歯科技工士は、歯科医師の指示によって人工の歯(技工物)を作ったり、修繕したりする仕事です。
近年は3Dプリンターをはじめとする新しい技術の登場によって、「歯科技工士の仕事がなくなるのではないか」という意見も目にするようになり、不安視する方もいるのではないでしょうか。
この記事では歯科技工士の仕事がなくなる可能性について解説したうえで、歯科技工士の将来性についても触れていきます。
歯科技工士に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
目次
歯科技工士は今後いなくなる?
結論からいうと、歯科技工士の仕事がなくなる可能性は低いでしょう。
なぜなくならないかを解説する前に、まずは歯科技工士の現状として、以下の2つの事柄を紹介します。
- 歯科技工士減少の実態
- 新たに歯科技工士になる人が減少している理由
歯科技工士減少の実態
歯科技工士の人数は、2000年が37,244人と最も多く、2020年の時点では34,826人で、それほど大きな変化はありません。
しかし、20代から40代の、若い世代の歯科技工士は圧倒的に減少しています。
1990年には25歳未満が4,140人いたのに対し、2020年には1,636人に減少しています。
45歳未満はいずれの年齢も減少している一方で、45歳以上の数が増えているのが特徴です。
人数が減っていないのは30年前に若者だった人たちが現役で働いているからであり、新たに歯科技工士になる人は大きく減っています。
新たに歯科技工士になる人が減少している理由
次に、歯科技工士が減少している理由を見ていきましょう。
一つ目の理由は、少子化の影響です。
若年層の母数が増えることは当面見込めないため、新たに歯科技工士を志望する人材の数も、必然的に減っていくでしょう。
二つ目の理由は、歯科技工士養成施設の減少です。
歯科技工士養成施設は1991年には72校ありましたが、2019年には47校にまで減ってしまいました。
それに従い、入学者数も3,155人から927人に減っています。
歯科技工士の年収について詳しく知りたい方は、次の記事を参考にしてください。
歯科技工士の未来・将来性は?
ここからは歯科技工士の未来や将来性について、以下の2つを解説します。
- すでに機械化は進んでいる
- スキルの高い歯科技工士の需要は今後もあると考えられる
すでに機械化は進んでいる
歯科技工士の業務はすでに機械化が進んでおり、3DプリンターやCAD/CAMなどの機械によって技工物が作成されています。
機械を利用すれば、従来は手作業で行われていた被せ物や入れ歯の作成を、より早く、より簡単に行うことが可能です。
今後、機械化がますます進むなかで、これらの機械を扱える歯科技工士が必要とされることが考えられるため、歯科技工士にはまだまだ将来性があるといえるでしょう。
スキルの高い歯科技工士の需要は今後もあると考えられる
前述のとおり、歯科技工士の業務の機械化は進んでいます。
ですがその一方で、手作業のスキルが高い歯科技工士には一定の需要が残るでしょう。
熟練の歯科技工士が手作業で作る技工物は非常に精巧です。
歯科医師ごとの削り方のクセに対応したり、周囲の歯と色を合わせて技工物だとわからなくしたりといった技術は、機械ではまだ再現できないものです。
よって今後は、機械を扱える歯科技工士と、手作業のスキルが高い歯科技工士とで、需要が二分されていく可能性があります。
歯科技工士がいなくなるとは限らないが将来的に続けるためにスキルは大切
歯科技工士養成校の減少や少子化によって、歯科技工士は将来的に減少するでしょう。
しかし、今後も進むであろう機械化によって、従来とは異なるスキルを必要とされながらも、歯科技工士の需要は残り続ける可能性があります。