の診療補助、診療費計算や電話対応などです。
午後診療終了
最後の患者さんの診察および会計が済むと、一日の業務が終了します。
翌日に来院予定の患者さんの確認やレジ締め業務、各種システムのシャットダウンなどをしたのちに退勤します。
医療事務の一日の流れ|クリニックの場合
クリニックにおける医療事務の一日は、総合病院とは異なる特徴があります。
規模が小さいため、より多様な業務を少人数で担当することが多く、柔軟な対応力が必要です。
また、地域に密着した医療サービスを提供するクリニックならではの業務も存在します。
以下、クリニックにおける医療事務の一日の流れを詳しく見ていきましょう。
開院準備
クリニックの医療事務スタッフは、開院前に入念な準備を行います。
まず、制服に着替え、クリニック内の清掃を行います。
医療機関は清潔感が特に重要となるため、丁寧な清掃を心がけましょう。
次に、当日の予約状況や検査の有無など、患者さんの情報を事前に確認します。
これにより、診察がスムーズに進むよう準備を整えます。
小規模な医療機関だからこそ、きめ細やかな対応が可能となるのです。
午前診療開始
診療が始まると、医療事務スタッフは多岐にわたる業務をこなします。
まず、来院した患者さんの保険証や診察券を預かり、受付を行います。
検査がある患者さんには、検査の説明や介助を担当する場合もあるでしょう。
また、診察や検査が終わった患者さんの会計も行います。
診察の順番が来た患者さんを案内したり、次回の予約を確認したりするのも重要な業務です。
クリニックならではの、きめ細やかな対応が求められます。
午前診療終了
午前中に受付をしたすべての患者さんの会計が終わると、昼休憩に入ります。
この時間を利用して、午後の診療に向けた準備も行います。
お昼休憩
クリニックは基本的に午前・午後で診療時間が区切られているため、午前の診療時間が終わると昼休みがあります。
ただし、午前中の患者数が多い場合には、十分な休憩時間が取れないこともあります。
また、午前の診療終了から午後の診療開始までの時間が長いクリニックもありますが、その場合はずっと休憩をしているわけではありません。
午後の診療準備やレセプト業務などをして効率的に時間を使い、午後の診療に備えます。
午後診療開始
午後の診療が始まると、基本的に午前診療と同じ業務を継続して行います。
患者さんが少ない時間帯や空いた時間には、翌日の準備や書類整理、データ管理などの業務も行います。
午後診療終了
診療終了後、クリニック内の清掃や患者さんの忘れ物がないかの確認をします。
すべての患者さんの会計が終了したらレジ締め作業を行い、レジ内の金銭に誤差がないか確認するのもも重要な業務です。
毎月1~10日はレセプトの作成・請求業務が集中するため、この時期は残業になることもあります。
医療事務スタッフには、柔軟な対応力と効率的な業務遂行能力が求められます。
医療事務の一日の流れは総合病院とクリニックで一部異なる
医療事務の一日の流れは、総合病院とクリニックで共通点もありますが、一部異なる点も見られます。
両者とも、開院準備から始まり、午前・午後の診療、そして診療終了後の業務という大きな流れは同じです。
しかし、総合病院では業務の分業化が進んでおり、各部門に専門のスタッフが配置されることが多いのが特徴です。
一方、クリニックでは少人数で多様な業務をこなす必要があり、より柔軟な対応力が求められます。
また、総合病院では大規模な患者対応が必要となりますが、クリニックではより地域に密着した、きめ細やかなサービスが重視されます。
休憩の取り方も、総合病院では交代制を採用することが多いのに対し、クリニックでは午前・午後の診療時間の区切りに合わせて取ることが一般的です。
医療事務の仕事は、医療機関の規模や特性によって業務内容や流れが変わるおもしろさがあります。
どちらの環境でも、患者さんへの適切な対応と医療機関の円滑な運営をサポートする重要な役割を担っています。
医療事務に興味がある方は、自分に合った環境を選択し、やりがいのある仕事に挑戦してみてはいかがでしょうか。