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クリニックが経営難になる原因は?廃業率や対策も紹介

クリニックの経営難は、多くの医師や経営者にとって切実な問題です。
しかし、クリニックの経営難は突然訪れるのではなく、潰れるクリニックにはいくつかの兆候が見られます。

この記事では、経営難で潰れるクリニックの特徴を解説し、対処法を紹介します。
この記事を読めば、経営の危機を未然に防ぎ、医療市場での生き残りをかけた戦略を練ることができるでしょう。

クリニックが経営難で潰れる原因は?

クリニックが経営難で潰れる原因は?

クリニックが経営難で潰れる主な原因は、以下の6つです。

  • 資金繰りがうまくいかない
  • 後継者がいない
  • 医師の知識・スキルが不足している
  • 利便性が悪い
  • スタッフ同士の人間関係が悪い
  • 広報活動に力を入れていない

ここからは、上記の原因について詳しく解説します。

資金繰りがうまくいかない

資金の管理がうまくできていないクリニックは、潰れる恐れが高いといえます。
クリニックを開業する医師は、経営に関する経験がほとんどない、もしくは、まったくないというケースが少なくありません。
そのため、経営に必要な資金の管理がうまくいかないケースがあります。

さらに、高価な医療機器を次々と導入して、お金を使い果たしてしまうケースも考えられるでしょう。
開業したばかりのときは必要な機器だけ導入したり、資金に見合った物件を選んだりして、支出を抑えることが大切です。

開業医は医師であり経営者でもあります。
経営者としての能力が不足している場合、第三者にマネジメントを一任するのも一つの手です。

後継者がいない

クリニックの院長が高齢の場合、引き継いでくれる医師がいないとクリニックは潰れてしまいます。
医師の高齢化や後継者不足が原因で、閉院してしまうことも珍しくありません。

令和4年に厚生労働省が発表した「令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」によると、診療所(クリニック)に従事する医師の平均年齢は60.2歳です。
病院(大学病院は除く)に勤務している医師の平均年齢が47.2歳であることからも、クリニックの医師の平均年齢は高いです。

クリニックを継続する場合は、できるだけ早い段階で後継者を見つける必要があります。

医師の知識・スキルが不足している

医師の知識・スキルが不十分なことも、クリニックが閉まる一因です。
ほかに通えるクリニックがある場合、患者さんは自分に合った安心できるクリニックを選ぶことができます。
選ばれなかった場合は患者さんが分散してしまい、クリニックの経営が困難になることも考えられます。

また、医療に対する知識・経験不足によって医療ミス・判断ミスが起きるリスクも否めません。
仮に一度でもそのようなことが起きてしまうと、患者さんからの信頼を失い、医院の存続が危ぶまれることになってしまいます。

利便性が悪い

クリニックの利便性が悪いと患者さんにとっては通院しにくいため、倒産する恐れがあります。
質の良い医療を受けられるとしても、通院が大変だと患者さんが足を運ばなくなることも考えられるからです。

例えば、クリニックの周辺にバス停がなかったり、車の進行方向に対して逆車線にクリニックがある場合、利便性が悪いといえます。
駅から近く交通アクセスが良好なエリアであっても、競合が多ければ集患が難しくなりがちです。

スタッフ同士の人間関係が悪い

クリニック内の人間関係が悪いとスタッフの退職につながったり、内部の雰囲気の悪さが患者さんへ伝わったりするでしょう。
クリニックの雰囲気が原因で患者さんの数が減ると、倒産につながる恐れがあります。

また、スタッフの採用は時間とコストがかかるうえに、新人スタッフが業務を覚えるまで指導が必要です。
スタッフの出入りが激しい環境のままだとクリニックの運営も安定しないため、スタッフが長く働けるよう工夫をしましょう。

広報活動に力を入れてない

集患がうまくいかなければ、クリニックが倒産するリスクは高まります。
たとえ外観や内装が美しいクリニックを建て、優秀な医師が在籍していたとしても、近隣住民に存在を知られなければ、その価値は十分には発揮されないからです。

地元の人たちに情報を知ってもらうためには、チラシ配布やWebサイトでの告知が必要です。
患者さんとなり得る方の年齢・性別に合わせて広報活動を行うとなお良いでしょう。

クリニック経営難による廃業率はどのくらい?

厚生労働省の調査によると、令和3年10月1日~令和4年10月1日の1年間で廃業したクリニックは6,697件です。
令和3年10月1日時点でのクリニックの件数は104,292件であるため、年間約6.4%のクリニックが廃業していることになります。

クリニック経営難による廃業率はどのくらい?

