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助産師のクリニカルラダーとは?レベルや評価基準について説明

この記事の監修者
古市 菜緒
古市 菜緒
【資格】
助産師・看護師・保健師

【プロフィール文】
1万件以上の出産に携わり、8千人以上の前で産前・産後のセミナー講師を務める。その他「妊娠・出産・育児」関連の商品・サービス等の監修、産院のコンサルタント、国・自治体の母子保健関連施策などに従事。現在2児の母。

助産師として働くなかで、自身のスキルアップや能力評価の指標として重要な役割を果たすのが「助産実践能力習熟段階(クリニカルラダー);Clinical Ladder of Competencies for Midwifery Practice、CLoCMiP」です。

本記事では、助産師のクリニカルラダーの概要や各レベルの特徴、認証方法について詳しく解説します。
キャリアアップをめざす助産師にとって、参考になる情報となるでしょう。

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助産師のクリニカルラダー(助産実践能力習熟段階)とは

助産師のクリニカルラダー(助産実践能力習熟段階)とは

助産師のクリニカルラダーは、助産師として実践的な能力を養うことを目的として、それぞれの習熟度段階で習得すべき目標を定めたツールです。
このツールを活用することで、助産師として確実にスキルアップしていくための具体的な目標設定の指標となります。
また、学習すべき内容や身につけるべきスキルが明確になるため、効率的な成長が期待できます。

クリニカルラダーを軸とした自己評価・他者評価を行うことで、助産師として自信を持って次のステップに進むことが可能です。
これにより、キャリアパスの可視化と計画的な能力開発が可能となり、専門職としての成長をサポートします。

助産師のクリニカルラダーのレベル

助産師のクリニカルラダーは、経験年数や習得すべきスキルに応じて複数のレベルに分かれています。
各レベルには具体的な到達目標が設定されており、段階的に能力を向上させていくことができます。
ここでは、新人レベルからレベルⅣまでの特徴と到達目標について詳しく見ていきましょう。

レベル新人

レベル新人は、入職後半年〜1年程度の経験年数の助産師を想定しています。
この段階は、基本的実践能力の獲得期として位置付けられており、以下の2点が到達目標です。

  1. 指示・手順・ガイドに従い、安全確実に助産ケアができる
  2. 指示・手順・ガイドに従い、ウィメンズヘルスケアができる

新人助産師は、これらの目標を達成することで、基礎的な知識と技術を身につけ、安全な助産ケアの提供をめざします。

レベルⅠ

レベルⅠは、2〜3年程度の経験年数の助産師を想定しています。
基本的実践能力の獲得を継続しつつ、徐々にさまざまな症例を経験して実践的な能力も身につけていくレベルです。
レベルⅠの到達目標は以下の4点です。

  1. 健康生活支援を援助するための知識・技術・態度を身につけ、安全確実に助産ケアができる
  2. 院内助産・助産師外来について、その業務内容を理解できる
  3. ハイリスク事例についての病態と対処が理解できる
  4. 支援を受けながら、基礎的な知識・技術・態度を身につけ、ウィメンズヘルスケアができる

レベルⅠでは、より多様な状況に対応できる能力を養いながら、専門的なケアの基礎を固めていきます。

レベルⅡ

レベルⅡは、3〜4年程度の経験年数の助産師を想定しています。
ハイリスク妊婦や新生児に対してもサポートを受けつつ理解し、計画立案が自立できるようスキルアップするレベルです。
レベルⅡの到達目標は以下の5点です。

  1. 助産過程を踏まえ個別的なケアができる
  2. 支援を受けながら、助産師外来においてケアができる
  3. 先輩助産師とともに、院内助産においてケアができる
  4. ローリスク/ハイリスクの判別および初期介入ができる
  5. 特徴的な事例について、ウィメンズヘルスケアができる

