「歯科医院の数はコンビニよりも多い」といわれていて、歯科医師の需給は問題視されています。
この記事では、歯科医師の人数は本当に過剰なのか、過剰だとしたらどの程度多いのかを、総数や男女比、地域別の人数などを参考に解説します。
歯科医師の仕事に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
目次
全国の歯科医師の人数

ここではまず、全国的な歯科医師の人数として、以下の3つを紹介します。
- 歯科医師の総数
- 歯科医師の男女比
- 歯科医師の人数の推移
歯科医師の総数
厚生労働省の統計によると、令和2年度の時点で、歯科医師の総数は107,443人、うち医療機関に勤める歯科医師は104,118人でした。
人口10万人あたりに対する歯科医師の人数は85.2人となります。
日本歯科医師会は、人口10万人に対する歯科医師数は50人台が適正だとしているため、現在の人数は過剰だといえるでしょう。
歯科医師の男女比
令和2年度の時点で、歯科医師の男性は80,530人、女性は26,913人となっています。
男性は約75%、女性は約25%であり、圧倒的に男性が多い傾向です。
歯科医師の人数の推移
昭和57年の歯科医師数は58,362人でしたが、平成22年には101,576人となっており、10万人を突破しています。
その後も増加をし続けており、前述したとおり令和2年には107,443人になりました。
この結果から歯科医師は急速に増えているイメージを持つかもしれませんが、1年毎の増加率を見ると意外な結果が出てきます。
歯科医師の増加率は、昭和59年には翌年は8.2%ですが、以降下がり続け、平成30年には0.4%になりました。
なお令和2年には増加率がやや伸び、2.4%となっています。
年齢別の歯科医師の人数
ここからは年齢別に歯科医師の人数を見ていきましょう。
| 総数 | 104,118人 |
| 29歳以下 | 6,116人 |
| 30〜39歳 | 18,060人 |
| 40〜49歳 | 21,306人 |
| 50〜59歳 | 23,769人 |
| 60〜69歳 | 23,136人 |
| 70歳以上 | 11,731人 |
上表のように、50〜59歳の23,769人が最も多く、次に60〜69歳の23,136人が多くなっています。
前述した増加率と併せて考えると、増加率が高い時期に歯科医師になった人が現役で働いているためといえるでしょう。
施設別・診療科別の歯科医師の人数
次に施設別・診療科別の歯科医師数を紹介します。
| 施設別 | 人数 |
| 病院 | 3,230人 |
| 医育機関附属の病院 | 9,099人 |
| 診療所 | 91,789人 |
施設別の歯科医師数は、診療所が91,789人と圧倒的に多くなっています。
以下は医療施設に従事する歯科医師の主な診療科の人数です。
| 診療科別 | 人数 |
| 歯科 | 89,717人 |
| 矯正歯科 | 4,274人 |
| 小児歯科 | 2,011人 |
| 歯科口腔外科 | 4,413人 |
| 臨床研修歯科医 | 1,987人 |
診療科別では、歯科で働いている人が多いです。
以下は医療施設に従事する歯科医師で、複数回答をした人の人数です。
| 診療科別 | 人数 |
| 歯科 | 94,022人 |
| 矯正歯科 | 22,502人 |
| 小児歯科 | 42,144人 |
| 歯科口腔外科 | 30,756人 |
| 臨床研修歯科医 | 1,987人 |
2つ以上の診療科に従事している人が多くいることがわかります。
地域別の歯科医師の人数

最後に、地域別の歯科医師数を表で紹介します。
| 都道府県 | 人数 |
| 北海道 | 4,418人 |
| 青森 | 735人 |
| 岩手 | 1,016人 |
| 宮城 | 1,896人 |
| 秋田 | 619人 |
| 山形 | 678人 |
| 福島 | 1,405人 |
| 茨城 | 1,979人 |
| 栃木 | 1,387人 |
| 群馬 | 1,421人 |
| 埼玉 | 5,575人 |
| 千葉 | 5,221人 |
| 東京 | 17,245人 |
| 神奈川 | 7,605人 |
| 新潟 | 2,076人 |
| 富山 | 650人 |
| 石川 | 739人 |
| 福井 | 465人 |
| 山梨 | 592人 |
| 長野 | 1,658人 |
| 岐阜 | 1,735人 |
| 静岡 | 2,376人 |
| 愛知 | 6,159人 |
| 三重 | 1,180人 |
| 滋賀 | 838人 |
| 京都 | 1,973人 |
| 大阪 | 8,184人 |
| 兵庫 | 4,141人 |
| 奈良 | 957人 |
| 和歌山 | 727人 |
| 鳥取 | 369人 |
| 島根 | 409人 |
| 岡山 | 1,807人 |
| 広島 | 2,612人 |
| 山口 | 991人 |
| 徳島 | 849人 |
| 香川 | 739人 |
| 愛媛 | 943人 |
| 高知 | 497人 |
| 福岡 | 5,672人 |
| 佐賀 | 617人 |
| 長崎 | 1,203人 |
| 熊本 | 1,377人 |
| 大分 | 740人 |
| 宮崎 | 731人 |
| 鹿児島 | 1,352人 |
| 沖縄 | 885人 |
歯科医師の人数だけ見た場合、人口の多い大都市が多い傾向です。
人口10万人に対する歯科医師数は全国では85.2人となっており、最も多いのは東京の122.8人、次いで徳島の118人です。
一方で、最も少ないのは滋賀県の59.3人、次いで青森の59.4人となっています。
人口10万人に対する理想的な歯科医師数が50人だとすると、現在は都市部で大きく過剰となっており、地方でも充分な人数が確保されている状況です。
歯科医師の人数を把握して自分の将来を見据えよう
現在、歯科医師の人数は過剰な状態です。
人口10万人あたりの歯科医師の人数は令和2年の時点で80人以上となっており、理想とされる50人台を大きく上回っています。
しかし、歯科医師の人数が過剰だからといって、歯科医師をめざすのを諦めるのではなく、質の高い技術を提供し続けることが役目でもあります。
これから歯科医師をめざしたい方は、今後どんな技術が求められるのか、医療業界がどう変化していくのかなどを見ながら、自身にとって最適な道を選びましょう。
