
病院は、一般的な企業と比べると倒産数が少ない傾向にあります。
しかし、病院数自体は右肩下がりの傾向にあるため、まったく倒産しないとは限りません。
では、どのような場合に病院は経営破綻に陥るのでしょうか。
この記事では、病院の倒産件数と、経営破綻に陥る理由を解説します。
診療所(クリニック)の経営が気になる方はこちらの記事をご覧ください。

目次
病院の倒産件数の推移
帝国データバンクの「医療機関の倒産動向調査」によると、病院の倒産件数は決して多いものではありません。
2021年には、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、診療所の倒産が前年比の1.8倍まで増えましたが、病院の倒産件数はわずか1件のみで、前年比よりも3件減っています。
しかし、厚生労働省の「医療施設調査」によると、病院数は緩やかな減少傾向が続いているため、倒産の可能性がゼロとはいえません。
最も多かった1990年には10,096件ありましたが、2022年時点では8,156件となっており、32年間で1,940件の減少となっています。
病院が経営破綻に陥る理由
病院が経営破綻に陥る主な理由は、以下のとおりです。
- 患者数の減少による赤字経営
- コンプライアンス違反による存続危機
それぞれ見ていきましょう。
患者数の減少による赤字経営
患者数の減少によって、病院が経営破綻に陥るケースが見られます。
患者数が減少する背景にあるのは、人口の減少や、コロナ禍による受診控えなどです。
外来患者の減少に対処した実例として、病院統合・業態変更が挙げられます。
地域ニーズにあった施設・業態変更で、外来患者を確保できる場合もあるでしょう。
コンプライアンス違反による存続危機
病院に不正受給や情報漏洩といったコンプライアンス違反があると、患者さんからの信頼を失って集患ができなくなり、経営破綻に陥る場合があります。
情報漏洩の対策方法は、事例からどのような場合に情報漏洩が起きているのかを知ることが大切です。
置き忘れや紛失、持ち出しなどの情報漏洩のきっかけを知って、自院にあわせた対処法を行いましょう。

病院の経営破綻による廃業率は高くはない
一般的な企業と比べると、病院の経営破綻による廃業率は高くはありません。
しかし、令和4年10月時点のデータでは、一般病院のうち療養病床を有する病院が57施設減少しているなど、減少の傾向にあります。
これは療養病床を有する病院全体の1.6%にあたり、高い割合ではありません。
とはいえ、病院数のみに注目すると、減少傾向にあることも事実です。
病院が経営破綻するさまざまな要因について理解しておこう
今回は、病院の倒産件数と、経営破綻に陥る理由を解説しました。
病院の経営破綻は、一般企業に比べると少ない水準ですが、病院数は減少傾向です。
病院が経営破綻に陥る理由としては、患者数の減少や、コンプライアンス違反などによる経営の悪化が挙げられます。