出典:令和4(2022)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況 p7 表2  施設の種類別にみた施設数の動態状況

また、東京商工リサーチが2022年(令和4年)に行った調査によると、クリニックが倒産する原因で最も多かったのは「販売不振(売り上げ不振)」で、約36.4%を占めています。
次に多かった「放漫経営」が約22.7%、「信用性低下」「他社倒産の余波」「往来のシワ寄せ」が同率3位で約9.1%という結果になりました。

潰れないクリニック経営のポイント

潰れないクリニック経営のポイント

クリニックが潰れる原因は多くありますが、これらは事前に対策できます。
「クリニックの廃業を防ぎたい」と思っている方は、以下で紹介する経営のポイントを押さえ、実行しましょう。

入念な事業計画づくり

クリニックを潰さないためには、入念な事業計画づくりが必要です。
詳細な事業計画があると、計画の達成具合を定期的に確認しながらクリニックの運営ができます。

事業計画とは「クリニックの開業を成功に導くためのプラン」のことを指し、以下の3つから構成されます。

  • 経営基本計画
  • 資金計画
  • 収支計画

経営基本計画では、クリニックの経営理念や売り上げ戦略、開業場所など経営の土台となる部分のプランを立てます。

例えば「地域の幅広い世代に対応し、かかりつけ医として機能する内科クリニック」など、経営方針を明確にしましょう。

資金計画・収支計画とは、建物や医療機器などにかかる資金調達や開業にかかる諸経費に関するプランです。
開業したあとの収入・支出、資金の集め方だけでなく、実際に手元にあるお金にも注意を払い、詳細をリストアップして徐々に具体化していきましょう。

開業地の調査

クリニックを開業する際、開業地の調査は非常に重要です。
一度選んだ場所は簡単には変更できないため「その地域に愛され、理想の医療を提供し続けることができるか」を検討しましょう。

例えば、都心や駅前はアクセスが便利である一方で、競合が多く、家賃や土地代が高額です。
反対に、郊外や住宅地は競合が少なく運営コストも低いですが、アクセスが難しかったり、患者さんが集まりにくいかもしれません。

また、診療科や競合医療機関の情報も考慮しましょう。
例を挙げると、産婦人科は女性が多いエリア、整形外科は高齢者が多いエリアが適しています。

加えて、既存のクリニックが不評であったり、主治医が高齢だったりすると患者さんが新しく開業するクリニックに流れるケースもあるため、その点も考慮に入れましょう。

継続して知識・スキルを身につけること

クリニックの医師は、開業後も絶え間ない知識・スキルの向上が求められます。
患者さんから信頼を獲得し、なおかつ集患を成功させるには高品質の医療サービスが欠かせません。
ほかのクリニックとの差別化を図り、専門医としてのスキルも磨くことが重要です。

同時に、開業医は医療だけでなく経営の知識も身につけなければなりません。
売上を確保するためのマーケティング施策やスタッフのマネジメント、集患施策、行政機関への届出など多岐にわたる業務をこなす必要があります。

スタッフの育成

クリニックの経営難を避けるには、スタッフの育成にも力を注ぎましょう。

クリニックの理念や院長の想いを共有し、同じ目標に向かうスタッフを採用すると、サービスの質が向上します。
スタッフの育成が進むと、院長の業務負担も軽減できるでしょう。

また、スタッフ同士の人間関係にも注意が必要です。
先輩スタッフによるパワハラやモラハラは、新人スタッフの離職につながりかねません。
問題が発生したときに速やかに院長へ相談できるルートをスタッフに周知し、気兼ねなく声をかけてもらう仕組みを構築しましょう。

広報活動

クリニックの知名度を上げるには、広報活動が欠かせません。
具体的な広報手段として、以下の7つが挙げられます。

  • ポスティング
  • ポスター
  • 電柱看板
  • 駅の案内看板
  • 紙媒体広告
  • ホームページ
  • SNS

病院の広報では「ターゲティング」が重要です。
患者さんや地域住民、医療機関、職員向けに情報を発信しましょう。
ターゲットの年齢層に適したメディアを選定すると、広報活動の更なる効果が期待できます。

第三者への医療継承

クリニックの後継者がいない場合は「第三者継承」を行いましょう。
第三者継承とは、親族外の第三者に医院を引き継ぐ方法です。
医院を継承する場合、原則として内装や建物はそのまま引き継げるため、廃業時の手間やコストが不要になります。

医療継承を行うと、患者さんから信頼を得たスタッフを維持できます。
したがって、患者さんがほかのクリニックに流れるのを防ぎ、地域医療基盤を保てるでしょう。

また、第三者継承した医師は不動産や設備機器の評価に基づき、譲渡金を受け取れます。
譲渡金を受け取れば、リタイア後も充実した生活ができるでしょう。

クリニックが経営難で厳しい状況に陥らないための対策をしよう

クリニックの資金繰りがうまくいかなかったり、後継者がいなかったりすると経営難に陥り、廃業する恐れがあります。
ほかにも、医師の知識・スキル不足や利便性、スタッフの人間関係、低い知名度などもクリニックの経営状況が厳しくなる原因です。
クリニックの経営難・廃業を防ぐには、開業前に事業計画づくりや開業地の調査を入念に行いましょう。
開業したあとも継続的に知識・スキルを磨いたり、スタッフの育成や広報活動に力を入れたりすると経営難を避けられます。

また、身内がクリニックの跡を継がない場合は、第三者への医療継承を欠かさず行いましょう。

執筆者について

情報かる・けるは、医療・介護従事者として働いている方や、これから目指す方の「知りたい」に応えるメディア。 全国80,000件以上の求人を扱う弊社スタッフが、編集部として情報発信! “いい仕事が見つかる・いい仕事を見つける”ための、有益なコンテンツをお届けします。 https://x.com/karu_keru

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