ナース服は、看護師にとって必要不可欠なものです。
そのデザインには複数の種類があり、昔と現在では傾向が異なります。
看護師が自身で服装を選ぶ際は、どのようなデザインのナース服が良いのか迷ってしまうこともあるでしょう。
今回の記事では、看護師の服装の歴史とともに、ナース服の選び方を紹介します。
目次
看護師の服装は昔と現在で異なる
看護師の服装は、昔と現在で主流となるデザインの傾向が異なります。
ナース服をはじめとする看護師の服装では、衛生面や機能面が重視され、現在では従来のものよりさらに仕事しやすいデザインが主流となっています。
具体的にどのような部分で変化があったのか見ていきましょう。
ナースキャップの廃止
昔は看護師の象徴でもあったナースキャップですが、 現在は多くの現場で廃止されています。
その理由として、以下の3つがあります。
- 衛生上の問題:
ナースキャップ特有の形を保つために「のり」が使用されています。
この「のり」に細菌が繁殖することがわかっており、かつナースキャップは毎日洗濯するものではないことから不衛生との指摘がされました。 - 男性看護師の増加:
男性看護師は年々増加傾向です。
ナースキャップは、女性向けにデザインされており、男性看護師は着用しません。
女性のみナースキャップをかぶることに、差別的だという意見があり、廃止につながりました。 - 動きにくさ:
ナースキャップをかぶることで、仕事中にナースキャップが引っかからないように注意する必要があります。
点滴棒や病室のカーテンなどにひっかかると医療事故を引き起こしてしまう懸念があり、看護師の動きにくさにつながっていました。
ワンピースからパンツスタイルが主流へ
ナース服は元々ワンピースが主流でしたが、現在はパンツスタイルが主流です。
看護師には、清拭や体位変換などの体を動かす仕事が多くあります。
ワンピースでは動きが制限されてしまい、動きにくさを感じてしまう場面もあるでしょう。
パンツスタイルであれば動きが制限されないうえ、体勢などを気にする必要もありません。
また、先述した男性看護師の増加も、パンツスタイルへの移行を加速させた要因でしょう。
白のみではなくカラーのユニフォームが登場
ナース服は白色が定番でしたが、最近ではカラーのユニフォームが誕生しています。
背景として「白衣高血圧症」という症状が関連します。
医療従事者は白いユニフォームを着用している傾向から、「白」が病院のイメージとなってしまい、白色の着衣を見ると患者さんの血圧が通常より高くなってしまうのが「白衣高血圧症」です。
この症状によって、正しく血圧が測定できないケースもありました。
カラーのユニフォームを着用することにより、「白衣高血圧症」が現れにくくするのが狙いです。
また、カラーのユニフォームは、手術時に血液の「赤色」を見続けた看護師や医師の視界に、残像が残ってしまうことを和らげる効果も期待されています。
サンダルからスニーカータイプの靴へ
看護師のシューズも昔はサンダルが主流でしたが、近年はスニーカータイプのシューズに変化しています。
看護師は立ち仕事が多く、サンダルよりもスニーカーのほうが疲れにくいうえに動きやすいことから、徐々に移行してきました。
看護師は注射器の針なども扱うため、サンダルでは怪我をしてしまうリスクも上がります。
安全性の面で、サンダルではなくスニーカータイプのシューズを指定している病院もあるため、病院の服装規定を確認しておきましょう。
看護師の服装にはどのような種類がある?
