
クリニックの開業・経営に必要な資格は医師免許だけですが、それ以外にも取得しておくと役に立つ資格がいくつか存在します。
この記事ではクリニックの開業に必要な資格と、集患・経営に役立つ5つの資格を紹介します。
開業を検討している方や、準備中の方、現在経営者として活躍中の方はぜひ参考にしてください。
目次
クリニックの経営を始めるのに必要な資格
冒頭で述べたとおり、クリニックの開業に必要な資格は「医師免許」だけです。
医師免許を持っていれば、経験年収や経歴に関係なく、誰でも病院・クリニックを始められます。
しかし、医師免許を持っているからといって、経営の知識がない状態で開業してしまうと、順調に経営を続けることは難しいでしょう。
開業する前に、後述する資格の取得をとおして、マネジメント能力やお金の知識を身につけておくのがおすすめです。
クリニックの経営については、以下の記事でより詳しく紹介しています。

クリニックの経営に役立つ資格
続いて、クリニックの経営に役立つ資格を5つ紹介します。
- 医療経営士
- 医業経営コンサルタント
- 病院経営管理士
- 防火管理者
- 専門医
一つずつ見ていきましょう。
医療経営士
医療経営士の資格は、一般社団法人日本医療経営実践協会が認定している資格です。
1級~3級まであり、等級ごとの学習内容と対象者は以下のとおりです。
等級 | 対象者 | 学習内容 |
1級 | 理事長、院長、事務長 | 医療経営に関する高度な専門知識・能力および実践・実行力 |
2級 | 中堅職員・管理職 | 医療経営に関する専門知識および問題解決能力 |
3級 | 医療機関新入職員 | 医療の基礎知識・倫理、モラル 医療経営学の基礎知識 |
クリニックを経営するのであれば、1級の取得をおすすめします。
1級や2級を受験するためには1つ下の級に合格し、正会員に登録しなければなりません。
1級取得までは時間がかかるため、クリニックの開業を検討している方は、早めに受験しておきましょう。
医業経営コンサルタント
医業経営コンサルタントは、公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会で認定している資格です。
医業経営コンサルタントは以下の5つの業務を行います。
- 経営診断
- 経営管理支援
- 経営戦略支援
- 介護サービス事業展開支援
- 個別経営課題支援
これらの知識については、資格を取得する課程で学べるので、開業後のクリニック経営に役立ちます。
集患や経費削減、資金調達の方法、税務会計のルールなどは、医師として働いているだけでは学ぶ機会のない分野ですが、開業医には必須ともいえる知識です。
病院経営管理士
病院経営管理士は、一般社団法人日本病院会が定めている資格で、医師や事務職だけでなく、看護師や薬剤師などの医療従事者が取得しています。
資格取得には、2年間の通信教育(対面のスクーリングを行う場合もあり)を受け筆記試験・卒業論文を提出し、卒業と認められれば病院経営管理士と認定されます。
2年間で受講する内容は以下のとおりです。
科目 | 内容 |
医療関連科目 | 医学概論 感染管理 医事紛争など |
経営管理科目 | 組織管理論 統計解析実践法 病院経営分析など |
経営管理演習 | 組織管理演習 マーケティング演習 財務管理演習など |
特別講座 | 病院機能評価概論 先進医療概論 医療(病院)情報システム管理 |
病院経営管理士を取得した約96%の方が受講後役に立ったと感じており、自己の成長と自覚や業務に対する姿勢と成果の向上を感じたと答えています。
クリニックを経営するうえで、取得する価値の高い資格といえるでしょう。
防火管理者
防火管理者は、多くの方が利用する建物の火災による被害を防止するための消防計画を作成し、防火管理業務を計画的に行う責任者です。
消防法により、防火管理者を選任し防火管理業務を行わなければならないと定められています。
防火管理者の選定基準は以下の2つです。
- 防火管理業務を遂行できる管理・監督的地位にある
- 防火管理講習修了者
病院長以外の方でも、上記を満たしていれば防火管理者になれますが、退職した際に再度選定する手間が発生します。
そのため、病院長が防火管理者として対応するのが無難です。
防火管理者の選定はクリニックでは必須ですので、防火管理講習を忘れず受講しておきましょう。
専門医
専門医は日本の医師免許取得者の90%以上が取得している資格で、診療科ごとに研修プログラムが用意されています。
専門医は取得後も5年ごとに更新が必要で、更新認定基準を満たせなければ資格を喪失してしまいます。
専門医になると、高度な医療知識と技術を証明できるため、受診を考えている患者さんへのアピール材料として効果的です。
集患に役立つ資格なので、取得し更新を忘れないようにしましょう。
クリニック経営の資格に関するよくある質問
続いて、クリニック経営の資格に関するよくある質問2つに回答していきます。
- クリニックを経営・開業するには医師免許が絶対に必要?
- クリニック経営には資格以外で何が重要?
順番に見ていきましょう。
クリニックを経営・開業するには医師免許が絶対に必要?
医師以外でも、以下の3つの方法により、クリニックの経営者になることは可能です。
- 医療法人を設立する
- メディカルサービス法人として運営する
- 一般社団法人を設立する
この場合、病院長のポジションは他の医師の方にお願いし、自身は経営を担当することになります。
この方法のメリットは、クリニックの経営と診療を分担できる点です。
医師は診療や診察のエキスパートですが、経営においては素人です。
医師が苦手な部分を経営者が担当すれば、病院長は得意分野に集中できます。
しかし、経営方針や集患方法など、経営者と病院長の方向性や意思疎通がうまくいかない場合は、経営がうまく行かないおそれもあります。
悪い結果を招かないように、病院長の選定は慎重に行いましょう。
医師以外の方が病院を経営するための方法については、以下の記事でより詳しく紹介しています。

クリニック経営には資格以外で何が重要?
クリニック経営には、今回紹介した資格取得も重要ですが、それ以外にも以下のような知識やスキルを身につけておくと良いでしょう。
スキル | 詳細 |
マーケティング | 開院する立地選択や集患方法に役立つ |
スタッフマネジメント | 受付や医療事務などのスタッフ選定、および教育に役立つ |
コミュニケーション | 患者さんのリピート率向上に重要 |
人事労務・税務管理 | スタッフが長期間働ける職場づくりに必要 |
クリニックを経営・開業するのに必要な資格は医師免許のみ
クリニックを経営・開業するのに必要な資格は医師免許のみです。
しかし、クリニックの経営には医師としてのスキルだけではなく、経営スキルを身につける必要があります。
医師が開業するにあたって、おすすめの資格は以下の5つです。
- 医療経営士
- 医業経営コンサルタント
- 病院経営管理士
- 防火管理者
- 専門医
スキルや知識、それを証明する資格を取得して、クリニックの開設をめざしましょう。