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家族看護とは?目的や看護師に求められることについて解説

この記事の監修者
ゆみさと
岩手県立大学看護学部を卒業後、血液内科・乳腺外科混合病棟にて勤務し、その後、透析クリニックに転職。
現在、看護師として働きながら、医療関係を中心にライターとしても活動中。

患者さんの治療や回復を支えるうえで、ご家族の存在は非常に重要です。
家族看護は、患者さんだけでなく、そのご家族全体をケアの対象とする看護アプローチです。
本記事では、家族看護の定義や目的、そして看護師に求められる役割について詳しく解説します。

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家族看護とは

家族看護とは

家族看護とは、ご家族全体を看護の対象とし、家族が本来持つ機能と健康に関するケア機能を高める援助を行うことを指します。
ご家族が病気や事故などで療養が必要になった際に、本来の家族の機能が働かなくなり、家族のバランスが崩れてしまうことがあります。
そのような状況下でも、家族自身がセルフケアを行い、本来の機能を取り戻せるよう支援することが家族看護の役割です。

家族看護では、患者さんの治療や回復だけでなく、ご家族全体の健康とウェルビーイングにも焦点を当てます。
これにより、ご家族の絆を強め、患者さんの回復をより効果的に支援することができるのです。
家族看護の実践には、家族システム理論や家族発達理論などの知識が必要とされ、看護師には高度なコミュニケーション能力と観察力が求められます。

家族看護の目的

家族看護には、大きく分けて二つの重要な目的があります。
ご家族の健康的な成長と発達を促すこと、そしてご家族の意思決定能力の向上を支援することです。
これらの目的を達成することで、患者さんとご家族全体の QOL(生活の質)を高めることができます。

ご家族の健康的な成長と発達を促す

家族看護の主要な目的の一つは、ご家族全体の健康的な成長と発達を促すことです。
看護師は、単にご家族の身体的な健康だけでなく、精神的・社会的な側面にも目を向けてご家族が健全に機能するよう支援する必要があります。

病気や事故は、患者さん本人だけでなく、ご家族にも大きなストレスです。
例えば、母親が入院してしまった場合、家族のなかで母親の役割を担う人がいなくなってしまい、子供の生活に影響します。

人は皆、家族内で役割を担っているため、病気や事故でその役割が果たせないことにより、家族全体が不安定な状態に陥りやすくなるでしょう。
そのため、看護師はご家族のセルフケア状況を確認し、適切なサポートを提供することが重要です。

具体的には、ご家族の睡眠状況や食事摂取状況を確認し、必要に応じて改善のアドバイスを行います。
精神的な安定を図るため、ご家族の気持ちに寄り添い、傾聴の姿勢を持って接することが大切です。
このようなサポートを通じて、ご家族全体のストレスや負担を軽減し、本来の家族機能を発揮できるよう援助していきます。

ご家族の意思決定能力向上を支援する

家族看護のもう一つの重要な目的は、ご家族の意思決定能力の向上を支援することです。
患者さんの治療やケアに関する重要な決定を行う際、ご家族が適切な判断を下せるよう支援することが看護師の役割となります。

看護師は、ご家族が患者さんの状況や治療の選択肢を十分に理解できるよう、わかりやすい説明を心がけます。
例えば、手術を受けた患者さんのご家族に対しては、術後の状態を詳しく説明し、今後の見通しを共有するようにしましょう。

また、医師からご家族への病状や治療方針の説明の際には、看護師が同席し、ご家族の表情を確認しつつ、「不明点はありますか?」「お気持ちはどうですか?」などとご家族の理解度を確認します。
不明点があれば、その場で質問を促し、適切な回答を得られるようサポートしていきましょう。

一方で、治療や疾患の説明は複雑であるため、ご家族が理解し受け入れていくために、一定の時間が必要なこともあります。
医師の説明後にも「もしわからないことがあれば、いつでもお声がけください」などとご家族に声かけし、ご家族が十分に情報収集できるような環境を整えてあげましょう。

このように、状況に応じたタイムリーな情報提供と、ご家族の理解度の確認を行うことで、ご家族の意思決定能力の向上を図ります。
これにより、患者さんにとって最善の治療やケアが選択されやすくなり、ご家族の満足度も高まるでしょう。

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家族看護において看護師に求められること

家族看護を効果的に実践するためには、看護師に特定のスキルや姿勢が求められます。
ここでは、家族看護において看護師に求められる重要な二つの要素について詳しく解説します。
これらのスキルを身につけることで、より質の高い家族看護を提供することが可能です。

ご家族もケア対象として考える

家族看護において、看護師に最も求められる姿勢は、患者さんだけでなく、ご家族全体をケアの対象としてとらえることです。
これは、家族システム理論に基づいたアプローチであり、ご家族全体の健康と機能を最適化することをめざします。

まず、看護師は患者さんの家族内での役割や、家族構造についての情報を収集します。
キーパーソンは誰か、家族内の意思決定プロセスはどのようなものかなど、ご家族とのコミュニケーションを通して、詳細な情報を把握することが重要です。
次に、患者さんの病状や ADL(日常生活動作)の変化にともなう、ご家族への影響をアセスメントします。

具体的には、ご家族の介護負担、精神的ストレス、経済的負担、そしてご家族の対応状況などの評価です。
この包括的なアセスメントにより、ご家族全体に関わる看護の問題を特定し、適切な看護計画を立案することができます。
この計画に基づいて、患者さんとご家族全体に対するケアを提供していきます。

信頼関係を築けるコミュニケーション能力

家族看護において、患者さんのご家族との信頼関係構築は非常に重要です。
そのためには、看護師に高度なコミュニケーション能力が求められます。
以下に、効果的なコミュニケーションを行うための3つのポイントを紹介します。

  1. ご家族に敬意を払いながら接する
    丁寧語を使用し、適切な挨拶を心がけることで、ご家族が看護師に話しかけやすい雰囲気を作りましょう。
    これにより、信頼感を得られ、ご家族の不安や疑問を遠慮なく表現してもらえるようになります。
  2. 患者さんの情報をタイムリーに伝える
    ご家族は常に患者さんの状態を気にかけています。
    看護師として、ご家族の立場や気持ちを理解し、積極的に入院中の様子や治療の進捗状況を伝えましょう。
    患者さんの状態を正確に知らせることは、ご家族の不安を軽減し、安心感を与えることにつながります。
  3. 傾聴の姿勢を保つ
    看護師が一方的に情報を伝えるだけでなく、ご家族の気持ちや意見に耳を傾けることが大切です。
    傾聴の姿勢を示すことで、ご家族は自身の感情や考えを表現しやすくなり、より深い信頼関係を築くことができます。

家族看護の視点で看護ケアを提供しよう

家族看護は、患者さんだけでなく、そのご家族全体をケアの対象とする重要なアプローチです。
看護師は、ご家族の健康的な成長と発達を促し、意思決定能力の向上を支援することを目的として、きめ細やかなケアを提供します。

家族看護の実践には、ご家族をケアの対象としてとらえる視点と、信頼関係を築くためのコミュニケーション能力が不可欠です。
これらのスキルを磨き、実践することで、患者さんとご家族全体の QOL 向上に貢献できるでしょう。
家族看護の視点を持つことで、より包括的で効果的な看護ケアの提供が可能となるのです。

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執筆者について

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