ナース服には、主に以下の4タイプの服装があります。
- ワンピース
- ツーピース
- ケーシー
- スクラブ
自身でナース服を選ぶ際は、どれにしようか迷ってしまう場合もあるでしょう。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
ワンピース
ワンピースは、昔からあるナース服の定番です。
ワンピースの形や色によって少しずつ印象は変わりますが、Aラインの形であれば女性らしいやわらかな優しいイメージを与えられるでしょう。
1枚で着られるためパンツスタイルと比べて着用もしやすく、腰回りもカバーしてくれます。
下半身が気になる方や、シルエットをきれいに見せたいと考えている方にもおすすめです。
妊娠中の方でも着用しやすいでしょう。
美容クリニックやエステサロンが取り入れる傾向にあります。
ツーピース
ツーピースは、現在主流となっているタイプのナース服です。
襟付きのトップスを選べば、きちんと感も出やすく誠実な印象を与えられるでしょう。
多くの場合パンツスタイルであり、どのような職場でも動きやすさを叶えられます。
上下に分かれていますが、基本的に上下セットになっているため、合わせるものを選ぶ手間もいりません。
ケーシー
ケーシーは、ツーピースと同様に上下セパレートになっているナース服で、パンツスタイルが基本です。
襟の部分が短いタートルネックとなっているデザインが主流であり、Vネックではなく、肩でボタンを止めるタイプとなります。
シンプルなデザインのため、女性・男性問わず着用でき、フォーマルできちんとした印象を与えてくれるでしょう。
名前にあまり馴染みがないかもしれませんが、1960年代にアメリカで放送された医療ドラマの主人公である「ベン・ケーシー」が名前の由来となっています。
スクラブ
スクラブは、元々手術室などで取り入れられていましたが、動きやすく使い勝手が良いことから、病棟など他の医療現場にも取り入れられるようになりました。
Vネックで半袖のため、よりカジュアルな印象を与えられるうえ、ゆったりと着られて服による締め付けも感じにくいです。
素材が丈夫であり耐久性があるため、洗濯しやすい、取り扱いやすいメリットがあります。
カラーバリエーションも豊富なので、よりカジュアルに着こなしたい、自分の好きな色の服装を選びたい人におすすめです。
一方で、スクラブには男女兼用のものもあり、サイズが合っていないと清潔感を欠いてしまうかもしれないため、サイズ選びには注意しましょう。
可能であれば、店舗にて試着をしたり、インターネットで購入する場合にはご自身のサイズを測定し、スクラブのサイズと合わせておくと安心です。
看護師が服装を選ぶ際に気をつけたいポイント
ナース服は看護師の仕事において、必要不可欠なものです。
購入後に「こんなはずではなかった」と、後悔しないように服装を選びましょう。
納得してナース服を選ぶことで、気分が上がり、仕事のやる気にもつながるでしょう。
以下では、看護師が服装を選ぶときの注意点を紹介します。
ナース服編
ナース服は、看護師として仕事を行う際に必要不可欠です。
ナース服を選ぶ際は以下のポイントを確認すると良いでしょう。
- 動きやすさを確認する
- 手入れのしやすさを確認する
- 透けにくさを確認する
動きやすさを確認する
看護師は、採血や静脈注射などの医療行為や清拭・体位変換などのケアを行うため、さまざまな場面で大きく体を動かします。
サイズの合わないナース服や、サイズは合っていてもデザインによって窮屈な部分があるナース服では、屈んだりひざまずいたりなどの体勢によっては、動きにくさを感じる可能性もあるでしょう。
店舗に行ける場合は試着をして、肩を回す・屈む・少し走ってみるなどの動作を行い、動きやすいかどうか確認しておくと安心です。
インターネットなどで購入する場合は、部分ごとのサイズや素材、クチコミなどを確認し、伸縮性の有無を含めた着心地を確認すると良いでしょう。
手入れのしやすさを確認する
ナース服は毎日着用するものであり、着用のたびに自身の汗や目に見えないほど少量の血液・体液などが付着する可能性があります。
感染対策の面からも、着用のたびに洗濯することが必要です。
そのため、お手入れのしやすさも確認すると良いでしょう。
職場によっては、自身でナース服を洗濯しなければいけない可能性もあります。
仕事で疲れて帰ったあとに、「明日のナース服が乾いていない」「洗濯によるしわを伸ばすためにアイロンをかけないといけない」などという状況を、負担に感じてしまうかもしれません。
素材に速乾性はあるか、洗濯でシワになりにくいか、といった視点からも選ぶようにしましょう。
透けにくさを確認する
白色はナース服の定番ですが、素材によっては透けてしまう可能性があります。
立っている状態であれば問題なくても、屈んだときに下着のラインが見えてしまったり、カラーのインナーが透けてしまうこともあるでしょう。
患者さんから指摘されたり、鏡を見た瞬間に気付いて恥ずかしい思いをしたりするのは避けたいものです。
加えて、透けるナース服では、だらしない印象を与えてしまうことになりかねません。
ネイビーやワインレッドのような透けにくいカラーを選んだり、透け防止機能がついているナース服を選ぶと良いでしょう。
下着編
下着が透けないようにするためには、ナース服だけでなく下着の工夫も大切です。
透けやすくなる華美なブラジャーは避けたり、キャミソールやタンクトップを着用したりなど、透けないように工夫しましょう。
下着やキャミソール、タンクトップは、目立ちづらいベージュや黒、グレーなどの色がおすすめです。
また、下着のラインも工夫によって透けにくくなります。
下着の上から黒のスパッツやペチコート、フレアパンツなどを履くと良いでしょう。
看護師は機能重視で服装を選ぼう
看護師の服装選びは、仕事のしやすさに直結するため重要です。
現在は、機能性を重視したデザインが主流になっており、各メーカーでさまざまな工夫が凝らされたナース服が販売されています。
自身の好みに合わせつつ、動きやすく手入れもしやすい服装を選びましょう。