この記事を読んでいる方のなかには「ケアマネジャーは今後も必要とされるだろうか」と不安に思っている方もいるでしょう。
ケアマネジャーとして働くうえで、将来性や今後の動向はチェックしておきたいトピックです。
本記事では、ケアマネジャーの需要や将来性について解説します。
また、ケアマネジャーの現状と、今後ケアマネジャーに求められることも紹介するので、ぜひご覧ください。
目次
ケアマネジャーは今後どうなる?
日本社会はさらなる高齢化が予想されており、同時にケアマネジャーの需要も高まるでしょう。
また、需要が高まるにつれて、ケアマネジャー資格の取り扱いも変化するかもしれません。
ここからは、ケアマネジャーの今後について解説します。
高齢化により需要が高まる
ケアマネジャーの需要は、高齢化により一層高まるでしょう。
介護保険受給者数の割合は年齢とともに高くなり、90歳以上になると半数が介護が必要な状態となるため、その分ケアマネジャーの需要も高まります。
日本の高齢者(65歳以上)の人口は、2023年9月の推計では3,623万人で、高齢化率は29.1%です。
下図のように、高齢者の割合は今後も上昇し続けると予想されています。
また、2027年4月から居宅介護支援事業所の管理者になるためには、主任ケアマネジャーの資格が求められます。
主任ケアマネジャーになるためには、まずケアマネジャーの資格取得が必要です。
以上の理由から、ケアマネジャーの需要は今後さらに高まると考えられるでしょう。
処遇改善が期待できる
ケアマネジャーは、介護職のなかでも特に処遇改善が期待できる職種です。
厚生労働省はケアマネジャーの人材確保のため、居宅介護支援の基本報酬の引き上げを何度も検討しています。
例えば、2019年10月には、施設で介護業務を兼任するケアマネジャーも、処遇改善加算の対象になりました。
この加算は、技能・経験のある介護職員の処遇改善を目的としています。
さらに、2021年には「特定事業所加算の見直し」を実施しました。
この改定では「手続きの効率化」や「医療と介護の連携強化」などの要件を満たした居宅介護支援事業所を対象に、報酬が支払われることとなっています。
上記のように、ケアマネジャーは今後も処遇改善が期待できるでしょう。
AI導入によって利用者対応に専念できる
AI導入によってケアマネジャーの仕事が減っても、ケアマネジャーが「いらない」とされることは当分ないでしょう。
厚生労働省が推進している介護現場でのAI活用は、「ケアプランの作成支援」のみにとどめられているからです。
むしろ、AIをうまく活用できれば、ケアマネジャーは利用者と向き合う時間をさらに確保できます。
ケアマネジャーは、サービス利用者やご家族と話し合い、一人ひとりに合った介護プランを策定する必要があります。
AIが利用者さんの感情を読み取り、変化にきめ細かく対応するのは難しいのが現状です。
したがって、利用者さんやご家族の対応は、これからもケアマネジャーが担当することとなるでしょう。
国家資格になる可能性がある
2023年現在、ケアマネジャーは「公的資格」として位置づけられています。
しかし、いずれは国家資格になる可能性があるでしょう。
2003年に閣議決定した答弁書で、介護支援専門員(ケアマネジャー)が国家資格として記載されていたことがありました。
日本介護支援専門協会は、この記載を根拠として、ケアマネの国家資格化に関して新たな動きを検討しています。
仮にケアマネジャーが国家資格になれば、資格取得をめざす方も増え、待遇がさらに改善されるかもしれません。
ケアマネジャーの現状
ケアマネジャーは人員が不足し、現役ケアマネジャーの高齢化も進んでいるのが現状です。
受験資格が厳しくなったり、業務が多忙だったりするため、ケアマネジャー試験の受験者が減っているのが原因と考えられます。
ケアマネジャーの人員が不足している
介護職のニーズが増しているなかでも、ケアマネジャーはとりわけ人材が不足しています。
主な要因は「受験資格の厳格化」や「多忙な業務」です。
2018年よりケアマネジャー試験の受験資格は「国家資格に基づく実務経験、または相談援助業務などの実務経験が5年以上」と定められました。
したがって、ただ単に介護の実務経験があるだけでは試験を受けられません。
また、もともとケアマネジャーは数十人の利用者さんを1人で受け持つのが一般的です。
そのうえ介護業務や雑務などもあり、マネジメント以外の業務でも多忙です。
以上のことからケアマネジャーの受験者数が大きく減り、人員が不足していると考えられます。
ケアマネジャー自身が高齢化している
介護サービスの需要が高くなる一方、現場で働くケアマネジャー自身も高齢化しています。
現在のケアマネジャーの平均年齢は53歳で、介護職全体の平均年齢である48歳を上回っており、60歳以上の割合も11.6%と、入所施設や通所施設の職員よりも高い割合です。
ケアマネジャーの受験資格を得るためには厳しい要件をクリアしなければならないため、若い人が新たにめざしにくく、高齢化が進んでいると考えられます。
現在現役のケアマネジャーが退職する頃には、さらなるケアマネジャー不足が予想されるでしょう。
今後ケアマネジャーに求められること
先述したとおり、ケアマネジャーは需要が高いのにも関わらず、人員が不足しています。
そのため、今後ケアマネジャーは「継続したスキルアップ」と「若い世代の育成」が求められるでしょう。
継続したスキルアップ
ケアマネジャーは「スキルアップを怠らないこと」が大切です。
書籍や資格更新などを利用して、知識を増やすのをおすすめします。
また、スキルアップを図るのであれば「主任ケアマネジャー」「独立型ケアマネジャー」をめざしましょう。
特に主任ケアマネジャーを取得すると、居宅介護支援事業所の管理者になれるため、キャリアアップも狙えます。
ケアマネジャーの資格取得後も継続して勉強し、スキルアップやキャリアアップをしましょう。
主任ケアマネジャーになると、後述する「人材育成」にも携われます。
若い人材の育成
今後、ケアマネジャーは若い人材の育成が必要とされるでしょう。
新人ケアマネジャーに対しては、マニュアルなどを使って業務の流れや優先順位などを丁寧に指導することが求められます。
さらに、今までケアマネジャーという職種と接点が少ない場合、想像していた仕事内容と現実の違いにギャップを感じてしまう可能性があります。
その場合、メンターとしてメンタルケアも忘れずに行いましょう。
OJTのほかにも「介護支援専門員レベルアップ研修」や「チームリーダー研修」などの研修を受けるのも有効です。
ケアマネジャーは今後も必要とされる仕事
ケアマネジャーは高齢化が進むにつれて、さらに需要が高まる職種です。
今後は処遇改善や国家資格化が期待され、AI導入によって利用者対応に専念できるかもしれません。
一方で、ケアマネジャーの現状として「人員不足」と「ケアマネジャー自身の高齢化」の問題があります。
ケアマネジャー試験の受験資格が厳格化したり、業務が多忙であったりするため、ケアマネジャー資格を取得する方が減っているからです。
継続してスキルアップし、若い人材の育成に携われるケアマネジャーが今後求められるでしょう。