レベルⅡでは、個別性を考慮したケアの提供や、リスク評価能力の向上が求められます。

レベルⅢ

レベルⅢは、5〜7年程度の経験年数の助産師を想定しています。
このレベルの助産師は、予測的判断や潜在している問題についても対応できるようになるとともに、後輩の教育や指導を行うなど、職場内で適切なケアの提供に貢献する中心的なメンバーとして活躍することが求められます。
レベルⅢの到達目標は以下の6点です。

  1. 入院期間を通して、責任をもって妊産褥婦・新生児の助産ケアができる
  2. 助産師外来において、個別性を考慮し、自律したケアができる
  3. 助産師外来において、指導的な役割ができる
  4. 院内助産において、自律してケアができる
  5. ハイリスクへの移行を早期に発見し対処できる
  6. ウィメンズヘルスケアを自律して実践できる

レベルⅢでは、より高度な判断力と自律性が求められ、指導的な立場としての役割も期待されます。

レベルⅣ

レベルⅣの助産師には、自らが助産師としてのロールモデルとなり、教育・指導の役割を担うことが求められます。
このレベルの到達目標は以下の5点です。

  1. 創造的な助産ケアができる
  2. 助産師外来において、指導的な役割ができる
  3. 院内助産において、指導的な役割ができる
  4. ローリスク/ハイリスク事例において、スタッフに対して教育的な関わりができる
  5. ウィメンズヘルスケアにおいて、スタッフに対して教育的な関わりができる

レベルⅣの助産師は、高度な実践能力を持つだけでなく、組織全体の質の向上に貢献する役割を担います。

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助産師のクリニカルラダー認証を受けるとアドバンス助産師になれる

先述したクリニカルラダーにおいて、レベルⅢに認証されると、アドバンス助産師になることができます。
アドバンス助産師を名乗ることによって、助産師として必要な知識・スキルを有しており、自立した助産ケアを提供できることを対外的に証明できます。
2023年時点の認証者数は8,951名です。

アドバンス助産師の認証を受けることで、自身の専門性をより明確に示すことができ、キャリアアップの機会にもつながります。

アドバンス助産師の認証方法

アドバンス助産師の認証は、「一般財団法人 日本助産評価機構」のホームページから申請することができます。
新規申請料は5万円となっています。
申請対象者は、以下の3点を満たす者です。

  1. 満5年以上の実践経験を有する日本国助産師資格保持者
  2. CLoCMiPレベルⅢ認証新規申請要件をすべて満たしている
  3. 過去にCLoCMiPレベルⅢ認証取得経験なし

以下の4点の新規申請要件を満たし、施設承認を得ることが必要です。

  1. 総合評価:B(以上)
  2. 必須研修:21項目×90分
  3. 実施例数:分娩介助、健康診査等を指定の例数以上実施
  4. 学術集会:指定学術集会に1回参加

アドバンス助産師の認証は5年間有効であり、その後は更新が必要となります。
認証を受けることで、自身の能力を客観的に評価でき、継続的な学習と実践の動機づけにもなるでしょう。

クリニカルラダーを活用して助産師としてスキルアップしよう

助産師のクリニカルラダーは、専門職としての成長を支援する重要なツールです。
新人レベルからレベルⅣまでの段階的な目標設定により、自身の現在の位置づけと今後の課題が明確になります。
また、アドバンス助産師の認証をめざすことで、より高度な実践能力と専門性を身につけることも可能です。

クリニカルラダーの活用により、自己評価や他者評価を通じて客観的に自身の能力を把握し、計画的なスキルアップが可能となります。
継続的な学習と実践を重ね、助産師としての専門性を高めていくことが、質の高い母子ケアやウィメンズヘルスケアの提供につながるでしょう。

自身のキャリアプランに合わせてクリニカルラダーを活用し、着実にスキルアップを図っていくことをおすすめします。
専門職としての成長は、女性や母子の健康だけではなく、幸せな出産体験の実現に大きく貢献することでしょう。

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執筆者について

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